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赤ん坊とその周囲~そしてコズエの思う事~

正妃マリアに話しかけられる梢。

マルスとエリザの子、ルキウスと対面すると、ルキウスは梢の手を掴み、指を吸い始めた。

そこへクロウがやって来て──





「イザベラは話好きだな」

「マリア様」

 奥様達に交じって会話をしているイザベラちゃんを見てマリア様が楽しげに言う。

「イザベラにとっていい経験だ、有り難い」

「それなら良いのですが……」

 時期王太子妃かつ、時期王妃のイザベラちゃんにとって良いのかなぁ?

 私にはよく分からない。

「愛し子様、ご機嫌よう」

「ご機嫌よう、エリザ様……そちらの子が?」

「はい、私とマルスの息子、ルキウスです」

「ルキウス様ですね」

「あぶー」

 ルキウス君と視線を合わせると、ルキウス君は私に手を伸ばしていた。

 髪は不味いと思い、手を見せると、指を掴んでちゅぱちゅぱと吸い始めた。

「こらルキウス!」

「なんかすみません……」

「いいえコズエ様。こら、ルキウス、他人様の指をくわえちゃだめなのよ?」

 と言うも、赤ちゃんに通じるはずもなく。


 それにしても赤ちゃんって掴む力強いな。


 とか考えて現実逃避しているとクロウがやって来た。

「王子か」

「はい、エンシェントドラゴン様」

「愛し子の体の一部を口に含みたがるのはどの種族も同じか」

 クロウがルキウス君の口から私の指を加えるのを止めさせるとルキウス君ギャン泣き。「びぇああああああああああ‼」

「ああ、よしよし」

「コズエ、アレだ。アレを加えさせろ」

「はいはい、分かってますよ」

 おしゃぶりをアイテムボックスから取り出し、念の為消毒魔法でクロウが消毒してからルキウス君にくわえさせた。


 ちゅぱちゅぱ


 泣き止み大人しくなった。

「愛し子からの贈り物だからな、しゃぶらせればいい」

「お手数おかけします、コズエ様、エンシェントドラゴン様」

「いやぁ……あ、使う前に消毒とかして清潔にしておいてくださいね」

「はい」

「エリザどうした? ルキウスの泣き声が聞こえたが……」

 マルス様がやってくる。

「コズエ様のお陰で泣き止みました」

 とおしゃぶりをしているルキウス君を見せるエリザさん。

 赤ちゃんだなーと和む私。

「コズエ」

 微笑ましくしているそれを遮るようにクロウが言葉を発した。

「腹が減った、飯」

「クロウ、アンタは……」

 この時のクロウはゴーイングマイウエーなのだ。

 唯我独尊にもほどあるぞ。

「はいはい、で何か希望は?」

「パンケーキ」

「分かった」

 私は早速作りに行こうとするとエリザさんが肩に手を置いた。

「どうなさいました?」

「そのぱんけーき、という物は赤ん坊も食べられますか」

「残念ですが食べられませんね、ただ使う苺なら潰してミルクで柔らかくすれば食べられるかと」

「それをお願いしたいのですが、宜しいですか?」

「いいですよー」

 私は家に戻り早速パンケーキを作った。

 そして飾りの苺を細切りにしたのを加熱シロガネのミルクで潰した加熱した。

 山盛りのパンケーキをティリオさんに持って貰い、赤ちゃんように潰した苺を持って向かった。


 クロウは自宅に戻ったらしく、ティリオさんにはそっちを行って貰った。


「これで宜しいでしょうか?」

 と言ってエリザさんとルキウス君に見せると、ルキウス君が手を伸ばしてきた。

 エリザさんはスプーンを手に持ち、おしゃぶりを外してすくって食べさせた。

「んま!」

 もっとちょうだいと言わんばかりに笑顔になり手をたたく。

 無くなるまでそれは続き、無くなるとぐずりだした。

「もう、ないないなの」

 今にも泣きそうになるルキウス君再度おしゃぶりを付けて大人しくなって貰う。


 それにしても離乳食にくちつけるの早いなぁ?

 去年の夏が四ヶ月くらいで、そこから六ヶ月弱で生まれたとしてまだまだ離乳食よりもおっぱいの方が必要じゃない?

