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一ヶ月寝込んでました~原因は……~

一ヶ月寝込んだ梢は漸く目を覚ました。

通夜でもしている空気の中リビングに入ると伴侶達とシルヴィーナ、クロウに抱きしめられ──





「よっしゃふっかーつ!」

 一ヶ月間寝込んで漸くメンタル復活できた。

 それくらいこの間のはエグかった。


 しかし、一ヶ月飲まず食わずだったから腹が減った。

 後、脳内からどうにかあのエグい動画を除去できた。

 嫌な事は忘れるに限る!


「皆おはよー……ぐえ!」

 通夜でもしている空気の中に入って行ってしまったらしく、私は全員に抱きしめられた。

「コズエ、漸く起きたか!」

「コズエ! 起きましたか!」

「コズエ様、漸くお目覚めですか!」

「コズエ様、私、中々寝付けませんでした!」

「梢すまぬ! 次からは気をつける!」

「ギブギブ、じぬ、抱きしめ殺される!」

 とバンバン手を叩くと漸く解放された。

 ぜーぜーと息をする。

「少しは手加減してよもう!」

「すまない、一ヶ月も寝ていたから……」

「それだけ今回のことは脳から抹消したいのが混じってたの」

「本当にすまぬ」

 クロウが謝るが、若干許せぬ。

 が、話題にも出したくない、せっかく映像消したのに。

「もういい、忘れたから。次は気をつけて」

「分かった」

「ところで、この一ヶ月何かあった?」

 ブラッドフルーツを囓りながら聞く。

「まぁ、あの件で『お前達は信用できない』烙印を押された連中が始祖の森に押し寄せて『なんとか取りなしてくれ』とか『あの映像は嘘だといってくれ』とか色々まぁ自分勝手な発言をするもんで丁重に(・・・)お帰り戴いた」

「ナルホド」

 絶対丁重じゃねぇな。

 だがツッコミはしない、腹が減りに減っているからだ。

「リアを追い詰めた連中もやって来たが、こいつらもお帰り戴いた。リアにはもはや不要な連中だ、リアにはレストリアが居れば良かろう」

「そう言えば、リアさんとルビーさんは?」

「二人とも魔族の国へと移住した。魔族の国を豊かにするのだと」

「そうか、それなら良かった」

「それと、お前が一ヶ月寝ている間に結婚式も終わった」

「やっぱりかー」

「まぁ映像は撮ってあるから後でみるか?」

「見る見る」

 それは見たい。

「しかし、そんな固形物食って大丈夫か? 腹壊さないか?」

「あ゛」

 再びブラッドフルーツに齧り付こうとした私にクロウは言った。

 そういや植えてる人やしばらくまともにご飯食べてない人が普通のご飯食べたら胃が受け付けないっていうもんねー!

 仕方ない……


 ブラッドワインを取りだし、コップに注ぐ。

 ぐびぐびと飲む。

 うん、血だけど上手い。


 ブラッドワインはあまり飲まないからこう言う時飲むと美味しく感じる。

 服を着替え、久しぶりに畑に立つと──


「コズエ様だ!」

「コズエ様、大丈夫ですか!」

 と子ども達や農作業の手伝いをしてくれる女性陣がやって来る。

「すみません、一ヶ月も寝込んで」

「心配しておりましたが、こうして元気なお姿を見られて嬉しい限りです!」

「コズエ様がお目覚めになられたと⁈」

「宴じゃ、宴ー! 今宵はパーッと飲むぞー!」

 ドワーフの皆様方、宴したいだけなんちゃう?

「コズエ様が棺桶で寝込んでいる一ヶ月間、村の空気は重くなり、誰も宴とか言い出せなかったんですよ」

「あー……悪いことしたなぁ」

「別に宴が一ヶ月できないくらいでうだうだ言うか」

「私を一ヶ月寝込ませたクロウがなんか言ってら」

「うぐ」

 クロウは痛いところを突かれたようだった。

 事実だしね!

