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9年目の春~疲労の原因~

9年目の春が訪れた。

梢は子ども達と関わると何故か疲れを感じるようになっていた。

その理由をクロウが話すが梢にとって寝耳に水で──




 夜中、台所でアルトリウスさんと一緒にホットアップルジュースを口にする。

 実家にいたとき、向こうの世界に居たとき寒い日は飲んでいた。


「あー体にしみる」

「美味いな」


 そんなたわいの無い事を言って、夜の時間を潰す。

 しばらく過ごしていると、食堂の魔導器がチカチカ光る。

 私とアルトリウスさんは寝室へ向かう。

 すると、予想通り晃達が起きて居た。


「とーしゃま、かーしゃま」

「としゃま、かしゃま」

「かーしゃま、とーしゃま」

「しー……寝ているパパ達が起きちゃうからね」


 と私は言って、アルトリウスさんに手伝って貰い、三人の子どもをリビングへ運ぶ。

 その後、子ども達と遊んだ。

 アルトリウスさんは少し手慣れてる感じで、羨ましかったけど、まぁそのお陰で助かってるしいいかと思うことにした。

 子育てはまだまだ初心者だもんね。

 それに子育ての正解は分からない、不正解はあるけれど。

 不正解にならないように善処する。


 子どもを虐待とかそういうのは絶対しない。


 子ども達と遊びながら、少し疲れてきているのを感じた。

 子どもと遊ぶのになれていないのかとちょっと嫌になった。

 親になる覚悟をした癖に、親としての役目を果たせないなんて。


「かーしゃま?」

「ううん、平気よ」

「めー」


 晃が首を振る。


「晃は君の体調が悪そうなのを理解している、今日はゆっくり休め」

「でも……」

「子どもの面倒は私が見る、君は産後から無理をしすぎだ」

「……うん」


 反論ができない、というかさせてもらえない。


 私は晃達を撫でてとぼとぼと寝室に歩いて棺桶に入った。

 なんでこんなに疲れるんだろうと思いながら。





 翌日の夕方目を覚ますと、子ども達もアルトリウスさんも皆起きてリビングでたむろしている様子だった。

 私はリビングに向かうとクロウが居た。


「クロウ、なんで居るの?」

「いや、そろそろ話そうと思ってな」

「何を?」

「愛し子の子等の成長速度について話しただろう」

「うん、私の子だからと、妖精と精霊達の加護やらなにやら」

「実はな、もう一つある」

「何?」

「お前の力を吸収するというものだ、体力、魔力といったものを接触するだけで吸収する」

「……はい?」


 寝耳に水だ。

 つまりなんだ?


「つまり、私が疲れやすいのは……」

「子等に体力と魔力を吸収されていたからだな、お陰で子等はすくすくそだってるが」

「まじかよ……」

「私達も先ほど聞きましたが、ちょっと驚きを隠しきれないといいますか」

「私もだ」

「はい、私もです」

「なら、私はこれから吸収が落ち着くまで子育て無理しちゃダメなの?」

「その通りだ。無理はするな、無理そうなら休め」

「クロウ様、命までは削られていませんよね」

「流石に其処まで持って行ってるなら我が早々に神々に進言している」


 まぁ、命は削られないけど体力と魔力が吸収されるのね。

 どうりで元気な訳だわ。


 私は黄昏れながら、晃達がキャッキャとじゃれつくのをそのままにしていた。



 そしてそんなこんなでやって来た9年目。

 畑仕事に精を出したいから、子育てはアルトリウスさん達に任せて畑と畜産を色々とやった。

 直ぐに成長するので収穫をしないと行けないし。

 そして、そうこうしていると、三年目の我が子達の誕生日が訪れた。


 実は誕生日はお祝いをしていた。

 村上げてではなく、家族内でこっそりと。

 今は子供用のケーキを作ってショートケーキモドキにしている。

 大人は普通のショートケーキ。


「はい、どうぞ」

「わーい!」

「わーい!」

「わーい!」


 楽しそうに話す三人。

 ケーキを目の前に置くとフォークで美味しそうに食べる。

 本当三歳児かこれ。

 あ、そうか、色々吸収したりした結果成長早いんだもんね。

 と、三歳児らしくない感じの我が子達を生暖かく見守る。


「コズエ、ケーキを食べよう」

「あ、うん」


 アルトリウスさんに言われ私達もケーキを食べる。

 ショートケーキは美味しいなぁ、クラフト能力様々だよ。

 あと素材がいい。

 苺も、小麦も、ミルクも全部。


「おかわり!」

「おかわり!」

「おかわりー!」


 ミニケーキだったのでおかわりを要求する三人におかわりをティリオさんが出してあげた。

 私はケーキを食べている。


 しかし、何か魔力とか体力が吸われている気が大丈夫か私?





 ちょっと悩んだ末に、翌日クロウを呼んで聞いてみた。


「少し距離あるけど近くに子ども達がいる間も魔力とか体力吸われている気配するんだけど」

「ああ、正解だ。あと二年はお前から魔力と体力を吸い続ける、近くでもな」


 後二年かー。

 長いなぁ。


 と、思いながら育児に戻る。


 子ども達はパパっ子かなと思うけど私にも結構なついてくれる。

 というか、たぶん魔力とかの吸収の繋がりが夫達と違ってあるから、私にべったりしたがるところがある。


 クロウが見たら、各子ども達が私と線でつながっていて、その線で魔力と体力を吸収していると言っていたし。


 夫達からは取らないのかと聞いたら、取らないとのこと。


 だから夫達は私が疲弊しきらない程度に子ども達と距離を置かせたり、他の子ども達と遊ばせているらしい。

 精霊と妖精は力を少し吸収されるけど、始祖の森の空気で直ぐ回復するとのこと。

 羨ましい。

 それに吸収よりも加護の方が強くでるから、子ども等に加護を与えてより成長を加速させている。



「全く、我が子ながら、成長が早いわ」

「どしたの?」

「どーしたの?」

「どしたの?」

「ううん何でも無いよー、それより今日は温泉行こっか!」

「おんせん!」

「おんせん!」

「わーい!」


 まぁ、晃と肇はアインさんとティリオさんに任せて、私は音彩と入るんだけどね。

 アルトリウスさんは一人別風呂。

 うちの子達と違ってアルトリウスさん、流れ水という名前の温泉には弱いから仕方ない。



 そうこうしながら春の日々は過ぎていった──







梢が子育てをやると疲れやすいのはこれがあります。

魔力とか色々吸い取られるので疲れてしまうのです。

あと二年はこのまんまですね。

無茶する梢には丁度良いでしょう。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
え?子どもたちがパパっ子でもある?ママっ子にしか見えなかった!くっ!私がママっ子だったから子どもたちがママっ子で「よっしゃ!」って思ってたのにっ!!なんか敗北感が…(orz)ママにもパパにも懐いてくれ…
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