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魔族の国と交易

畑仕事を終えた梢の元にクロウがやって来て「魔族」が来ると言ってきた。

吸血鬼ほどではないが忌避される存在である魔族がドラゴンに乗ってやって来ていると聞き、梢達は森の入り口に向かう──





『んー……』

「クロウ?」

 畑仕事とかを終えて家に戻り、お風呂に入って着替えてから村に向かうとクロウが空を見上げていた。

『来るのぉ』

「何が?」

『魔族』


 ハイ?

 今、魔族って言った?

 マジで?


「あ、あのークロウ? 魔族ってどんな一族?」

『ん、ああ創造神様と闇の神によって作られた一族者よ、悪い連中じゃない』

「そ、そうなんだ」

 少し安心する。

『じゃが、吸血鬼程ではないが忌避されてる連中じゃ』

「吸血鬼どんだけ……」

『ドラゴンに乗ってやって来ておるが結界で村には着地できんようじゃ、森の入り口へ行くぞ』

「うん、シルヴィーナ付き合ってくれる?」

「勿論です」

「俺達も付き合おう」

「当然です」

「はい」

 と言うわけで、六人で森の入り口に向かう。




 森の入り口のはドラゴンが六匹ほどいた。

 羊のような形だが結構大きい角が生えている男性が前に出る。

「貴方が愛し子様ですね」

 と私を見て言う、あれー愛し子とか言ってないけど。

「吸血鬼の愛し子の話は我が魔族の国にも届いております」

 そうか、此処で吸血鬼なのは私だけ。

 アルトリウスさんはダンピールだし。

「神々の加護か、夜の匂いだけでなく、朝の匂いまで纏っているのは驚きましたが」

 夜の匂い?

 朝の匂い?

 わかんないけど、私夜行性ですが。

「吸血鬼特有の匂いと、それとは真逆の匂いだ」

 って、クロウに説明されても全くわからん。

「ところで、何で来たんですか」

「感謝を、名無しの神森に世界樹を植え、我が国から瘴気を一掃して下さった事を」

「??」

 どういうことだと頭がハテナマークを量産する。

「お前が世界樹ユグドラシルに生長させた時に『祝福』が起きただろう? あの『祝福』は瘴気をもかき消す程の力を持つ」

「へー……」

 そうだったんだと、今更納得。

「はい、その祝福のお陰で我が国の瘴気は消え失せ、大地は豊かになりました」

「……何で瘴気のある土地に住んでたの?」

「それは──」

「魔族は瘴気適正が強い、だから瘴気のある土地でも生きていける。それ故に大昔のカインド帝国時代に瘴気まみれの名無しの神森だけが残る土地へと追いやられたのだ。悪魔としてな」

「酷い……ていうかカインド帝国ろくでもない事ばっかりしてるじゃん」

「まぁ、その結果滅んだがな。その末裔でできたロガリア帝国も滅び、新しい神森になって人が来ない土地になっておる」

「そういや、そんな事したような」

「梢、お前自分がやったことの重大さ忘れているな」

「何せ畑仕事とかで忙しいんで……」

 頬をぽりぽりと掻きながら私は苦笑すると、クロウはため息をついた。

「それで、そんな魔族が何の用だ?」

「我が国で採れる植物と、宝石お礼の送りものとして受け取って貰いたく」

「え、いいよいいよ、そんなん!」

「梢、貰っておけ。どれもこっちからじゃ手に入らん代物だ」

「でもさー、貰ってばっかりだと気分良くないし」

「ならお前もくれてやれば良かろう」

「それもそうか」

 クロウの言葉に納得する私。

「愛し子様、良いのです、私共は──」

「国が豊かになったとは言え、まだまだ土壌改良が必要なのだろう? ならば我らの土地で採れた作物を持って行け。何、数日で実る加護を受けている為とんでもないものだから遠慮するな」

