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殺人鬼転生  作者: 裏道昇
第一部 兄弟
9/314

第一部 9話 統合

修正(※内容に関するものだけ記載します)

・2023/03/19 挿絵(※自動生成)を追加。


 目を開いた瞬間、体を起こした。


「お、兄ちゃん? なんで?」


 ナタリーの困惑した声が聞こえる。

 目を向ければ、涙の残る顔で俺を見ていた。


 自分の手の平を見る。

 ついさっきまでとは大きな違いがあった。


 ナタリーを知っている。セシリーを知っている。

 アッシュとしての記憶がある。自分にできることが分かる。


 体は……完治とはいかないが、ある程度は回復しているみたいだ。


「本物が、完全に死んだからか」

 これで本当に俺が『アッシュ』だ。


「ふざけるな。

 俺だって、お前のために庇ったわけじゃねえよ」


 文句を言うことにした。

 感謝も謝罪も怒られたから。


「よ、良かった」

 ナタリーが涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら抱き着いた。


「大丈夫」

 俺はその頭をぽんぽんと叩く。それでも離れなかった。


 大鬼の方へと目を向ける。セシリーが大鬼と戦っていた。

 使い魔であるブラッドと連携しているようだ。


「セシリー! 勝てるか?」

「アッシュ、無事なの!?」


 セシリーが驚いた声を上げる。

 あの金棒で飛ばされたのだから、無理もないか。


「うーん……正直、難しいよ。

 助けは来るけど、もう少しかかると思う」


 ブラッドが大鬼の周りを走り回り、セシリーは弓や魔法らしきものを飛ばしていた。今すぐにやられる心配はないだろうが、肝心のダメージがほとんど出ていない。弓は弾かれているし、魔法も軽傷だ。


「ちょっと待ってくれ! 加勢する」

「加勢するって……」


 もう一度ナタリーの頭を撫でて優しく引き離すと、俺はゆっくりとリックの元へ歩いていく。リックは負い目があるのか、動かなかった。


「アッシュ、ごめん。

 ナタリーを守れなくて……」


「良いよ。

 今のところ、全員生きてる」


 リックは悔しそうに俯いている。

 だが気にする必要はないんだ。


「リック、命令だ」

「命令?」


 困惑しているメタルスライムに、使い魔だろう? と笑いかける。


「俺に身を委ねろ」

「一体何を言って……?」

「いいから」


 俺はリックをがしっと掴んだ。


「突然何するんだ!」

「いいから、言う通りにしろ」


 俺は目を瞑る。集中しろ、集中しろ。

 神鋼は人間では傷一つ付けられない。


 極論、めちゃくちゃ硬い石ころだ。

 投げるくらいしか使い道はない。


 ――では、仮にその神鋼に意思があったとしたら? 

 ――神鋼自身が協力してくれるのだとしたら?

 ――本来は不可能でも『加工』くらいはできるのではないか?


 俺はハーフドワーフだ。

 金属の加工には適正がある。


 加えて父さんは錬金術師。

 勉強は苦手だが、錬金術を使うくらいはできる。


「いくぞ、リック――!」


 手の平にすっぽりと収まったメタルスライムにスキル『錬金』を行使する。

 バチバチという錬金時特有の光を放ちながら、リックの姿が変わっていく。


「メタルスライムを……錬金?」

 セシリーの呆然とした声が聞こえる。


 ――流石に難しい。でも、少しずつ成形はできている。

 ――何を錬金するか。武器。俺が知っている武器なんて一つしかない。

 ――俺を殺したあの日のナイフ。俺にとっての死の象徴。


 理想とは程遠いが、錬金が完了する。

 右手に握るのは大型のナイフ。


「神鋼の、ナイフ」

 誰かが呟いた。


挿絵(By みてみん)

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