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子育て(1)

産後一ヶ月、合法の治癒力高める方法をとった梢は、元気になり家を屋敷に改築する。

そしてその屋敷で子ども達のお世話をしながら色々と思いをはせる──





「さて、一ヶ月ブラッドフルーツドカ食いしたお陰で非常に回復が早かった!」

 あと、吸血鬼の回復力のお陰でとある部位の完治も早かった!

 でも一ヶ月は風呂入るなと言われたから我慢した!

 それと出産後の三日間は子宮が戻る為の痛みでしんどかった。


 何の痛みかディーテ様に聞いたら子宮が元の大きさになる為の痛みだって言ってた。

 人体ってふっしぎー……

 あ、今は吸血鬼だけどもそこは一緒なのか。


 子ども達はアルトリウスさん達に預けて全員家の外に出ている。

「よし、クラフトモード」

 目の前にクラフトモードの画面が表示され、家の拡張が出る。

「よっしゃ行くぞー!」

 クラフトを押し、ハンマーを握る。


 聞き慣れた音が心地よい。


「……いや、でかくなりすじゃね?」

 なんと言うことでしょう、大きい家は、大きなお屋敷へと変貌を遂げていました。

「いつ見ても凄いな」

「そうですね」

「はい」

「あう?」

「だう」

「うー」

 六人様々な反応をしている。

 まぁ、私の赤ちゃん達はよく分かってないんだろうけど。

 屋敷に入ると、ホールがあり、また食堂も別になっていた。

 そして寝室と各自の部屋ができていた。

 また寝室は広く、旦那達のベッドと棺桶二個にベビーベッドが三つあった。

 晃、肇、音彩の三人をベビーベッドに寝かせる。

 音彩はすぐぐずるのでおしゃぶり必須だ。

「ふふ、可愛い。皆元気に大きくなるんだよ」

「ええ、元気に育つように祈りましょう」

「アイン様の祈りは妖精や精霊達も聞き入れてくれるでしょう」

「そうだな」


『僕が一番にー!』

『私が一番に!』

『儂が一番に!』

『僕が一番に!』


 わーわーガヤガヤ


「「「……」」」

「どうしたのです?」

「あ、そっかティリオは妖精と精霊の声とか聞こえないんだもんね」

「はい、何か?」

「梢の子への祝福争奪戦ですよ」

「あー……」

「まぁ、吸血鬼の血を引いてるから夜と闇の加護はあるだろう」

「だねー……」


 なんて話してたら


 びゃあああ!

 びぇえええ!

 おぎゃああ!


 三人そろって泣き出した。

「ご飯かなー」

 と行ってふくの胸の部分を開けて、胸を近づけると吸い始めた。

 もう片方も同じように吸わせる。

 結構痛い。


「びええええ!」

「ああ、晃! ちょっと待っててね!」

「大丈夫です、今ブラッドフルーツの絞り汁を飲ませます」

 哺乳瓶にブラッドフルーツの絞り汁を入れて肇にアインさんが飲ませる。

 んくんくと飲んでいる。

 今のうちに肇と音彩が飲み終わってくれるといいけど……


 まぁ、なんとか飲み終わったらしい二人がおっぱいから口を離してくれたので晃の番。

 一応消毒はしておく、痛いけど。

 で、おっぱいをあげると飲み出した。

 晃すごい飲む子だから、母乳だけじゃたりないのよね。

 でも、母乳も飲まないと満足してくれない。


 大変だわ、うちの子。


 無事に卒乳してくれるのか心配だ……





 そんなこんなで二週間くらいてんやわんやしていると──

「コズエ様、御子様はどうですか?」

 シルヴィーナがやって来た、私の子ども達を見る為に。

「シルヴィーナの双子ちゃんは?」

「レームに今は任せてます!」

 レームさん、ちゃんと父親やってるなぁ……

「アルトリウスさん達はどうしてるのです?」

「三つ子のお世話してるよ今、私は休憩中」

 そう言いながらブラッドフルーツを食べる。

「睡眠不足とか大丈夫ですか?」

「最初は心配したけど、子ども達、私の母乳だけしか飲まないのかなとか想ったけど、そんな事無くてブラッドフルーツの絞り汁とか銀牛のミルクとかもちゃんと飲んでくれてる」

