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ディープスペース・インベーダーズ  作者: 鬼野宮マルキ
ファースト・コンタクト編
7/9

敵の正体

人類生活圏辺境

地球連邦艦隊、アシモフ級軽巡洋艦・USSノースカロライナ号

作戦室

連邦歴221年1月末(地球歴2408年1月末)

タイラン人とファーストコンタクト中


唖然する地球連邦の面々と違い、タイラン人のシュームエルは冷静と映像通信を見ていた。


「チャーフェス人・は・すぐ・サモア・星系・へ・行かない」


「なぜそれを分かるのか?答えていただきたい」


画面越しの連邦大統領、アラーラ・コンスタントプールーはすぐに異星人の言葉に反応し、質問をした。


「チャーフェス人・の・性質・を・知っている・から」


「その性質とやら、説明してもらいたい」


艦隊のタラソフ大将は前かがみになって、質問をした。


「最初・から・順次・に・説明・する」


「詳しく聞かせていただきたい」


コンスタントプールー大統領は更に追い打ちをかけた。


「チャーフェス人・は・宇宙・を・侵略・する・理由・は・自分たち・文化・や・文明・を・持ってない・から」


「文化や文明がない?!そんなのありか?!」


思わずガルシア艦長は大きな声で驚いた。


「文明・社会・では・ない」


シュームエルはゆっくりとチャーフェス人の生態についての説明を始めた。


頭足類型異星人のコミュニコン人はこの銀河内で自然に知性化した最初の覇権種族の一つだった。

彼ら以外、他2種族も知性化し、銀河の覇権争いを数万年続いていた。

苛烈な覇権争いを制するため、知性化してない動物資源が豊富な未開の惑星を片っ端から制していた。

そんな彼ら地球を選んだ理由はその多様性な動植物にあった。

特に哺乳類に目を付けて、古くから実験をしていた。


シュームエルの説明ではコミュニコン人はヒト属だけではなく繁殖力の強いグリレス大目、適応能力の高いウシ科などに遺伝子操作を加えて、知性化させた。


「牛、ネズミやウサギ星人がいるってこと?」


マチダ少佐は信じられないような口調でつぶやいた。


銀河には地球原産の動物を基に作られた種族が存在する事実はこの会議で初めて明かされた。

地球原産を基にしない種族も少なからず存在するが、地球の豊富な資源が生んだ多様化な動植物に勝る惑星が銀河内ではそう多くはなかった。


「その他の地球原産の生物を基に知性化された種族はどこにいますか?」


USSノースカロライナ号の化学部門責任者でテラフォーミングされた惑星パスコ出身の女性、クラウジア・ワマン中尉が好奇心を抑えきれず、質問した。


連邦大統領及び艦隊司令部も同様のことを思ったらしく、タイラン人を見つめた。


「チャーフェス人・に・大半・滅ぼされた・が・一部・は・我が・タイラン・連邦・と・同盟・か・保護下・に・ある」


シュームエルは居心地悪そうに返答した。


それからの説明が更に信じがたいものだった。

ホモ・ルドルフエンシスを基に知性化されたチャーフェス人は遺伝子操作が施された際、闘争の衝動制限が解除され、雄の場合、常にテストステロン高濃度の状態であり、捕食者本能をむき出しにし、戦い状態がない場合、同種で殺しあうことが多かった。雌にしても、雄より数段低い攻撃性を持ち、多産であった。雄の地位が高く、全体の主導権を握り、雌の地位が低い、子どもを産むための存在になった。


コミュニコン人は自分たちが作り出した野蛮な種族が本来ならば、社会性が絶対に保たれないと分かっていたので、他の覇権種族との戦争の使い捨て駒として繁栄させ、尚且つある程度制御するため、偽宗教を作り、唯一神エストルを崇めさせ、自分たちはその代理と名乗った。


数万年それは上手く運用していたが、一部のチャーフェス人の個体は更に知性を持ったことでぎりぎりで保たれていた不安定な秩序が一気に崩壊した。


コミュニコン人は自分たちが作った怪物に駆逐され、ほぼ絶滅状態になった。

コミュニコン帝国の崩壊により、他の2つの覇権種族が一旦争いをやめ、自分たちの領域内を出なくなった。


コミュニコン人のテクノロジーを自分たちのものにしたチャーフェス人は銀河を飛び回り、知的生物の大虐殺を生業とした。


チャーフェス人は知性化された種族だったが、高度に進んだコミュニコン人の遺産を受け継いだものの、彼らには宇宙船を動かすことができても、修理や武器の補充もできない。殺戮者たちには幸運だったのはコミュニコンの宇宙船は自動修復機能と原材料さえ与えれば自動補充機能が付いていることだった。


数千の巨大な宇宙船で銀河で暴れまわり、闘争本能のままで生命を滅ぼし、星を略奪し、数を増やし、銀河内で1500光年にも及ぶ広大な領土の国家を持つようになった。



「チャーフェス人・は・新たな・移住地・と・なる・惑星・を・手・に・入れた・少なくても・1年・動かない」


「なぜそれを分かるのか?」


タラソフ大将は質問した。


「そこ・で・侵略・拠点・を・作る・ため」


「ならば反撃できるのか?」


「無理・だ」


「なぜ?答えろ!」


「チャーフェス人・は・星系・を・シールド・に・包んだ」


「星系全体をシールド?!!そんなバカな!!」


「コミュニコン人・の・オーバー・テクノロジー」


タラソフ大将は怒りを露わにした表情を浮かんだ。


「ずっと見ていて、一つ・・・気になるのだが、何故地球生物やヒト属ホモ属の種の名称にそんなに詳しいのですか?・・・私は艦隊の軍人だが、元々は科学士官で宇宙生物学の博士です。しゃべり方も妙に不自然なので、それも気になる」


ナカハタ中将は冷たい疑いの目でシュームエルを見つめた。

シュームエルは観念したように肩をつくみ、優しそうな表情を消し、険しい表情になった。


「バレたなら仕方ありません。私はあなた方に伝えなければならない耳が痛くなる真実があるので自分を偽り、あなた方の本性を見て、判断し、場合によって、同盟を組み、場合によって、この銀河を荒らす害獣、チャーフェス人同様、人類を滅ぼす」


「化けの皮が剥がれたな」


大統領は指を組みながら、真っ直ぐシュームエルを見た。


「人類はコミュニコン人が作った制御不安定で凶暴なチャーフェス人に代わる、最後の知性化種族で最強の生物兵器です」


シュームエルは堂々と真実を暴露した。





敵の正体とは・・・そして人類は・・・

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