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出産と名付け

冬、動くのがままならない中で、梢は栄養を取りつつ、日々を過ごしていた。

そして春になったある日、梢に陣痛が始まり──





 最初の一ヶ月はお腹が大きくなるまでは早かったが、そこからの成長具合は遅くなったように感じる。

 だからのんびり、家で過ごしたり、軽く散歩をしたりすることができる。

 まぁ、歩くのしんどいし、何故か今まで行かなかったトイレに行く羽目になったりして大変だったけど。


 冬場なので道が凍らないようにみんな雪かきにいつも以上に精を出している。

 ちょっと申し訳ない。

 クラフト小屋にたまに入るが、できなくなっていることがある。


 酒造りができなくなった。


 既にできたのを引き出すのはできるが、新しく作れない。

 クラフト機をみると、何か書かれていた。


『妊娠中はここの使用は厳禁』


 味見とかすると思われているのかな?

 まぁ、なのでお酒は造ってあるもので我慢して貰うことになった。

 ウィスキー製造用のクラフト機もしばらくはお蔵入りだ。

 それまでに作ったウィスキーは三十本、これで我慢してくれるといいんだけど……



『愛し子様ーおさけはのんじゃだめだよー』

『だめー』


「飲まないから安心して」

 精霊と妖精達の言葉に安心させる言葉を言う。

 まぁ、実際飲まないからいいんだけど。

 後、ブラッドワインだけはお酒じゃないから作れる。


『ならいいのー』

『いいのー』


 私はふうと息を吐き、他のクラフト機で作ったをアイテムボックスに入れて外に出る。

「用事は終わったか」

「うん、アルトリウスさん、終わったよ」

「では帰るぞ」

「はい」

 アルトリウスさんの手をしっかり掴み、歩いて家に戻る。

 家に入り、コートを脱ぐと、マタニティ用のフリースを羽織らせて貰う。

「ブラッドティーでいいか?」

「うん」

 ブラッドティーをいれて貰い、暖かいブラッドティーを少しずつ飲む。

「美味しい……」

 呟きながら飲んで要ると、背後からアルトリウスさんに抱きしめられた。

「アルトリウスさん?」

「……君が無事であることを祈るよ」

「初産で三つ子だから?」

「ああ」

「心配してくれて有り難うね」

 まぁ、心配なのは私が三つ子を妊娠していることである。

 ディーテ様は安産の加護をくれたが、それでも不安だ。

 あと、ちょっと言いにくい部分が裂ける事も考えると怖い。

 今から心配毎は多いが、考えすぎると胎教に悪いので考えるのを止めることにした。





 そんなこんなで毎日を過ごしていたらあっという間に──


『もうすぐ春ですよー』

『まだ冬ですよー』


 こんな季節になった。

 お腹が大きくて色々不便になっていった。

 お風呂に入るのも一苦労。

 着替えるのも一苦労。

 そしてお腹の中の赤ちゃん達は時折お腹を蹴ったりする。

 そして陣痛とは違う痛みがある。

 あと、寝づらい。

 うーむ、色々大変だ。



 雪解けが始まり、リザードマンの方々が冬眠から目覚めるようになった時期に、それは始まった。

 朝クラフト小屋に向かおうとすると、痛みがやってきた。

 最初は気にならなかったが、クラフト小屋で作業をしているうちに、痛みは規則的にやって来て、痛さも強くなった。

「~~も、もしかして、陣痛?」

 私は扉を開けてなんとか外に出て扉を閉める。

「コズエどうした?」

「陣痛、はじまった、みたい」

 アルトリウスさんに言うとアルトリウスさんは器用に私を抱きかかえ家へと戻った。

 ほどなくしてシルヴィーナが訪れる、ルズさんを連れて。

「コズエ様、しっかりしてくださいね!」

「コズエ様、この婆がついております」

「うん……」

 痛みの中、なんとか痛みをそらそうとものを掴んだ





「「「……」」」

 梢が出産用の部屋に入ってアルトリウス達とクロウは外でじっと待っていた。

