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穏やかな時間は壊されて~ムーラン王国での騒動~

子育てと畑仕事家畜の世話などをやっていると季節はあっという間に過ぎ冬になった。

梢は子育てで、子どもの成長の早さに悩みつつも色々と対処していた。

そんな冬のある日、ムーラン王国の馬車がやって来た。

イザベラとロランが馬車に乗っており──





 子育てと畑仕事を平行してやっていると、季節なんてあっという間に過ぎるものであっという間に冬が訪れた。

 それでも、私の子育てはかなり楽なものだ。

 アルトリウスさん達がいるし、何より子どもらの成長が早く物覚えが良い。

 普通の子どもならこうは行かない、私の子ども、精霊と妖精の加護、神様の加護っぽいのを貰って居るから成長とかが早いらしい。

 まだ、イヤイヤ期は残っているが落ち着いていし。

 ただ、部屋からは出せない。

 ベビーベッドから下りようとするような子達だぞ?

 階段下りようとしてごろんごろんと行く可能性は捨てきれない。

 なので下の階に降りるときはパパ達に頼んで抱っこして貰って居る。

 そして揺り籠の中で動けないようにして大人しくして貰う。

 色々と、大変だけど、取りあえず今はこれで良いようになってくれればと思う。



 私は三つ子の世話をしながらあぶあぶ言っている子ども達を見てふと思い出した。

 卒乳時すっごい大変だったこと。


 離乳食は食べてくれた、でも母乳も飲まないと満足してくれなかった。

 三人とも。

 なので三人の卒乳は苦労した。

 お母さんが「ワサビでも塗るしかないと思った」という話をしたのを思い出したが、実行しなかった。

 そんな可哀想な事できなかったので、根気強く卒乳の為粘った。


 お陰で卒乳して離乳食を今は食べて居るがやっぱり母乳が恋しいのか私の胸に触る。


 まぁ、こういう事もあったりしたが、クロウには言ってない。

 クロウに言うと圧で子ども達を黙らせてしまうから。


 それだと、子ども等の教育には良くない。

 なので、子ども等関係でクロウを頼ることはしないように私はしている。


 アルトリウスさん達がどうしてるかは分からないが。

 度々顔を見にやって来ているようだし。

 何か余計な事をしてなければいいのだけども。



 雪がドカ雪なので、子ども達に目を光らせながら外に出すと、子ども達はキャッキャと笑い、遊び出す。

 其処に村の子ども達がやって来て、三つ子の相手をしながら遊び始める。

 もう直ぐ二歳になるとは思えない我が子達。

 どう見ても三歳児かそこら辺だ。


「コズエ様の三つ子ちゃん、凄く成長早いよね!」

「梢様の子だもの、何が起きても不思議じゃ無いわ」

「そうだね、コズエ様の子だもの」


 と村の子達が話して居る。

 私ってそんな印象だったの?

 何か複雑だなぁ……うーん。


『愛し子様、何を悩んで居るの?』

『悩んで居るの?』


 精霊と妖精が話しかけてくる。


「いや、うちの子成長早いなぁと」


『それは当然だよ!』

『だって僕らの愛し子だよ!』


 そういうものなのね。

 まぁいいや、今年の冬は何事もなく──



「コズエ様!」

「ルフェン君どうしたの⁈」

「ロラン……王太子とイザベラが一緒にやって来たんだ!」

「はぁ⁈」


 こんな雪の始祖の森に一体何の用で?


