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宴とミストリア一家。そして精霊と妖精が見えた!

夕方目を覚ました梢は村人達にジュースや酒等を与える。

すると活力を取り戻した村人とそれにつられてやって来たドワーフが宴を始める。

宴──というか騒がしいのがまだ少々苦手な梢は退散するが──




 夕方──

「夕方ですよーコズエ様ー!」

「あ゛ーう゛ん」

 寝ぼけ眼をこすりながら叩かれる棺桶の蓋を開け起きる。

「そう言えば村人さん達は?」

「少し体が弱ってる方々がいるようです」

「よし、ジュース飲ませるか、果物食べさせるか」

「野菜は?」

「あんなでかいの料理しないと無理でしょ、トマトとかならともかく」

「ですよね」

 私は村の区域へと向かう。


 村人にジュースを出すと、恐る恐る最初は口にしたが、がぶがぶと飲み始め、果物もがっつき始めた。

 巨大な葡萄や、ブルーベリー、ラズベリー、スモモなんかも食べ始めてお腹いっぱいになったんじゃないかと思うと宴を始めた。


 その音に誘われてでてくるドワーフ勢。


 私は酒を提供すると歓喜の声を上げて酒を皆で飲み始めた。

 私はそういう空気が苦手なので畑に戻った。



 がちゅ。

「んーブラッドフルーツは吸血鬼に取っては即効栄養ドリンクみたいなもんやな……いや、エナドリとは違うけど、アレと同じだと寿命縮まる」

 ブラッドフルーツを囓りながら一人ツッコミを入れていた。

 聖獣達のお世話も終わり、畜産物も収穫し、収穫できないほど巨大化した野菜の収穫をすると種を再度蒔いておいた。

「こっちだと連作とか考えなくていいんだもんなぁ」

 そう言ってサワーを口にする。

「あー美味い! サワーには炭酸水が必須だしなぁ、あカクテルとかならサングリア作れるかな」

「コズエ様」

「アルスさん」

「村人を元気にしてくださり有り難うございます、そして酒の提供まで……あれほどの上質な酒初めてでございます」

「まぁ、果物とかが大量に実ってくれるから作れるんだよね」

「それも、コズエ様が精霊と妖精に愛されているからでしょう」

「そうかな?」

「そうだと思います」

 マルスさんは穏やかに微笑んだ。

「コズエ。ジャイアントディアーの肉……誰だその獣人は?」

 アルトリウスさん、警戒してる。

 なんでや。

「あ、アルトリウスさん。こっちの方はアルスさん、ルフェン君のお父さんだよ」

「ルフェンの? これは失礼した。子息とは良くさせてもらっている」

「貴方がアルトリウスさんですか、息子が『アルトリウスの兄ちゃんはシルヴィーナ姉ちゃんと同じくらい狩りが美味くて料理も上手なんだぜ!』と行っていましたよ」

「恐縮だ」

「良かったら宴に参加を──」

「私はダンピールだ、それに宴は好かぬ」

「そうですか……では」

 アルスさんは行ってしまった。

「宴苦手なの?」

「ああ」

「そっか、なら仕方ないね」

「コズエもか?」

「私も宴会というか騒がしいのは苦手でねー。子どもの声とかは平気なんだけど宴会は苦手」

「なるほど」

 アルトリウスさんは頷いた。

「さて、仕事も終わったし家で針仕事でもしますか。あ、お肉ありがとう」

「コズエ、良かったら私達の家で食べていかないか」

 お誘いを受けました。

「うん、いいよ」

 私は受けることにした、どうせ暇だし。



「あら、コズエさん、ようこそいらっしゃいました」

「家に不具合とかないですか」

「いいえ、ありません」

「それは良かった」

「母上、コズエは針仕事をよくやるようだ、話が合うかもしれない」

「まぁまぁ、お話を聞かせてくださいな」

「は、はい」

 なんか緊張しちゃう。

 一応交流はしてるけど、シルヴィーナさんと比べたら比較できないくらい交流頻度が少ない、この二人とは。

 もっぱら畑仕事して色々悩んでいるからかなぁ?