「梢、無事でしょうか?」

「ディーテ神は安産の加護を与えたと言っていたが三つ子だしな……」


 重い沈黙が続くこと三時間。


「産まれたよ旦那さん達、エンシェントドラゴン様。びっくりするほど、するっと三人出て来たよ。入っていいよ」


 ふぎゃあふぎゃあ

 おぎゃあおぎゃあ

 ふぎゃあおぎゃあ


「「コズエ!」」

「コズエ様!」





 出産が終わり疲れ切った私は三つ子を抱っこしながら思い返していた。

 何か言ってた気するが記憶が曖昧だ。

 安産だった気がするが同時に安産ってなんだっけと思う。

 まぁ出産ってそんなもんか、自分は安産だったんだ、それで終わろう、子どもを無事に産めたし、私は生きてるから。


「「コズエ!」」

「コズエ様」

「アルトリウスさん、アインさん、ティリオさん、産まれたよー……」

「コズエ、本当に頑張ったな!」

「安産と聞いていましたが、やはり出産は命がけ、無事で良かった!」

「コズエ様、ブラッドワインを飲みますか」

「うん、飲む──」

 コップにブラッドワインを入れて飲ませて貰う。

「ふへー」

 一息ついていると、クロウが顔を出した。

「ちょっと我に見せろ」

「なんだよクロウ」

 ちょっとガルガルモードになってるな。

 母性本能か?

「この男児がアルトリウスとの子で、この男児がアインの子で、この女児がティリオとの子だな」

 そう言ってアルトリウスさん達に抱っこするように言う、私は彼らに抱っこさせた。

「この子が私とコズエの子か……」

「この子が、私とコズエの子どもですか……」

「私の子だけ女の子ですね、コズエに似ると良いのですが……」

「私に似るより皆に似た方がいいよー」

「何故だ⁇」

「「何故です⁇」」

「え、だって皆の方が綺麗な顔だちしてるし……」

 うん、本当。

 私の顔より、三人の顔に似た方が良い。

「……体力が回復したらきっちり話合わなければな」

「ええ、そうですね」

「逃がしませんよコズエ様」

「なんでぇ」

 三つ子を再び抱っこし、私は解せぬという顔をする。





 三つ子を出産してから、ひっきりなしに村人がお祝いにやって来た。

 嬉しいけど、ベッドで対応した。


 三つ子はベビーベッドに寝かせた。


 ちなみに子ども達の名前だが。

 アルトリウスさんとの子は(ひかる)

 アインさんとの子は(はじめ)

 ティリオさんとの子は音彩(ねいろ)となった。


 最初は全員カタカナで統一しようと思ったのだが、ティリオさんが「貴方の子と分かる名前が欲しい」。

 と言うことで、全員極東風、元い漢字になった。



 つまり、御坂晃、御坂肇、御坂音彩という訳だ。

 アルトリウスさんも、これを機にミストリアから御坂を名乗ることにしたそうだ。

 他の二人は知らない間に名乗ってたらしい。



 取りあえず、子どもが増えたならやることは決まっている。

 というか前々からやりたかったことだが条件が子どもを持つことだからできなかった事だ。


 家の、改築だ。







梢の出産、ディーテ神の祝福のお陰で短く終わりました。

三つ子もするっと産まれましたし、梢のダメージも実は結構少なめですが、梢はそれを知覚できる状態じゃありません、出産してる間は意識地味に混乱モードにあったので。

だから出産時の事が梢は曖昧です。

そして名前は日本人風元い極東風になりました。

さて、梢がやりたいことがあると言ってますが、無事にできるのでしょうか?


ここまで読んでくださり有り難うございました。

反応、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
う、う、産まれたよぉ〜!!(感動のあまり号泣) そして、梢ちゃんは後で旦那様たちによるお話し合い(どれだけ自分たちが梢ちゃんを愛していて、女の子が梢ちゃんに似てほしいかの説明会)ですか…。 口は災いの…
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