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ディープスペース・インベーダーズ  作者: 鬼野宮マルキ
ファースト・コンタクト編
5/9

羊たち

地球連邦宇宙域より192光年

母星地球より492光年・はくちょう座の方向

赤色矮星ケプラー186付近

タイラン人とのファーストコンタクトより10年前


教団の大型宇宙船、SSタワンティン・スウユ号が率いる船団は星系内のハビタブルゾーンを調査していた。船団の乗組員とその家族は連邦宇宙域を離れて、約5年が経ち、自分たちの居場所をやっとの思いで見つけたと喜んでいた。


「長かったな・・・ガブリエル主教」


「ああ・・その通り、アレハンド1級牧師」


ブリッジにいたのは連邦内でカルト教団のレッテルが張られていた旧インカ帝国の神話と旧カトリック教会、旧プロテスタント教会の都合のいいところを切り取り、作られた新興宗教団体【神の羊たち】のガブリエル・アヤラ主教。彼はこの教団のリーダーであり、この無謀な旅の提案者で教団の創始者だった。

その副官のアレハンド・トレード1級牧師は年配の男で背の低く、鷲鼻、アルコール依存症な上、女にだらしない性格も外見も醜い男だった。


5年前、7万人の信者とともに地球の旧ペルー共和国の末えいが多いテラフォーミングされた連邦初期のコロニー惑星ヌエヴォ・ペルーの同じくテラフォーミングされた衛星フニンを出発し、連邦宇宙域外へと向かった。


連邦より数回に渡り、警告されたものの、すべてを無視し、存在は確認されている連邦宇宙域外の地球型惑星があるケプラー186へ旅立ち、数万人収容可能な中古の民間大型移民船のSSアルテミス号を購入し、SSタワンティン・スウユ号に改めて命名し、購入した他4隻の中古移民船で船団を組んだ。


「惑星ケプラー186fはデータの通り、生存可能です、主教様」


センサー担当の信者が報告した。


「上陸の準備をしろ!!この惑星は教団のものだ!!」


トレード1級牧師が命令した。


*******************************************************


5年後

非合法コロニー・惑星タワンティン・スウユ


旧惑星ケプラー186f改め惑星タワンティン・スウユは生存可能だったが、環境は過酷で

現地生物の獰猛さが相まって数千人の移民者は犠牲となった。


知的生命体がいなかったものの、大型爬虫類に似た捕食生物、のちに【アマル】と名つけれたが、

群れを成して、コロニーを定期的に襲撃していた。


捕食植物も多く存在し、うかつに大森林に近づくものがいなかった。


惑星の首都、ヌエヴォ・クスコ市はSSタワンティン・スウユの部分で作られていた。

教団の本部内にある作戦室はこの非合法コロニーの行政の中心だった。


「どうですか、アレハンドロ1級牧師、首都近辺のアマルの群れの討伐は進んでいるか?」


「はい、ガブリエル主教・・・それと惑星チンチャイ・スウユ、コジャ・スウユ、アンティ・スウユとクンティ・スウユのテラフォーミングが順調に完了しました」


地球の旧インカ帝国の州にちなんで、ケプラー186の惑星b、c、dとeが名つけれた。


「そうか・・・これでやっと夢への第一歩へ進める」


「はい、主教・・・腐れた地球連邦のくだらない植民政策に邪魔されず、宇宙でのインカ国家の設立ができる」


「教団を立ち上げ、資金と信者を増やし、理想郷を手に入れた」


「それと同時、一夫多妻制の確立及びクローン計画も順調です」


「人口を増やさないとな・・・神の計画のためにね」


「はい・・・クローンについてですが、労働用と軍事用のものに分ける予定です」


「素晴らしい・・・30年以内に隣の星系への進出を視野に入れないとね」


教団本部の作戦室のドアが突然開けられた。


「主教様、1級牧師様、大変です!!!」


作戦室に入ったのは中年の2級牧師、アンタウロ・ウマラだった。

彼は惑星の防衛担当。


「どうした、アンタウロ??」


「センサーによる、タワンティン・スウユの軌道上に突然大型宇宙船がワープしたようです」


「大型宇宙船?連邦のか?」


トレードが聞いてきた。


「違います・・・」


「異星人か?」


アヤラが質問した。


「はい・・・それと小型のシャトルがこちらに向かっているようです」


*******************************************************


ヌエヴォ・クスコ市の中央広場にそのシャトルが着陸した。

主教は小型と聞いたが、連邦の中型フリゲート艦の大きさだった。



アヤラ主教とトレード1級牧師はシャトルの前に立ち、その周りにウマラ2級牧師を率いる護衛隊が展開していた。


シャトル下部の大きなドアが開いたと同時、金属製のスロープが伸びた。


シャトルから10人ほどのヒューマノイドが下りてきた。

一人はゆったりとした長袖のつなぎのような灰色の服と頭部を覆う黒く、丸い帽子姿だった。

肌の色が濃く、髭とあごひげを生やし、地球人間の平均身長で第一印象として、人類の祖先である猿人に見えなくもなかった。


他のヒューマノイドは黄色く輝く、機械仕掛けの外骨格をまとっていて、身長は3メートルほどだった。頭部は透明なヘルメットになっていたのでゆったり服のヒューマノイドと同じ種族であることが明白だった。


「我々は平和を願う」


アヤラは挨拶した。


黒い帽子のヒューマノイドはぎこちない地球の言葉をしゃべりだした。


「チャーフェス艦・ホリバー号・指揮官・マデゥロス・ダ。オ前タチ・ヲ・ズット・監視・及ビ・勉強・シテイタ、コノ星系・ノ・惑星群・ヲ・テラフォーミング・シテ・クレテ、感謝スル。ゴ苦労ダッタ、ソレカラ・教義ニ・従イ・オ前タチ・異教徒・ヲ・糧ニシ、蹂躙、排除、抹殺スル、我ガ・偉大ナル・唯一神・エストル・ノ名・ノ・下デ」


アヤラとトレード、及びウマラが率いる護衛たちが反応する前に黄色外骨格をまとっていたチャーフェス人の兵士たちに灰にされた。








































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