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殺人鬼転生  作者: 裏道昇
第四部 青鬼と英雄
238/314

第四部 25話 五歩十歩

修正(※内容に関するものだけ記載します)

・2024/4/7 エピソードタイトルを変更。


 翌日の朝。

 明日からは『王立学院』と『統一学舎』の交流会が始まる。


 今日一日は各自休むように言われていた。

 もちろん、単独行動だけは厳禁だ。


「……あのさ」

「?」


 朝食の後、グレイが神妙に口を開いた。

 その場の全員が首を傾げる。


「俺、話についていけるか?」

「……何だ。本気で気にしてたのか? 大丈夫だろ」

「そうよ。五日間だけ取り繕うくらいなら何とでもなるわ」


 どうやら交流会を上手くこなせるかどうかを気にしているようだ。

 グレイの言葉に俺が安心しろと笑いかけた。ナタリーも心配するなと続く。


「だけど……」

「そんなに心配なら小テストでもやる?」

「あ、それは良いかもね」


 食い下がろうとするグレイ。

 そこにアリスと加奈が提案した。


「あはは! それは良いねっ!

 全員でテストを受けようか! あたしが問題を作ってあげる」


 ナタリーが手を叩いて喜んでいた。

 え? 俺も受けるの?




「……嘘でしょ?」


 ナタリーが呆然と呟いた。

 ナタリーはテストの結果を何度も何度も確認している。


「ま、流石にね」


 まず、一位はアリス。

 流石は元学院主席だけはある。満点だった。


「学院代表ですからねっ」


 次はティアナ。

 三年生を差し置いて選ばれるくらいだ。順当だろう。


「まぁ、これくらいであれば」


 その次はジーク。

 連合の名家『サンデル家』の次期当主だ。教育は受けているということか。


「…………」

「…………」


 その次は俺とグレイ。

 完全に同点。ただしジークの遥か下である。


「? 良く分からなかったけど……」


 最後はフレア。

 こいつは剣だけ振って来たらしい。


「はっはっは! フレアが最下位か!」

「残念だったな! いやー、腐っても王立学院を卒業してるからな!」


 俺とグレイが調子に乗って叫ぶ。

 何しろ自分たちよりもテストの点が悪い人などいなかったのだ。


「? まあ、私は全然わからなかったけど……。

 というより、知らないことばかり聞かれた感じ」


 フレアが首を傾げる。

 あまり気にしていない風である。


「ばっかじゃないの!?」

 ナタリーが叫んだ。


「これじゃあ、交流会に参加なんて無理よ!」

「……あちゃあ、これはまずいね」

「あはは、こんな点数は初めて見た」


 ナタリーが愕然と続ける。

 さらにテスト結果をアリスと加奈が覗き込んで苦笑した。


「でも、難しかったし……」

「そうそう」


 グレイが口ごもる。

 俺が小さく援護した。


「そんなわけないでしょう!?

 自信を付けてあげようと思ってバカクソ簡単にしたわよ!?」


 ナタリーが頭を抱えた。

 アリスとティアナが小さく笑っていたのはそういうことだろう。


「……学院のレベルはこんなに低いのですか?」

 ジークがテスト結果を見て、心配そうな表情を浮かべる。


「そんなことない! こいつらが例外なだけよっ!」

 ナタリーが俺とグレイを指さした。


「いや、そんな……」

「黙れっ! どうしてフレアとそんなに変わらないのよ!?」


 俺たちが口を挟もうとした瞬間、ナタリーがさらに叫ぶ。

 こんなにも取り乱したナタリーも珍しい。


 ……よほど予想外だったのか。

 ……そんなに酷いかなぁ。


「ほら、キース。こんなところを間違えるから……」

「グレイこそ、何を言ってるんだよ? ここは簡単だろ?」


 グレイと俺が互いの間違いを指摘し始める。

 ……点数は全くの同点である。


「やかましい! どちらも同じレベルよ!

 よく学院を卒業……いや、そもそも入学できたわね!?」


「うーん、この学力だと、千回に一回の奇跡としか思えないかも。

 卒業は不正を疑うレベルだねぇ……」


 ナタリーがさらに声を荒げてアリスは首を傾げる。

 学院の卒業生だからと、最低限の学力はあると踏んでいたらしい。


「……昔から運は良くて」

「運で合格しちゃダメなの!」


 グレイが苦笑すると、ナタリーは改めて頭を抱える。


「……今日一日で詰め込むわよ」

「ま、それしかないかぁ」

「あはは、入るかな?」


 ナタリーとアリスと加奈が笑う。

 そして、グレイの肩をがしっと掴んだ。


 さらに――グレイが俺の肩を掴む。


「待て……俺は関係ないだろ!?」

「逃がすかよ……!」


 そうして、俺たちはナタリーアリスのしごきを受けたのだった。


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