表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/280

キスと梢の恋愛事情

色々ありすぎてストレス解消で激辛ポテチを食べていた梢。

何故か、歯を磨くように言われて首をかしげる。

すると寝る時間に、アルトリウスからキスをされ──





「『エルキャラット・ブース』が欲しい? はいどうぞ」

 レイヴンさんから唐辛子よりも太く短いそれを渡され私は袋に入れる。

「コズエ様、何をなさるんですか?」

「これ、粉末状にしてポテチにかける」

「それは辛そうですな……」

「辛いだけで終わるのは嫌だから味は調整するよ」

「楽しみにしても良いですか?」

「勿論!」

 私はそう言ってレイヴンさんの家を後にした。


 最近色々ありすぎてストレスがたまる。

 ので、気軽にストレスを解消できるようにスナック菓子作りを再開しようと思っている。

 ポテトチップスは実は既に作ってある。

 ジャガイモは豊作なのでお手頃な菓子として皆覚えている。

 油もオリーブなどの油が豊富なので揚げるのには困らないし、妖精と精霊達のおかげで何回でも使える。


 私はクラフト小屋に入りエルキャラット・ブースを粉末状にした。


 そのままクラフト画面から激辛ポテトチップスの必要材料をクラフトメーカーにぶち込んだ。

 数分後。

「おー、できたできた」

 紙の袋に包まれて出て来た。

 小屋に持って行き、袋を破いて真っ赤なポテチを食べる。

「辛い! でも美味しい!」

「コズエ様、何をお作りになったのです?」

「激辛ポテチ、レイヴンさん呼んできて」

「分かりました」

 シルヴィーナちょっと呆れてる?

 でも、辛いもの好きなんだもん!


「うむ、これは辛いですが美味しいですね!」

「でしょう⁈」

「「「……」」」

 三人の視線は痛いが辛いものを食べたいんだよ!


「辛いものを食べたら歯磨きしてくださいね」

「同意だ」

「お願いします」

「分かってるよ、でもこの余韻にもう少し浸らせてよ……」

 私はむくれる。

 何をそんなに気にしてるのだ、と。





 その翌日の朝方、寝る少し前にアルトリウスさんが声をかけて来た。

 朝日がまだでない、満月が沈み行く静かな時間。

「コズエちょっといいか?」

「? 何、アルトリウスさ──」


 ちゅっ


 口に何か当たる感触があった。

 唇の感触だ。


 ……

 …………

 ………………


「ギャー!」

 顔が暑くなったまま棺桶に飛び込み、蓋をしてもだもだする。


 ファーストキス⁈

 急に辛いのどうたらこうたら言ってたのってこれが理由⁈

 待って待って‼

 心臓がバクバクしてる‼


 うわあああああ!

 ねむれないいいいいいい!


 その日、寝る事ができず夕暮れまで棺桶でもだもだする事になった。


「……おそよう」

 眠れなかった、眠れない、眠い、でも畑仕事しないと。

 アインさんとティリオさんが何か言ってたけど聞き取れなかった。


 ブラッドフルーツのカットフルーツを食べて、畑に向かい収穫と整備をして、聖獣の家畜小屋へ行き、ミルクなどの畜産物を収穫して、手入れをして自宅へ戻る。

 ちょっと村の皆には顔は見られたくない。


「コズエ」

「どわっ⁈ あ、アイン⁈ どうしたの急に──」

 最期まで言う前に唇が唇と触れ合った。

 私は再度顔が熱くなり──


「キャーーー‼」


 猛ダッシュで寝室の棺桶にダイブした。

 そして頭を打ち付ける。


 なんで⁈

 いきなりなんで⁈

 混乱したまま、ぐるぐると考え込んでいると眠ってしまった。





「ん……」

 起きると、食堂にはティリオだけが居た。

「おはよう……」

「ごきげんよう、コズエ様」

「うん……」

「何か食べますか?」

「ミルクとパンが欲しい……」

「畏まりました」

 そう言ってホットミルクと、白いパンを出してくれた。

 村で食べられるパンだ。

 もくもく、ごくごくと食べて飲み干す。

「はー……」

「コズエ様」

「ん? なぁに?」

 漸く落ち着いた私にティリオは言った。

「貴方に口づけをしたい」

 その言葉に顔が熱を帯びる。

「だから、なんで、そうなるの⁈」

「アルトリウスや、アイン様だけが貴方に口づけをして私だけ無し、ですか」

 うわー!

 そんな目で見つめないでくれ!

 捨てられている仔犬のような目で!


 しばし黙考した私は口を開いた。


「……いいよ、ただし私は目をつぶってるから」

「わかりました」

 恥ずかしいから目が開けられない。


 少ししてから、唇に、唇が重ねられる熱が感じられた。

 思わず目を開けてしまう。

 やっぱり、キスしていた。


「うう゛ぁー!」

 奇声を上げて再度二階の寝室の棺桶に蓋をしてもだもだする。

 今まで手の甲にキスしてたのに、急に口にキスし始めた。


 ナンデ⁈


 理由が分からず私はもだもだ棺桶で頭を打ち付けていた。





「……」

 ガンガンと言う音をコズエの棺桶から聞いたティリオはこれで良かったのかと思いつつ家を出てクロウの家に向かった。





「クロウ様、コズエ様は棺桶の中で頭を打ち付けています」

『なんじゃ初心にも程があるの』

「奇声も上げていらっしゃったので……顔も真っ赤にして」

「叫んでいましたね私達の時も」

「ああ」

 クロウははぁとため息をついた。

『早く梢と子作りしろとは言わんが、もうちょっと先の進んだ大人の関係にならんか』

「「「はぁ……」」」

 三人はそろってため息をつく。

『梢の初心さに合わせるといつまで経っても進まんぞ、強制的に一歩進ませろ。あ、性行為は本人が覚悟を決めるまでやらんでいいぞ』

「それは分かっています」

「勿論です」

「でも今の状況、どうします」

『女衆の力も借りるか、梢の初心さは度が過ぎているしの』

 クロウはそう言って体を動かし、人の姿になった。

「ところで、払われるとかはなかったのか」

「ありません」

「叫ばれて逃げられただけです」

「そうか」

 クロウはそう言って家を後にした──







三人にキスされる梢でした。

梢の初心っぷりが分かると思うと思います。

こんな調子だと先が思いやられますね。

クロウも呆れていますし。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
梢ちゃんって相変わらず辛党ですねぇ、と言おうと思ったらき、きききき!キッスうぅうう!?全わたしが奇声上げましたよ!!ニヤケが止まらなくて、同じ部屋にいた親に気味が悪がられましたよ。いきなりの展開に思わ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