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クロウとの会話~過去について~

雪とたわむれる我が子達を眺める梢。

幼い頃の自分を思い出す。

そして子ども達が行きづらさを感じたらどうしようと不安になっていると──




「今日も雪がつもってるねぇ」

「きゃー!」

「きゃうー!」

「きゃー!」

「……晃達は元気ねぇ」


 積もった雪にダイブする我が子達を見て少し黄昏れる。

 こんな子ども時代あったなぁと。

 そして不安になる。

 子ども達が生きづらさを感じて育ったらどうしようと。


 私が元の世界で感じたもののように。


「梢どうした?」

「クロウ……」


 クロウがやって来た。


「どうしたのクロウ?」

「また余計なことを考えてるな」

「……バレたか」

「当然だ」


 私は子ども達に視線を向けながらクロウと会話する。


「私みたいに生きづらさを感じるようになるんじゃ無いかとか、反抗期が心配とかそういったものだよ」

「どちらも心配あるまい、お前達の子だ」

「そうかなぁ……」

「お前一人の子ではあるまい」

「それは、そうだけど」

「安心しろ、お前のように消えていなくなることはない」

「……」


 皮肉か?

 家族の前から消えた私に対する。

 ええ、事実ですよ、雷に当たって死んで消えたんだからね。


「皮肉?」

「いや、お前が気にしてるから言っただけだ」


 そうよね、クロウってこう言う奴だよね。

 はぁ……


「晃、肇、音彩、寒くなってきたからお家に戻ってホットミルクのみましょう?」

「あい!」

「はい!」

「あい!」


 元気よく返事をする三人を抱っこして家に戻る、扉はクロウが開けてくれた。

 ついでにクロウも家の中に入ってきたのでホットミルクとクッキーを提供する。


「うむ、美味いな」

「どうも」

「おいちい!」

「おいち!」

「おいちい!」

「有り難うねぇ」

「我との扱いの差が違いすぎないか?」

「当然よ」


 クロウは小さい子と同類の扱いされたいのか?

 いや、違うでしょう。


「小さい子と同じ扱いされたいの?」

「そういうわけではない」

「なら諦めなさい」

「ぐむ……」


 私は子ども達の歯磨きをして、ベッドへ連れて行った。

 勿論その前にトイレにも。


 トイレも済ませた三人を抱っこしてベッドに寝かせる。


「少し、お休みの時間よ」

「かーしゃま、そばにいて?」

「かしゃま、そばにー」

「かーしゃま」

「はい、勿論」


 そう言って子ども達が眠るまで側に居る。


「大変だな」

「別に?」

「本当にそう思っているのか?」

「本当は嘘、ちょっと大変。でもアルトリウスさん達がいるから」

「そうか……」


 クロウと会話をしながら本を読む。

 これも愛し子の話だ。

 王位継承権の低い王子と愛し子が出会い恋をして、国を発展させた結果、王子は国王に、愛し子は王妃になったというもの。


「これも、事実?」

「これは脚色されているな、王子は王籍を抜け愛し子と友に旅にでたというのが本来の内容だ」

「なんで脚色したんだろうね」

「王家に愛し子の血が流れているというのを言いたかったのだろう、まぁ脚色されているのを知ってるのは我くらいだしな」

「へー、ところでその国今もあるの?」

「カインド帝国に真っ先に滅ぼされていた」

「うへぁ」


 哀れ、昔の国よ。

 愛し子の血筋なんて脚色入れちゃったから滅ぼされたのかな?


「脚色入れたから滅ぼされたの?」

「それが真実と思われていたから滅ぼされた」

「オゥイエ」


 予想が当たっちゃったよ。


「助ける暇もなく?」

「そうだな、一夜にして滅ぼされた、我らが瘴気の対策をしている間に」

「ワーオ」


 こいつは悲惨だよ。


「あれ? 他に結婚して生涯を終えたとかそう言った類いのは?」

「大半が場所を特定されて襲撃された。が、前例として先に国が襲撃されたのが周囲に伝わり、そちらの者達は逃げる事ができた」

「それは……よかった、のかな?」

「良かったと思うしかあるまい」


 クロウが鬱屈した表情でいう。

 ああ、そうか。

 クロウはお祖母ちゃんを助けられなかったから。

 だから神様がああするしか無かったんだ。


 結果、カインド帝国とその末裔のロガリア帝国が神々に呪われたが。


 まぁ、滅んじゃった国だしねもうこの二つ。


「よからぬ者がお前達の暮らしを害なすのではないかと気が気ではない」

「……」


 クロウも、クロウなりに考えてくれているんだ。


「有り難うクロウ」

「礼には及ばん」


 クロウはいつもの様子で言った。


「コズエ、ここでしたか。しかもクロウ様もご一緒で」

「コズエ様、クロウ様と一緒でしたか」


 アインとティリオがやって来た。


「うん、そうだよー」

「ちょっと積もる話もあったのでな」

「はぁ」

「なるほど」


 二人は納得したような顔をする。


「二人ともそろそろ遅いから寝ていいよ」

「そうか、ならば我は帰るとするか」


 クロウはそう言って部屋を出て行った。


「そうですね、夜、こんなに遅いのですから」

「ええ、もう遅いですし」


 二人は湯浴みをしに行き、着替え、歯を磨いて、子ども達を眺めて、そしてベッドに横になった。


「子ども達はどうですか?」

「すやすや寝ているよ?」

「なら良いんです」


 子ども時代の事を思い出しているのだろうか、ちょっと聞けなかった。


「お休みなさい、コズエ様」

「お休みなさい、コズエ」

「お休みなさい、アインさん、ティリオさん」


 目を閉じる二人を眺め、寝息が聞こえると私は部屋を後にした──






梢の不安に対し、結構ズバズバ言うクロウ。

おじいちゃん時はもうちょっと柔らかく言います、が今の姿の時はズバズバ言います。

そして本を読んだ梢、結構衝撃を受けています。

カインド帝国の悪事の多さにかなりショックを受けています。

カインド帝国も、その後継のロガリア帝国も滅んだんですけどね。

でも、クロウは害成すものがでないか心配してます。

クロウも、梢同様心配症ですので。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字など、ありがとうございます。

次回も読んでくださると、うれしいです。

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― 新着の感想 ―
梢ちゃんが色々と心配しすぎて、梢ちゃんがそこまで心配しなくても良いのにと、梢ちゃん大丈夫かなとこっちも心配していたけど、おじいちゃんもおじいちゃんで色々とあったんですね。2人は案外似た者同士?まぁ、お…
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