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秋の収穫祭~無自覚な梢~

秋の収穫祭の為に梢は一人料理に勤しんでいた。

だが、一人でやっているのがアルトリウス達とクロウにバレてしまい──





 秋の収穫祭の為の準備をしていた。

 作物は大丈夫。

 お肉も仮で手に入っている。

 調味料も問題無い。

 それ以外の食材もOK。

 後は──


「これを料理するだけかぁ」


 どでかい鍋を見ながら私は大量のこんにゃくなどの豚汁の材料を見る。


「まだ、他の人達子育てで忙しいし私一人で準備するか」


 そう言ってこんにゃくをちぎり始めた。





「で、一人でやったのか、この量」

「う、うん」


 村中に行き渡るように豚汁とブラッドワインのスープを作った、ブラッドワインはまだいい、豚汁は凄い量で、鍋でくつくついっている。

 それを見てアルトリウスさん達は盛大にため息をついた。


「な、なに?」

「君は本当に無理をするな」

「同感です」

「はい、同じく」

「む、無理してないよ⁈」

「なんだ、アルトリウス、アイン、ティリオ、また梢が無茶したのか?」


 私が慌てふためいているとクロウがやって来た。

 失礼だな、また無茶したとか。


「ええ、この量、一人で作ったんですよ」

「梢、お前は馬鹿か?」


 馬鹿とは何だ、馬鹿とは!

 失礼にも程がある!


「誰が馬鹿ですって!」

「お前だ、お前」


 デコピンをされた。

 痛い。


「お前一人でできるからといってやる馬鹿が何処にいる」

「だって、皆忙しそうだったし……」

「収穫祭は村全体の行事だ、なのにお前一人に負担を強いる方が馬鹿の行いだ、もっと頼れ。他に何が残っている?」

「焼き肉用を切るのと、味付け……」

「アルトリウス、手が空いてる輩にやらせろ。お前達は梢を祭りが始まるまで家に閉じ込めておけ、鍋は我が見る」

「ちょっとー!」


 私はアルトリウスさん達三人に家に連れ戻された。


「不服申し立てる!」

「却下だ」

「むがー!」


 家の中に閉じ込められ、部屋にも鍵をかけられたので不服を申し立てたがアルトリウスさんに却下された。

 私は悪くない!


「私は悪くない!」

「悪い悪くないで判断している所がおバカさんなのですよ、コズエ」

「うがー!」


 アインさんの言葉に憤慨する私。


「まぁまー」

「ままー」

「まぁま!」


 そこへ玩具で遊んでいた子ども達が私の声を聞きつけて隅っこからやってきた。


「まぁま!」

「まま!」

「まぁま‼」


「晃に肇に音彩、ごめんねー今、ママは……」

「今は暇らしいので遊んで貰いなさい」

「ちょ」


 ティリオの言葉に子ども達は目を輝かせて私を見た。

 ぴこぴこと歩いてきては、私に抱きついてきた。

 ちなみにぴこぴこ鳴る靴は私がクラフトで作った、防犯用もかねて。


「ママのこと好きなの?」

「ちゅき!」

「しゅき!」

「だいちゅき!」


 そう言って私にぎゅっとしがみつく。

 私は仕方ないと思い、抱きしめ返した。


「ママも貴方達が大好きよ!」

「まま、あしょぼ!」

「あちょぶ!」

「あそぶ!」

「はい、何して遊ぼうか──」


 なんて子ども達とやっていると、三人がそろってサムズアップ──親指を立てていた。

 三人の作戦勝ちか。

 まぁ、仕方ない、子ども達と遊ぼうか。





 そんなこんなで遊び続けていると、シルヴィーナが部屋に入って来た。


「コズエ様ー、料理ができあがりました」

「もう、そんな時間?」

「はい」


 そうしていると、アルトリウスさん達が我が子達を抱っこしていった。


「さぁ、いくぞコズエ」

「うん」


 私は頷いて、シルヴィーナ達の後をついていった。

 そして大釜で煮込んである豚汁をよそってるクロウを見て目を丸くした。


「クロウ、食べる専門じゃなかったの?」

「お前がああではゆっくりと食べて居られん」


 そう言われてむっとしたが、仕方ない。

 ブラッドワインを使ったスープはヴェロニカさんがよそっていた。


「晃達はどっちを食べたい?」


 と、私が訪ねると──


「「「りょうほう!」」」


 と元気よく言うから可愛らしい。

 量を少なめに、両方をお椀に盛ってもらうと、三人はお行儀よく食べ始めた。


「とんじる、おいちい」

「あかいのもおいちい」

「どっちもおいちい!」


 そう言っておかわりを所望する三人の様子を見つつおかわりをあげ、私も豚汁を口にする。

「あ~~……美味いわ、これ」

「だろうな」

「コズエが手塩にかけたものでできた料理ですから」

「そうですね」


 アルトリウスさん達も、豚汁を口にしてうんうんと頷いている。

 まぁ、それは否定しない。

 肉以外は私が手塩にかけて作った物だ。

 調味料も。

 でも、それはクラフト能力があるからだ。

 これのお陰で私は苦労せずにすんでいる。


「クロウ、そろそろ代わろう──」

「クロウ様、私が代わります」


 アインが私に肇を預け、クロウに言った。


「助かる、そろそろ我も食べたいと思っていたところよ」

「いえいえ」


 アインはクロウ専用のお椀に豚汁をよそって渡した。

 クロウは箸を使いながら豚汁を口にしている。


「コズエ様──肉焼けました!」


 ルフェン君が肉を焼いているのを聞き、アルトリウスさんとティリオがお肉をよそって貰い私達は食べた。

 子ども達の歯ではこのお肉を噛み切るのはちょっと心配なので上げなかった。

 ふてくされてた子に、別に用意していたアイスを上げると直ぐ機嫌を直してくれた。

 やっぱりこういう所は子どもね。


 と思いながら私は肉を食べた。






梢、また無自覚の過重労働。

というか無茶してます。

梢が無茶しないように、子ども達と遊ばせてます。

休んでいるとまた無茶するので、子ども達何かしている方が三人は良いと判断したからです。

重労働と思われますが、梢の子ども達は大人しいので。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。

次回も読んでくださるとうれしいです。

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― 新着の感想 ―
うっ!?子どもたちのママ攻撃は心臓に悪いですよ…(尊死) ありがとうございます!子どもたちが今日も激カワです^ ^なんかもう心が浄化されるような、このまま浄化されて消えていくような感じです。即この話も…
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