村でのひとときと神様の訪問
クロウとマリアが戻ってきて出迎える梢。
クロウから何があったかは聞かない方が良いと言われ聞かない事にしたが、ふとある事が気になりクロウの元へ行く。
そして世界の成り立ちを少し聞いて、ミカエルと立ち話をしたりして家に戻り、自室に入ると何故か神様とディーテ神が居て──
二日後、何もなく過ごし、クロウがマリア様と一緒に帰ってきた。
「問題は無事解決したぞ」
「どうやって?」
「お前は知らぬほうがいいな」
「アッハイ」
クロウが知らない方がいいと発言するときはガチで知らない方が良いときだ。
故に私は詮索しなかった。
「……」
それにしても王族というか貴族社会は本当ドロドロしてるなぁ。
ちょっとやになる。
そんな事を考えているとふと気になってクロウの家に向かった。
「クロウちょっと聞きたいんだけどー?」
『おお、どうしたんじゃ?』
「久々見るお祖父ちゃんドラゴンモード……まぁ、いいやこの世界で自死したらどうなるの」
『この世界では転生の輪で作られているんじゃ』
「輪廻転生って奴?」
『その通りじゃよ』
「あのーじゃあ性格悪いと噂のアッシュ元王子と、メリー元王女、自死したじゃん、どうなるの?」
『神の裁きを受けた、生きている間に罪を償おうとせず、呪いをかける為に死んだ事でのう』
「Oh」
ちょっと驚き。
「で、呪いはどうなったの?」
『儂が浄化したぞー』
その言葉に安堵する。
「で、神の裁きでどうなったの?」
『それは聞かないほうがよかろうて』
「アッハイ」
またしても聞かない方がいい発言。
どんだけ異世界怖いんだ、いや怖いのは神様か。
普段は温厚だけど、神様はやっぱり神様で怖いんだろうなぁ──
結果、久しぶりに神様達にお供えした。
特にサービスとか無かったので、前回のような事はないだろう。
「子ども、かぁ」
ふと考えてみるがやはり自分が育てるイメージが湧かない。
親としての自分の姿が浮かばない。
考えても埒が明かないので、私は家の外に出て散歩をする事に。
吸血鬼区画に来ると、ワンワンと犬の鳴き声が聞こえた。
「メルト待ちなさい」
首輪を付けられている豆柴──メルトとミカエルさんだった。
「ミカエルさん、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう、コズエ様」
「シャルロットさんは?」
「シャルロットは妊娠中なのでメルトの世話は今は私がやっています」
「大変でしょう?」
「ええ、ですが漸くなついてくれたので……」
私はしゃがみ込み、メルトの顔を包む。
「メルトちゃん、シャルロットさんは赤ちゃんを産む為に大変なの、だからミカエルさんの言うことよーく聞いてね」
と言うと。
わん!
元気よく返事をした。
機嫌良さそうに尻尾を振っている。
「メルト、もう帰るのかい?」
わん!
「おかしいないつもそこそこ走らないと帰らないのに……私の場合は……」
「言うこと聞いてくれてるんじゃ無いですかね」
「ふふ、ならばコズエ様のお陰ですね」
「私は言っただけですよ」
わんわん!
「分かった、帰ろう。コズエ様失礼します」
ミカエルさんは家へと帰っていった。
「そう言えばシャルロットさん大丈夫かな、イリスさんも、レラさんも」
全員吸血鬼の子を妊娠した女性陣だ。
「一年くらいかかるって言ってたから、秋頃か?」
私はため息をつく。
「まぁ、その時がくれば分かるでしょう」
そう思って家に帰り自室に戻ると──
「梢や、こうして会うのは久しぶりじゃの?」
「ヴァー⁈」
私は奇声を発して扉を閉めて鍵をした。
何故か。
神様がいるからだ!