「クロウ様、何をしてコズエ様を一ヶ月も寝込ませたのです?」

「あー聞かないで聞かないで、聞くなら私の居ないところで聞いて、せっかく忘れたんだから」

「分かりました」

 アルスさん大人しく引っ込んでくれた。

 思い出したくないので、このままで行こう。




 私はまだ疲れているので宴には出ず、引っ込んでいることに。


 一人、ちびちびとブラッドワインを飲んでいると、アルトリウスさん達がやって来た。

「あれ、皆宴は?」

「コズエが出ないなら意味がない」

「同意見です」

「はい、私もです」

「そっか……」

「何かつまみでも作りましょうか?」

「あーいいよ、今お腹の調子不安だし」

「そうでしたね、申し訳ない」

 アインさんが謝罪する。

「そんな、謝る必要はないのよ、全部クロウが悪いんだから」

「クロウ様でも、コズエの嫌なところを刺激することがあるのだな」

「そりゃあ向こうも何でも分かってる訳じゃないし、私もクロウのことほとんど知らないし仕方ないんじゃない?」

「そうですか……」

「そうか……」

 ちびちびとブラッドワインを飲む。

「何が私のメンタルを削ったのか知りたいならクロウに聞いて、多分向こうは分かってる」

「もう聞いた、そして見た」

「ええ」

「はい」

 三人とも行動早いな、と私は思った。

 疲れから私は欠伸をした。


「なんか久々動いて疲れちゃった、もう寝るね」

「お休み、コズエ」

「お休みなさい、コズエ」

「お休みなさい、コズエ様」

「うん、お休み」

 私は二階に行き、自分の棺桶に入って眠りに落ちた。





「クロウ様、シルヴィーナがコズエが寝込んだ理由を知りたいと」

「はい、コズエ様が一ヶ月も寝込むなんて今まで一度もありませんでした!」

 アルトリウス達とシルヴィーナがクロウの家を訪ねていた。

「言うより、見た方が早いな」

「?」

 クロウは、梢がグロッキーになった場面だけを再生させた。

 それは全て男と女──聖女と呼ばれた悪女が、性行為に及んでいるシーンだった。


「な、な、なんて物をコズエ様に見せているのですかー!」


 シルヴィーナは顔を真っ赤にしてクロウの頭にチョップした。

「いやぁ、証拠として出すには良いものだと思ったのでな」

「その時、誰もコズエ様の耳や目を覆わなかったのですか⁈」

「おらんかったな」

「クロウ様、せめてコズエ様を暗黒球の魔法で保護するのを考えなかったのですか?」

「その時はすっかり忘れておったし、コズエがこれで寝込むなど知らんかったのだ」

「もおおお! コズエ様はとても初心で繊細な女性ですよ! こんなもん見たら寝込みます!」

「そうか……」

「そうか、じゃありません!」

 シルヴィーナはぷんすこと怒っている。



「シルヴィーナ、一体どう……Oh……クロウ様、シルヴィーナになんて物を!」

 レームさんが顔を真っ赤にしている。

「安心してレーム、私はこれ位じゃ動じないわ」

「そ、そうかい?」

「問題はこれを見た結果コズエ様が一ヶ月も寝込まれた事よ」

 レームは扉を閉めて、驚いた表情をする。

「コズエ様がかい?」

「ええ、コズエ様、ピュアだから」

「そんなに?」

「母上が一度、子作りについてコズエに尋ねたが、方法は知っていて内容も合っているが、それができるかと言われたら別の話と言っていた。コズエは性行為が苦手なのだろう、見るのも実践するのも」

「それは……大変だね」

「コズエさんにその辺りは無理強いするつもりは私達はありません」

「良かった、無理強いするなんて言ってたら貴方三人の頭にかかと落としを喰らわせてやろうかと思ってましたので」

「それは御免被る」

「同意見です」

「しませんよ!」

 アルトリウスとアインが肩をすくめ、ティリオは首を振る。

「しかし、それだと、シルヴィーナ報告できないんじゃないか?」

「何がだ?」

「子どもができたんだよ、シルヴィーナとの子どもが」

「「「「え゛」」」」

「レーム! 何で言っちゃうの! 安定期じゃないのに!」

「ご、ごめんよぉ」

「それなら大人しくしておけ、お前が妊娠したことは安定期になってから言えばいい」

「はい……」

「妊婦に悪いものを見せたな、すまん」

 クロウは謝罪した。

「ちゃんと反省してくださいね、クロウ様」

「ああ、分かっている」

 クロウがそう言うと、皆大丈夫かなと不安な表情を浮かべた。







梢ピュア過ぎてエグいエロシーンはキツかったというオチに。

結果脳みそから映像等を削除する為に一ヶ月寝込む事になりました。

シルヴィーナもクロウを怒る程の映像です、梢繊細なところとか色々あるんですよ。

そしてシルヴィーナの妊娠、梢が知るのは安定期に入ってからでしょうね。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

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― 新着の感想 ―
梢ちゃんいつも思うけど、やっぱり愛されてるねぇ(感動のあまり号泣) 前話でも説明あった通り、本当にうっかりだったんですね…。1ヶ月も寝込む梢ちゃんピュアすぎる。 そして、シルヴィーナさん、妊娠してたの…
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