「従者から聞いたんだけど、ムーラン王国でいざこざが起きて急ぎで愛し子様に助けを求めてきたって」

「えぇえ⁈」

 いざこざ⁈

 何のことよ一体⁈

「話は我が聞いておいた、梢行くぞ」

「行くって、ムーラン王国に?」

「そうだ」

「はいはい、分かりましたよ! アルトリウスさん、アインさん、ティリオさん、晃達の事お願いしますね!」

「わかった」

「勿論です」

「コズエ様、お気を付けて」


 私はクロウに乗っかり、始祖の森を後にする。

 しばらく飛んでいると、着ている物が熱くなって脱いだ。

 そしてアイテムボックスに入れる。


「なんでこんなにあったかいの?」

『ムーラン王国は常夏の国と呼ばれ取るからな、年中暖かい』

「あ、そうなの」

『もうすぐつくぞい』

「うん」


 王都と王宮らしき場所に人だかりができていた。

 王宮に入ろうとしているのが分かった。

 丸太で扉を開けようとしている。


 クロウの風圧でその人達は飛ばされ転がっていく。

 私は扉の前に立った。

 クロウも隣に並ぶ。


「我はエンシェントドラゴン、神の使徒なり! 何故このような事をしている⁈ 次期王太子妃であるイザベラが神々の愛し子の寵愛を受けていると知ってこの狼藉か⁈」

 クロウの言葉に、周囲は動揺し始める。

 寵愛というか、妹みたいに可愛がっていますが寵愛は言い過ぎだよ、クロウ。


「も、もしかして隣の吸血鬼が噂の神々の愛し子かぁ?」

「そ、そんなはずはない! 吸血鬼が神々の愛し子だなんて」

「でも、始祖の森の吸血鬼が神々の愛し子だって噂はこっちにも来ているし……」


 私は盛大にため息をついた。

 まぁ、こんなもんかと。

「この者こそ、神々の愛し子! そしてドミナス王国王女にして次期王太子妃イザベラを寵愛せしものだ」

「まぁ、否定はしないでおくけど、私旦那達がいるのわすれないでね」

「そうだな、だがそれは今は重要じゃない」

 重要じゃ無いのかよ。

「お前達は、愛し子の意思、神の意志に背くのか⁈」

 そう言うと、武器を持っていた人達はボロボロと武器を落とした。

 が、落とさない人もいる。

「王弟である、私を蔑ろにする神など要らぬ! それに我が国はイブリス神信仰だったが、デミトリアス信仰に変え、人以外を奴隷として扱う」

「その言葉がデミトリアス神の怒りを買うと忘れるな?」

 クロウがにやりと笑うと、黒い落雷が落ちた。

「ぎゃああああああ!」

「く、クロウ、これ大丈夫?」

「何、神々に呪われただけだ、死んでは居ない」

 真紅と黒の茨模様が体に浮かんでいた。

「ああああ! 痛い、痛い、痛いぃいいいい!」

 のたうち回る人を見て、後ずさる人々、其処に兵士がやって来た。

「貴殿らを反逆罪、国家転覆罪で捕縛する!」

 人々は逃げようとしていたが、全員捕まった。


 私はぽかんとそれを眺めるだけ。


 そして偉そうな人がやって来た。

「うかがっております、エンシェントドラゴンのクロウ様、神々の愛し子のコズエ様と」

「フン」

「あの、もう大丈夫なのですか?」

「それは──」

「おお、愛し子様とエンシェントドラゴン様! 有り難うございます」

「感謝いたします」

 男性と女性が姿を現した。

「王妃殿下! 国王陛下!」

 ロラン王子のお父さんとお母さんのようだ。

「ロランと、イザベラ王女を早馬の馬車に乗せて始祖の森に行かせたのは間違いでは無かった」

「国王よ、何故このような事が起きた?」

「ロランが王太子として『今までは人間を優先して雇用していたが、それは止める! 我が国もドミナス王国にならい種族問わず優秀な人材を受け入れねばならない』と聞いた一部の人間至上主義派と王弟──私の弟がそんな事は許されないと今回の事態を引き起こしたのだ」

「して、国王よ、どのように処分する」

「我らもドミナス王国にならい厳正に処分を下す、もう人間だけの国で無くなって二百年経つのだから」

「賢明な判断だ」

「エンシェントドラゴン様、森に戻られたら、息子と義娘に戻ってくるように言ってほしい」

「かまわん、さて梢帰るぞ」

「あ、うん」

 私は頭を下げてドラゴンになったクロウに乗っかりその場を後にした。



 大丈夫だよね、ムーラン王国のこれから……

 そんな不安を抱えて私はクロウの背中から景色が高速で変わるのを見ていた。







子育てで色々悩んで居る梢の元に、ムーラン王国の問題が飛び込んできました。

一応対処できたかもしれませんが、まだまだ梢は安心できない様子。

妹のように可愛がっているイザベラが心配なのもあります。

子どもとムーラン王国、村の事、色々考える事が増えて梢は大変だと思います。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

反応、感想、誤字脱字報告等有り難うございます。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
出たよ、人間至上主義(ーー;)まぁ、天罰がくだったからざまぁだけど…。これで解決できたらいいのですが、梢ちゃんが懸念するのも分かります。私がいうのは変ですが、人間というのは同じ過ちを繰り返したり、日本…
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