「神様、なんで来たんですか⁈」
「お主に会いたくての」
「私もいるわよー」
「ディーテ神様⁈」
「ディーテ様でいいわよ」
何故こんな事になっているか私の頭は混乱。
大混乱。
「梢。貴方、まだキスも口にしてないみたいね!」
「ほっといてくださいよ!」
それ以外の場所だけでも大変なのに。
頬とか、額とか、手とか。
「それで貴方に合わせて夫達も同じ場所にしかしない」
「何か不満があるんですか……」
「あるわよ、おおありよ! この恋愛を司る神ディーテからの祝福を受けながら何でそんなにスローペースなの!」
「はい?」
「ディーテ的にはさっさと子作りしてるレベルの加護を与えているのに、全然そんな気配がないのを怒っておるんじゃ」
「んなこと言われましても」
「梢、貴方子どもが欲しくないの⁈」
「欲しい欲しくないで、もの扱いする時点でまだまだ親になるには不完全なので遠慮します」
私は思った事を述べるとディーテ様は肩を落とした。
「これは私ではどうにもできないわ」
「だから言ったじゃろ」
神様がチーズを食べながら言う。
「梢は子を愛の結晶という簡単な言葉で片付けられるもので済ませられんのじゃ」
「でも、愛の結晶だわ!」
「梢の世界ではその愛の結晶を散々壊してきたものがいる、梢はそういう大人を見てきた、親も見てきた」
「ここはそんな世界とは違うわ!」
「でも似たような世界ではあるじゃろう」
「それは、そうですが……」
「梢は親になる覚悟がない今は親にはならん、まぁそのことで色々考えてはおるがな」
ディーテ様と神様、色々話し中。
私は置いてけぼり。
「そういえば、神様。ここの世界に来てからアレルギーというものに遭遇したことはないんですが」
神様が来ているので疑問をぶつける。
「ないぞ、アレルギーという存在そのものが」
「はい?」
「だから、花粉症もない、アレルギー性の病気や、たべられないというものもない」
「え?」
「気付かなかったのか? お前さん花粉症じゃったろう、ブタクサとかそう言ったものの。ないものを入れる訳にはいかんから直させてもらったんじゃよ」
「じゃ、じゃあブタクサとかが無いんじゃ無くて……」
「アレルギー自体がないんじゃよ」
「何それ羨ましい! 虫歯がないのも羨ましいのに!」
「あっちとは大きく違うからのう」
「違いすぎる!」
アレルギーが遺伝したらどうしようと考えていた私の悩みが無くなったけど──
だからといって今すぐ子どもが欲しい、という気分にはならない。
親になりたいという気分にならない。
そもそも私は親になっていい存在なのか?
「もう、また悩んでる」
「梢は悩むと考え込むからのう」
二人ともワインを飲み始めた。
「そう簡単に治りませんよこの癖は」
「まぁ、儂等的には子どもを作ってくれると有り難いんじゃがの」
「そうね、子ども達にも加護を授けられるし」
「はぁ……何かますます都合良いように扱われそうで子どもを産むという選択肢が……」
「余計じゃったな」
「そうですわね」
「まぁ、また来るからのー」
「じゃあね、梢ちゃん」
神様とディーテ様は姿を消した。
私は壁にもたれ、しゃがみ込んだ。
「本当、私親になってもいいの?」
答えてくれる存在は誰もいない。
クロウは色々な事を知っているけど、梢に教える内容は選んでます。
知らない方が幸せなこともありますからね
そしてミカエルとメルトですが、メルトが早く帰ろうとしたのは梢が話したからです、シャルロットが大変という事でメルトは帰ることにしたのです。
飼い主であるシャルロットが大好きなのですから、次に梢、その次にミカエルや村の子ども達という風になってます。
そしてまさかの神様の来訪。
現実世界で、いや異世界ですが。
ディーテ神が梢が中々妊娠する気配というかそういうことする気配がないのでしびれを切らしてやってきました。
神様元いデミトリアス神はそれをある意味抑えたりする為、でも神様も梢が早く子どもを産んで欲しいと願っています。
最期の梢の一言は、ある意味自分自身への問いかけでもあります、色々言われたけど子どもが欲しい梢は自分に対して本当に親になる勇気はある? という意味あいで問いかけています。
梢が親になる日は近いかも?
ここまで読んでくださり有り難うございました!
イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。
次回も読んでくださると嬉しいです。




