表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺人鬼転生  作者: 裏道昇
第一部 兄弟
20/314

第一部 20話 ブラウンアドバイス

「来るぞ?」


 ブラウン団長の声が樹の上から聞こえた。


「はい」


 俺たちは森の深部まで魔物討伐に来ていた。

 今日は俺一人で群れを対処するように、とのことだった。


 獣が森を駆ける音が俺の耳にも届いてきた。


「繰り返すが、余程の危険でなければ手は貸さない。

 倒して見せなさい」


「……はい」


 緊張で汗を流しながら、頷く。


 そして狼型の魔物である銀狼が姿を見せた。

 縄張りに入ったので迎撃に来たのだろう。


 全長は成人男性ほどで、群れで行動する。

 連携が巧みであり、大型の魔物よりも厄介である場合も多い。


「……!」


 九匹の群れが三匹ずつ三組に分かれる。

 三組はゆっくりと俺を包囲していった。


 銀狼は賢く、常に数的有利を作るように立ち回る。

 事前に聞いていた通りだ。


 俺はリックを『錬金』して双剣に変える。

 二つの剣は細い紐で繋がっている。


 銀狼を睨みながら、俺はブラウン団長の教えを思い返す。


 ――錬金術でメタルスライムを武器とするアイデアは悪くないと感じる。

 ――だが、もっと活かせるはずだ。いくつか改善点を出そう。


 銀狼が動き出すまで待つ。

 集中力を保つことは大変だった。


「……」


 やがて、三組の銀狼は同時に俺へと飛び掛かった。

 俺は一組に狙いを定めて、一歩踏み込む。


 右の剣で一匹目の首を断つと、左の剣で二匹目の腹を突き刺した。

 さらに右の剣を返して三匹目の胴体を真っ二つに分ける。


 ――一つ目。

 ――錬金術を武器の変更のみに限定していること。

 ――ナイフの刀身を伸ばせるのであれば、それはすでに攻撃でもあるはずだ。


 順手の双剣を逆手の双槍に錬金して、背後から襲ってきた四匹目と五匹目を串刺しにする。


 ――二つ目。

 ――接近戦に拘り過ぎている。

 ――君は武器を自由に変えられるのだから、間合いも自由であるはずだ。


 振り向くなり、俺は右手の槍を投げた。

 孤立した六匹目の首に突き刺さる。小さな鳴き声。


 すぐさまリックを双剣に戻す。

 それだけで投げた槍は手元に戻ったことになる。


 ――三つ目。

 ――君の戦い方の真髄は防御にある。

 ――君のナイフが斬れないものはいくらでもあるだろう。素材が良いだけだ。

 ――しかし君の盾を突破できるものは世界中を探しても見つかっていない。

 ――もっと多用するべきだ。


 残った一組が一斉に俺へと殺到した。

 双剣を盾へと変えて構える。ガン、という音がする。


 薄い盾を突き破れないことに困惑するような鳴き声が聞こえた。

 もう一度『錬金』する。盾から生えた剣山が銀狼を貫いた。七匹目と八匹目。


 盾を退けると、最後の一匹が全力で逃げていくのが見えた。


 ――四つ目。

 ――遠距離攻撃の手段を考えなさい。

 ――近距離と中距離であれば今でもある程度の対処はできているように思う。

 ――しかし遠距離で敵と向き合えば、君は戦いにすらならないだろう。


 俺はその後ろ姿を睨みつけ、


「くそっ」


 心の底から毒づいた。


 この最後の課題だけは片づいていないのだ。

 ブラウン団長の声が響いて、最後の銀狼を撃ち抜いた。


読んで頂きありがとうございます!

ブックマーク、評価など頂けると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

以下のサイトにURL登録しています。

小説家になろう 勝手にランキング
cont_access.php?citi_cont_id=669863801&size=200

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