攻撃
地球連邦辺境最果て・はくちょう座の方向・地球から約300光年
旧ケプラー1649連星系・現ニュー・メキシコ連星系
旧ケプラー1649b・現惑星アステカ軌道上
地球連邦艦隊、星系警備隊旗艦ピカソ級駆逐艦・USSネルーダ号
連邦歴221年1月末(地球歴2408年1月末)
タイラン人とのファーストコンタクトとほぼ同時期
50歳のリ艦長は慌ただしくブリッジに入ってきた。
「何があったのか?」
「突然、正体不明の艦隊が惑星マヤ(旧ケプラー1649c)の裏にワープしました、艦長!!」
年配男性で副長のノイマン中佐が報告した。
「正体不明の艦隊?一体何隻現れたのか?」
「50隻です・・・巨大な戦艦と思われるものが多いようです」
「バカな!!そんな艦隊が来るのは聞いてない!」
「地球連邦の艦隊ではないです、艦長」
「異星人か?」
「恐らくそうです、艦長」
「ファーストコンタクトかよ・・・すぐに全てのチャネルでメッセージを送信しろ、我々は平和を求めると!!」
「はい、既に送信しました、反応ありません」
「艦長、副長・・・正体不明の艦隊は惑星マヤを爆撃しています!!」
通信担当のシュワルツ少尉が報告した。
「そんなバカな・・・惑星マヤに300万人の開拓者がいるんだぞ!!」
「惑星マヤの衛星オルメカの連邦軍基地も爆撃されました!!」
「軌道上の警備隊は?」
「USSバルガス・リョサ、USSミストラルとUSSヘミングウェイのサインが消失!!」
「レッドアラート発動!!」
「USSカワバタのワン艦長とUSSガルシア・マルケスのパガニーニ艦長より通信!!」
「スクリーンに出せ!!」
30代後半の黒髪の女性と茶髪で細身の中年男性の映像がスクリーンに現れた。
「リ艦長、我々はあれを止められない」
中年男性で中佐のピエトロ・パガニーニ艦長が話し出した。
「でも止めねばならんでしょうね・・・開拓者の盾になるしかありませんね、私たち」
女性艦長のシモーヌ・ワン中佐が言い出した。
「正体不明の敵から猛攻撃を受けている・・・惑星一つが爆撃され、開拓者の大虐殺が行われ、星系警備隊の約半分が消失・・・開拓者を守るために我々はここで死ぬしかない・・・いいな?」
「了解です、元々はそのつもり」
「こんなに早く宇宙で散ると思わなかったわ・・仕方ない」
「惑星アステカへ連絡しろ、ノイマン・・・できるだけ多くの人間が避難できるように!!」
「了解です、リ艦長!!」
副長が返答した。
「惑星マヤと衛星オルメカの地上から生命反応が消えました!!」
シュワルツ少尉は恐怖がにじむ声で報告した。
「何?」
「正体不明の艦隊が方向転換、惑星アステカへ急速接近中!!」
「こちらに500万人を超える開拓者がいるんだ!!防御体勢を取れ!!」
「リ艦長!!正体不明の艦隊から通信!!」
副長が報告した。
「突然攻撃仕掛けといて・・な・・・スクリーンに出せ!!」
大画面にヒューマノイドが映りだされた。肌の色が比較的濃くて、髭とあごひげを生やしていた。
人間に近かったが、どちらかと言えば猿人に見える。
「こちらは地球連邦艦隊USSネルーダ号艦長、バイ・リだ!!貴様らはなぜ我々に攻撃をしかけてきた!!理由を教えろ!!」
「チャーフェス艦隊・指揮官・・・フォウーゴ・チェイバス大神官ダ・・・教義ニ従イ・・・異教徒ヲ蹂躙・・・異教徒ニ死ヲ・・・異教徒ニ滅亡ヲ・・・我ガ偉大ナル唯一神・・エストル・・ノ名ノ下デ」
侵略開始