秋になりて~結婚式を挙げる二人~
夏休みが終わりに近づいた事でイザベラ達が帰っていったのを見送る梢。
そして秋になりシルヴィーナがシャルロットとミカエルが結婚式を挙げたいと話してきた。
了承し、二次会のドレスを作成することに──
「イザベラ様、お元気で」
「コズエ様もお体に気をつけて」
イザベラちゃん達が帰る日が来て私は見送りに来た。
「次はマルス達が来るだろうが、良くしてくれ」
「はい、マリア様」
「アルフォンス、お前は隠居するまで次は無いぞ」
「そ、そんなぁ」
アルフォンス陛下情けないですよ。
「ではな、愛し子様」
「コズエ様ー! また来年ー!」
「ええ、また来年ー!」
手を振って見送る。
馬車が見えなくなり、いつものように白亜が護衛として透明化して着きそうのを見送る。
「もう少しで秋かぁ」
夏の風が少し涼やかになりつつあった。
『もうすぐ秋だよー』
『まだ夏だよー』
精霊と妖精達が行き交う。
「さて、色々と準備しなくちゃね」
私は村に戻った。
「薪は十分、食料も大丈夫、アイテムボックスにも沢山入っている」
「コズエ、食料の確認か」
食料庫から出て来た私にアルトリウスさんが声をかけてきた。
「うん、そうだよ」
「クロウ様から言づてだ『神様がそろそろお供え物を欲している』とな」
「あ゛」
忙しくお備え全然してない。
「ちょっと自室に戻るから、部屋に入らないでね!」
「分かっている」
家に戻り、自室に鍵をかける。
そしてチーズと赤ワインと白ワインをお供えし、スマホで撮る。
そしたらスマホが鳴る。
私は通話ボタンを押す。
『いや、すまんの。なんか忙しいからいわんで置いたら忘れてると思って』
「すみません、忙しくて忘れてました、次回は気をつけます」
『いや、お気持ち程度と儂が言ったからできる範囲でたのむのぉ』
「有り難うございます……」
もうちょっとお供えの回数増やそう、そう決めた。
「コズエ様」
「どうしたのシルヴィーナ」
畑仕事と家畜のお世話が終わりベンチでのんびりしているとシルヴィーナが声をかけて来た。
「この秋にシャルロットさんとミカエルさんが結婚式を挙げたいと」
「おおーいいじゃん」
「それで二次会のドレスの作成をお願いしたいのですが……」
「うん、いいよ。シャルロットさんを私の家に呼んでくれる?」
「はい!」
シルヴィーナが走って行ったので私もさっさと家に戻った。
そして服を着替える。
服飾の作業しやすいように。
「あの、ドレスを作って下さるんですか」
「二次会のね」
「あの、夜のような色のドレスを作ってほしいのです」
「夜のような色、ねぇ」
頭の中で想像してみる。
「駄目ですか?」
「なんとかなると思う」
そういうとシャルロットさんはほっとした様子だった。
「ハイエルフの方に頼んでドレスは私のは白にして戴いたのです」
「そっかぁ、じゃあ二次会は合わせる?」
「できますか?」
「無理そうなら無理って言ってるから」
「ならお願いします」
そう言ってシャルロットさんは出て行った。
私はふぅと息を吐き、シャルロットさんが着たいドレスの布を制作しにクラフト小屋へ。
そこで夜色の布があったのでそれを選択する。
勿論糸も。
必要な材料を選択してアイテムボックスに詰め込むと家に戻り、部屋でクラフトを開始する。
シャルロットさんとミカエルさんのスリーサイズや身長等は把握済みだから。
見るだけでなんか分かるんだよな、それは。
さて作ろうか。
そう言って魔導ミシンと、手縫いを駆使し、デザインに合わせてクラフトする。
シャルロットさんのドレスができたのは朝方になってから。
なので欠伸をして棺桶に向かい寝ることに。
寝ようとするとアルトリウスさん達に手の甲にキスをされてから「おやすみ」の言葉を言われて眠った。
少し恥ずかしかった。
