第四部 31話 キーアイテム
「おい、もう一度詳しく教えてくれよ?」
月の光も入らないような深夜の路地裏で青鬼が囁いた。
「……だ、だから、ハーフエルフの王女なら、婆さんが探してた」
「もう少し詳しく」
一緒にいる赤鬼の手はハーフエルフの男の首を握って持ち上げている。
男は必死に逃れようと暴れるが、赤鬼の手は外れない。
「お、王都から、一緒の馬車で来た、婆さんだ」
「で?」
すでに何度か繰り返したやり取りだ。
青鬼は信憑性を上げるために何度か質問を繰り返したのだった。
「王女様を探して、新国を目指すって、言ってたんだ……」
「ほうほう……」
青鬼は惚けたような声を出す。
男の方は死に物狂いで赤鬼の腕を掻き毟るが、すぐに回復して傷さえ付けられない。
「だけど……ブローチをなくしたから……ここで探すって……て、手を……」
「そのブローチってのは何だ?」
肝心な部分だ。
赤鬼に目配せして少し力を加えさせる。
「ぐぁ……知らねえ、知らねえよ……。ただ、これで王女を見つけるって……」
「そうか」
男が意識を失ったのを見て、赤鬼は男を放り投げた。
青鬼は顎に手を当てて考え込む。
「どうだ、青?」
「……ああ、嘘は言ってなさそうだ」
赤鬼の言葉に青鬼は頷いた。
それはつまり王女を見つける手段があるということだ。
「へえ、ブローチねぇ……」
――この広い都市で人を探すなら虱潰しは良くない。
――ましてや確証がなくては話にもならない。
――使い方は後で良いだろう。
――それこそ黒に解析させても良い。婆さんとやらに訊くでも良い。
――とにかくモノを押さえるべきだ。
――少なくとも婆さんよりも早く見つける必要がある。
「さて、どこにあるのか」
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