 最初の頃は私の母乳必須だったが、今ではそうでは無くなったので落ち着いている。

「晃は日中寝て過ごす子だから私が起きる時間帯はお腹空かせて良く泣く子だし、肇は寝ては起きてお腹空いたって泣く子で、音彩はそんな肇に引っ張られる感じで泣く子かな」

「なるほど……ところでどうしてブラッドフルーツを囓っているんですか?」

「体調崩さないように自分で自分の体に良いものを食べてるの。ブラッドフルーツは吸血鬼の私には最適解だからね」

「そうですね、コズエ様は吸血鬼ですものね」

「そうそう」

「おーい、梢やーい」

「ん? クロウおじちゃんの声だけどなんか……」

 扉を開けると、背筋がピンとした老人がいた。

「く、クロウ?」

「そうじゃよ、あの姿だと子どもが泣きそうじゃから姿を変えてみた」

「ああ、そうなの……」

「クロウ様⁈」

「そうじゃよ、シルヴィーナ」

「どうしてそんなお年を召したお姿に⁈」

 シルヴィーナも驚いている、私も驚いたしね。

「いつもの姿であの口調じゃ赤子が泣くじゃろ」

 赤ちゃんの事を考えてくれるのは有り難いが、だったらあの姿で口調を柔らかくしたほうが良かったんじゃね?

 と、思っても言わない。





「今、晃も肇も音彩も寝てますよ」

 アインが言うと、クロウは少し残念そう。

「仕方ない、赤子は寝る子じゃなからなぁ、でも顔を見せてくれんか」

「いいですよ」

 寝室のベビーベッドのところに案内し、シルヴィーナとクロウは覗き込む。


 ふかふか、もちもちで可愛い赤ちゃんが三人眠っている。


 赤ちゃんの腕がちぎりパンの例えをされるのだが何となく納得。


「一ヶ月とちょっとで随分大きくなっとるの」

「ですよねぇ」

「比較対象が少ないから分かりません」

 そもそも吸血鬼の子とかダンピールの子の成長具合とかどうなんだそこんとこ?

 獣人とか赤ちゃんでも建てるスピード速いらしいしどうなってるんだ。


 わからん!


「あーう、だぁ、だぁ」

「晃ーどうしんでちゅか? オムツでちゅか?」

 私は晃を抱っこして慣れた手つきでオムツを替える。

 ダンピールと吸血鬼は赤ちゃんの時だけ排尿するんだって、排便はないらしい。

 紙おむつなので、ゴミ箱に捨てる。


 神様印の紙おむつなので燃やせば完全に灰になるし、埋めれば二日で分解されるらしい。

 エコだね。


「うー、あーあー!」

「おっぱいもでちゅか? クロウ向こう向いてて」

「わかっとるよー」

 私はクロウが背を向けたのを見て晃に授乳する。

 んくんくと飲んでくれた。

 そしてそのまま眠ってしまったので、おっぱいから口を離させて、アルトリウスさんに渡して、寝かせて貰い、服を整える。

 ちょうど良かったので、肇と、音彩の寝る向きも変えさせてもらう。

「これでよし」

 取りあえず一段落つく。

 ずっと寝る向きが同じだとぺったんこになってしまうと母が言っていた。

 実例は私の兄の一人、寝過ぎるもんだから放置してたら後頭部がぺったんこになってしまったそうだ。


 気をつけなければ。


「ふむふむ」

 クロウが三つ子を覗き込んで何か頷いている。

「何、クロウ? 私の子ども達に何かあったの?」

「いやぁ、凄い加護じゃのぉ、神々の加護をもらっとる」

「……」

 ああ、妊娠中に神界に呼び出された時のあれか。

 と一人納得する。

「それに妖精や精霊達もわらわらと加護を付けておる、類に見ない程の強い聖女と聖人に。また妖精と精霊の愛し子になりそうじゃわい」

「はぁ……」

「まぁ、お前さんは子育て無理をしない方が良いぞ」

「分かってる」

 皆で子育てしてくれるから無理はしていない。


 晃、肇、音彩。

 私の可愛い子ども達。

 どうか健やかに──







梢とアルトリウス達は共同で子育てに勤しんでいます。

そして、妖精と精霊達で祝福する権利の争奪戦。

梢は梢で、母親になったからこそ色々と思うところがあるのでしょう。

あと、クロウは子どもを思って普段から違う姿に変えています。

多分、すぐ戻るでしょうが。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

反応を下さってリ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
おじいちゃんがおじいちゃんに!?姿も好きなように変えられるんだ…。赤ちゃんのためをおもってのことだったんですね。 そして、愛し子、聖人、聖女…、それぞれ違うんですね。まさか、3人が3人違うとは思わなか…
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