 とか悩んで居た。


「良かった、そろそろ離乳食も考えていたのです。私の乳の出も悪いし、乳母の件でゴタゴタがありましたから……」

「エリザ、その話はもうよそう」

「ええ、陛下」


 どうやら色々あったようだ、でも部外者の私を入れるのはどうかと考えたのだろう、二人は。

 その場から立ち去って館へと戻っていた。

「全く、愛し子様に隠し事自体が良くないというのに」

「マリア様」

「王家の恥、とも言えるからな今回の件は。仕方ないが」

「何があったのです?」

「それは──」

 マリア様曰く──


 側妃メリーウェザーの家をお取り潰しになったことを恨んだメリーウェザーの一族の一人が他の貴族達の手を借りて代々王家の乳母役を行っていた家に入り、そこでルキウス君を毒殺しようとしたそうだ。

 だが、毒殺する前にルキウス君はシロガネの乳を飲んでいたらしく、それによって毒が結晶化され、吐き出されたのを見た護衛が乳母を問いただした所明るみに出た。


 結果、メリーウェザーの一族に手を貸した他の貴族もお取り潰しに乳母の方は乳母役をする前にもっと慎重に選出する事になった。

 その結果、乳母がおらず、ルキウス君は銀牛であるシロガネのミルクで育てられた。


 ということだ。

「メリーウェザー……」

「あの一族本当我らに害しかならん、赤子と幼子を除いて処刑し、赤子と幼子は全員外に出ることは無い、修道院で育てられることになった」

「これで、もう害を加えられることはないですよね?」

「……」

 マリア様、遠い目してる。

 駄目っぽい。

 多分、メリーウェザーところの血族はともかく今回手を貸した物達が恨んで犯行しそうな気がしてるんだろう。

 王族も大変だ。


「そう言えばメリーウェザーの子達はどうなったんです」

「アッシュは館の一室への監禁でおかしくなって自死した」

「オウフ」

「メリーは逃げて出ようとしたところを捕まり、修道院の牢獄に捕まっている中で自害した」

「オウフ」

「どちらも此処最近だな」

「もしかして呪いをかけようとしてるのでは……」

「! その線は考えていなかった! 至急調査させよう」

「なら、我が乗せていく」

 クロウが出て来た。

 機嫌良さそうに。

 この食いしん坊め。


「エンシェントドラゴン様宜しいので」

「構わん、コズエしばし森を開ける、何かあったらレイヴンを頼れ」

「はい」

 軽く返事をすると、クロウはマリア様を乗せて飛んで行った。


「やれやれ、どうしたものか」

「コズエ様、レストリア様とリア様が」

「うん、分かった」

 私は転移門の前へと移動した。


 そして、お二人と対面した。

 女の子の赤ん坊を抱いていた。

「可愛いですねー。お名前は?」

「ルビアです。恩人のルビーから取りました」

 リアさんはそう言った。

「ルビーがここまで連れてきてくれなかったら私はもう駄目でしたから……」

「異論は無かった、ルビーに連れてきて貰ったからこそ私はリアとも出会えた」

 リアさんは赤ん坊を大事そうに抱えながら言う。

「コズエ様、良かったら触ってみて──」

「えっと、私が触ると、その後で赤ちゃんが泣き出すんですよ、指を掴んで離さないで泣き出すとか色々あるので」

「そうなんですか?」

「なんか私が神々の愛し子だからそうなってるらしいです」

「それなら仕方ない」

「いえ、だったら抱いていただきましょう、その後どうにかすればいいわ」

 マジですか。

 まぁまだおしゃぶりあるからいいけど……


 ルビアちゃんを抱っこする、

 とんとんと背中を叩きながら抱っこすると次第に目蓋が下がり眠ってしまった。


 なのでおしゃぶりの必要は無かった。

 すやすや寝ているルビアちゃんをリアさんに抱っこしてもらい、レーヴさんに仲介役をやって貰い居色々話して終了した。



 赤ちゃんは可愛いなぁ。

 でも、まだ親になる勇気はない。






赤ちゃん、起きてる時に梢と接触すると梢の体に触れたがる様子、しゃぶりたがる様子。

魔力とか欲しがるのはハイエルフとかですが、接触を好むのは他の種族でもあるようです。

なので梢はおしゃぶり隠し持つの必須。

そして、ドミナス王国関係、結構ドロドロな予感。マリア達も大変ですね。

ちなみにシロガネのミルクは梢が絞って貯めてた物をドミナス王国に卸した奴です。

クロウも梢が出掛けないようにドミナス王国へ行っています。


赤ちゃん可愛いなぁと思いながらも、梢はまだ親になる自信が持てない様子。

勇気がない、というのが正しいですが。


ここまで読んでくださり有り難うございました!

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
ルキウスくん、すでに大食いの片鱗が…??そして、なんだか不穏ですね。王族というのはどこの世界でも大変なんですね。私が今読んでいる小説でも、何かとゴタゴタしてます(汗) 梢ちゃんは子ども持つのが怖いだろ…
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