 とか思ってたりしてる。

「コズエさん、前に作って貰った糸車で良い糸が作れています」

「それはよかった」

 私はメーカーで作ってるからなぁ。

 苦労知らずでごめんなさい。

「そこで髪留めと作ってみたんです。宜しければ……」

 赤く光る輪ゴムのようなものを渡される。

 そう言えば髪を伸ばしっぱなしだったなといまさら気づく。

 私は髪を結う。

「有り難うございます」

「いいえ、それはこちらの言葉です」

「?」

「私はあの人と生きようと思った時点で家とは縁を切られました、そしてあの人と幸せなひとときを送っていましたが……あの日イブリス教の信者達が屋敷を襲い火を放ちあの人は私達を救う為に一人屋敷に残りました……後日屋敷の後にはあの人の灰らしきものと服が残されていました……」

「……」

「それから姿を隠し、息子と精霊やエルフの行商と対話をしながら逃げ続けていました」

「そうなん、ですね」

「ええ、そこで知ったのがこの場所です、この場所に逃げ込む途中に見つかりもう駄目だと思いましたが……コズエ様に救われました、本当に有り難うございます」

「いやぁ、あの連中がムカついたもんで」

「母上、コズエ。料理ができた」

「はい」

「有り難う、アルトリウス」

「いいんだよ、母上」

 その後、私はジャガイモのソテーとジャイアントディアーのステーキ、野菜のスープをごちそうになった。

 スープはブイヨンのようで美味しかった。

 あと、パンも作っているのかパンもかみ応えがあり、ずっしりとしていて予想外に美味しかった。

「ふぅ、ごちそうさま」

「ブラッドフルーツのワインは良いのか?」

「うん、ワインはなんか飲まないの。美味しいけど」

「そうか……」

「まぁ、冬になったら飲むかもね」

「それがいい」

 そんな会話をして私は帰路についた。


 ふぅと息を吐き、星空を眺める。


 もはやスローライフとは言いがたいがそれでも自分らしく選択しよう。

 後悔のないように、そう思いながら自宅へ走った。





『愛し子様ー夕方だよ、起きてー』

『起きてよー』

 うーまだ眠いのに、それにしても聞き覚えのない声だな。

『今日もたっぷり実ったよ!』

『実らせたよ!』

 ん?

 実らせた?

 私が棺桶を開けると──

『愛し子様ー』

『もしかして見えてる見えてる?』

『やったー!』

『愛し子様僕ら頑張ったよー!』

「どわあああ‼」

 大量の妖精と精霊と思わしき存在が私に突撃してきた。

 昏倒する私。

「コズエ様、夕方です……どわあああ⁈」

「ムガー‼ (ちょっと助けてヘルプミー‼)」

 と声にならない声を上げる。

「おお、やっと見えるようになったか。それはそうとしてどかぬかおぬし等、いつまで経ってもコズエが起きれんぞ」

 クロウさんが来てそういうと妖精と精霊と思わしき存在が散らばっていく。

「ふへー……しんどみ」

 思わず声を上げる。

「コズエ様、大丈夫ですか?」

「いや、びっくり。棺桶開けたら顔面にぶわっと突撃されたからね」

「おぬし等……」

 クロウさんがあきれの声を出す。

『ごめんなさい、愛し子様ー』

『見てもらえて嬉しかったのー』

『ずっと闇の連中が羨ましかったのー』

『だから嬉しくてついー』

「そっか、じゃあ次からは気をつけてね。これから宜しくね」

『『『『『『『『うん‼』』』』』』』』

 うおお、耳にキーンと来る。

 そんだけいるんだもんなぁ。

「さて、今日も働きますかぁ」

「それはそうとコズエ」

「なんですかい?」

「もう少しすると秋も終わり、冬になる。冬支度は?」

「あ」


 ぜーんぜんやってねー‼


「だろうな」

 クロウは呆れてからドラゴンの姿に戻る。

『薪作りなら精霊と妖精に頼めばあっという間だ、ただ他の家はどうやら夏は涼しく、冬は暖かくなるよう加護が付いているから、薪が必要なのはお前さんところだけのようじゃ』

「え、神様面倒くさい仕様にしてませんかそれ」

 思わず口に出る。

「まぁ、いいや、木とかはたくさんあるし足りなかったら買えばいいからね……」

 そう言って木をどさっと出して、薪サイズにカットする。

「これ、薪にできる?」

『できるよー』

『そうれ!』

 全て乾燥していた、薪になってる。

「よし、全部アイテムボックスに入れて……」

 アイテムボックスに入れてしばし考える

「……冬、めっちゃ暇だな……狩りもできないし、今のうちに保存肉仕入れておくか。まぁこれも最悪買えばいいし」

 金貨とかが行商もあって凄まじい勢いで貯まっていって居るのだ。

 行商と、スマフォの売買の機能で買えば冬は安泰だろう。








リサとアルトリウスとの交流、アルトリウス達がどうしてここまで来たかが明かされました。

そして、ついに妖精と精霊が見えるようになった梢。

妖精と精霊に歓喜の突撃をされます。

これでやりとりがハッキリとできるようになりますね。

後、神様が作った家と、梢が作った家は大きな差があるようです。

何故でしょうね?


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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