翌日、畑仕事と聖獣の世話を終えて家に戻り、ミカエルさんの服をデザインして同じく魔導ミシンなどを利用してクラフトする。
できたのは同じく朝方だった。
見せに行こうとおもったが、眠気には勝てず棺桶に入った。
その時も手の甲に三人からキスされた。
やはり恥ずかしい。
そして夕方、二人にできた衣装を見せに行った。
「こんなん仕上がりました」
「まぁ、素敵……!」
「こんな素晴らしい物、一体いくら支払えば」
「あーただで良いですよ、村の中で結婚式あげるんでしょう」
「そうですが、それでは私達の気が済みません」
「はい」
「じゃあ、結婚式に招待してください、それでいいですよ」
「それだと……」
「布も色の素材もあまりに余っているので作りたいんですよ、お気になさらず」
「……有り難うございます」
「コズエ様、本当に有り難うございます……」
「ワン!」
「おお、君もいたのか」
と豆柴っぽいメルトくん? ちゃん? を抱っこする。
「あ、雌だ」
「はい、メルトは女の子ですよ」
「可愛いねぇ」
「ワォン!」
メルトちゃんは満足げに声を上げ、顔をべろべろと舐めだした。
「こら、メルト! コズエ様にそういうことをしてはだめよ」
メルトちゃんをシャルロットさんは引き剥がす。
ちょっと顔がべとべとすんな、後で洗おう。
「一応袖を通して見て下さい」
「はい」
「分かりました」
二人は部屋に入り、着替え始めているようだ。
「コズエ様、背中をしめて下さいません?」
部屋から声が聞こえたので入り、夜を纏ったようなドレスを身につけたシャルロットさんの背中のチャックを上げる。
「まぁ、素敵」
「本当に素敵だよ、シャルロット」
「ミカエル、貴方もよ」
同じく着替え終わったミカエルさんが着た。
夜を纏うタキシードにしたので良かった。
「では、何かあったら困るので私が預かってますね」
「はい」
「分かりました」
二人は服を脱ぎに行き、シャルロットさんは手伝い脱いで貰い、ドレスをアイテムボックスにしまった。
ミカエルさんのタキシードも仕舞う。
「で、結婚式は?」
「七日後の夜からです」
「分かりました」
私は屋敷を出て空へ向かってお願いをする。
「神様、ミカエルさんとシャルロットさんの結婚式は晴れにしてください」
と。
ついでに家に帰ってお供えもした。
あと、顔も洗った。
そして七日後結婚式は始まった。
私もドレスを着て参加した。
アルトリウスさんや、アインさん、ティリオさんも。
クロウも勿論出席していた。
神官役はヴェロニカさん。
夜の都にいたときもやっていたそうだ。
キスをしているのをみると、平静を装いつつ心の中でキャー! となったりしてしまう。
そして二次会が始まり、ブラッドワインや葡萄酒元い赤ワインが振る舞われた。
子ども達は葡萄ジュースだけど。
ブラッドフルーツで作ったゼリーケーキとか、大きなケーキを用意しておいた。
鶏の丸焼きとかもあったりした。
そして夜が更けるまで騒いで、子ども達も夜更かしをしていた。
明日は皆寝坊だな、と思いながら見ていた。
私はまだまだだなーと何か物思いにふけった、多分いちゃつきの度合いとかがまだまだな気がする、だって恥ずかしいもの。
イザベラ達とまたお別れの時期になりました。
そしてシルヴィーナからシャルロットとミカエルが結婚式を挙げたいので二次会のドレスを依頼される。
手早くそして美しいドレスを作りました。
結婚式後、ちょっと黄昏れるというか物思いにふける梢、何せ手の甲にキスされるだけでちょっと恥ずかしくて進めないのですから。
梢の恋愛は、夫婦仲はどうなるのでしょう。
ここまで読んでくださり有り難うございました!
次回も読んでくださると嬉しいです。
イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。