「シルヴィーナ、持ってくる作物選定するからマジックボックス貰ってきたら選定手伝って──」

「はい、畏まりました」

「あ、皆さん、宜しければ村へどうぞー」


 そう言って、私はシルヴィーナとその場を後にした。





「目的は食料だな」

 梢とシルヴィーナが居なくなるとクロウがそう切り出した。

「申し訳ございません、まだ土壌は他の国程ではなく、作物も実りがよくありません」

「おそらくただで貰うことはしないと踏んだのだろう、まぁ実際そうだがな」

「はい……」

「して、魔族の王よ、我らに他に何を望む?」

「できれば交易を望みたいのですが……」

「失伝の魔法がないと無理だな、一々我が交易に飛ぶのは面倒だ」

「ですが、クロウ様。コズエ様はそれを聞いたらクロウ様に『冷血漢ー!』と言いませんか」

「言うな、確実に。なので──」


「梢に転移門(ゲート)を作って貰おう」





「ぶえっくしゅ!」

「コズエ様、お風邪ですか?」

「いんや、多分クロウ辺りが私の噂してるんだと思う」


 マジックボックスにあまりに余っている小麦や野菜、果物、肉、等を詰め込み終えるとそれを抱えて村へ向かう。

 村の中に魔族の方々は入って来た。


「おお、梢。来たか、お前にやって貰いたいことがある」

「なんじゃらほい」

 クロウに呼ばれて青い宝玉等を渡される。

「かつて転移門と呼ばれる門があったのだが、カインド帝国の連中が魔族を今の場所に追いやったと全てを同時に破壊してしまって、職人も殺し、今では作れるものは誰もいない」

「もしかして、クラフト?」

「その通りだ」

「クロウは作れないの?」

「我が物作りなどするか?」

「はいはい、デスヨネー」

 私は村のあいている箇所に立ち、クラフトと呟く。

 するとクラフトの画面が出て「転移門」と表示された。

 材料はクロウが持ってきた物で十分だった。

 ぽちっと選択して、私の体はクラフトモードに移行する。


 どんがしゃん‼


 派手な音を鳴らしながら、転移門ができあがった。

「転移門は完成だな、では場所は我が選択しよう」

「お願い」

 魔法に関してはさっぱりなので、私はクロウに任せた。


「城の近くでいいか?」

「はい、構いません」

 映像が映し出され、クロウは魔王様に確認しながら言う。

「では、ここで……」


 がちゃん!


 と音がして、転移門の向こう側が見えるようになった。

「試しに行って見るか」

 クロウが私の首根っこを掴み、魔王様と一緒に転移門の向こう側に行く。


 すると、痩せて雑草が少しばかり生い茂っている土地の場所に城はあった。

「……土壌改良できないかな」

「それは後々の課題だな、お前の」

 クロウは意地悪げに言うと、また魔王様と一緒に転移門へ入った。


「これで交易ができる。好きなように使うが良い。無論だが悪意のある物は弾かれるぞ」

「分かっております」

 魔王様がクロウに頭を垂れた。

「愛し子様、何から何まで申し訳ない」

「いやー良いんですよ、気にしてません」

 正直に答える。

「では、こちらの中に食料が入っています、持って帰ってください」

「その程度のドラゴンなら転移門に入るだろう、転移門で帰るといい、そして梢の、愛し子の村と交易できるようになったと宣言するといい」

「有り難き幸せ」

 魔族の方々と魔王様は頭を再度下げた。


 まず魔王様が通って去って行った。

 ドラゴン君達は転移門を器用に通って帰って行く。

 その後ろを魔族の方々がマジックボックスを大事に抱えてついて行く。


「シルヴィーナ、後でレイヴンを呼べ、交易や商売なら彼奴の得意分野だろう」

「はい、兄に任せてください」


 だよねー適材適所。





 こうして、我が村は魔族の国と交易することになったのでした。

 でも何で転移門の素材をクロウ持ってたんだろう?

 魔族のこと気に掛けてたのかな?






梢達は魔族と交易を始めました。

魔族は国産の宝石や金属など、梢達は野菜などの作物類を。

祝福で瘴気が消えたとは言え、まだまだ土壌改良が必要な土地なのです、魔族の国は。


そして梢が最後に何で持って居たのかというのは、クロウが転移門の素材を何故持って居たのかという事です。

クロウはいつか再び転移門が必要となるのではと所持しておりました。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

イイネ、ブクマ、感想、誤字報告等有り難うございます。

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― 新着の感想 ―
転移門まで作れちゃう梢ちゃんは何者!?と思ったところでよく考えたら愛し子だったと自己完結しました。クロウおじいちゃん準備がいいですね、さすがです! そして、魔族の一団が来たと思ったら、まさかの魔王様も…
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