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寂れゆく城塞都市

6.寂れゆく城塞都市


 城塞都市への誘い


 山麓の村での生活も、もうすぐ一年が経とうとしていた。カイの教育のおかげで、子供たちは順調に成長していた。年長の男の子はもう15歳になる、大人の仲間入りだ。名前はハオ。年長の女の子は13歳、名前はリン。二人ともカイに名前をつけてもらっていた。

 ハオは主に農業を教わり、大麦を育てている。リュウには武術を習い、今では村の大人誰も敵わないほどの力を身に着けていた。リンは得意の数字を活かし、村の財政管理を任されている。村の特産品を高く売り、村に必要な物は安く買う、商売人としての能力も高い。他の子供たちも出来ることをやり、酪農も畜産も順調に規模を拡大していた。

 この孤児たちの集団は、いつの間にか村に必要不可欠な存在となり、頼りにされていた。その必要とされていること、頼りにされていること、そして、感謝されていることが、子供たちの成長をより促し、個々が生き生きと暮らすことに繋がっている。正に、カイが理想とする集団が出来上がりつつあった。


 この1年で新たに3人の孤児を引き取り、8人の所帯となっていた。以前の家では狭くなり、牧場に近い場所で新たな家も建設中で、もうすぐ完成する。ここでもカイの知識が活かされ、丈夫な家と汲みやすい井戸が設置され、より快適で便利な暮らしが手に入る予定だ。

 ハオもリンも立派になった、孤児たちが自立できる基盤も出来た。そして、家が完成すれば、この村から再び旅に出発することになる。喜ばしいと思うと同時に、寂しい気持ちにもなる。未だ旅の途中で、自分が成すべきことは不明のままだ。

 

 そんな出発も近くなったある日、カイのもとに多くの兵士に守られた、マハーナという男が訪ねてきた。カイからリュウと共にマハーナとの話しに同席して欲しいと言われ、村の集会所を借り、マハーナとそのお付き数名と護衛二人を招き入れた。不測の事態に備え、カイは座り、両脇にリュウと共に立って応対する。

 マハーナはチャンドラ商会の代表と同郷で、ここから西、砂漠の入り口にある交易都市で商会を営んでいるという。カイのことはチャンドラ氏に紹介され、尋ねてきたとのことだった。

カイがご用件をお伺いします、と静かに言った後、マハーナは深刻な表情で、直面している問題について説明を始めた。

「私どもの商会は、3年前まで交易都市から人の足で5日ほど北へ行った城塞都市にありました。そこは砂漠の入り口として東西の流通を支え、また、街の西に流れる河を使い、南北の流通拠点として、大きく発展していました。都市はその名の通り、城塞を備え、盗賊から都市の食料や財産を守る大きな倉庫も備えていました。

 ところが10年程前から、それまでに無かった大雨による水害が発生するようになりました。大雨は年々発生の頻度を高め、とうとう3年前の雨季に、大規模な河の氾濫が起きてしまいましいた。濁流は都市を呑み込み、都市で生活する者、数千人に犠牲が出てしまいました。

 そこで我々は、城塞都市を放棄し、水害が及ばず、他の災害からも縁遠い土地に、新たな交易都市を建設することに決めたのです。そして今、都市を発展させている途中です。

 ここからが本題なのですが、その放棄した城塞都市を盗賊団が根城としてしまったのです。この盗賊団は西の国ハルタミが、隣国のアラムに敗れた際に脱走した兵たちが組織したようです。元兵士であり、規律ある組織的な活動、一人一人の戦闘力が並みの盗賊に比べ高く、とても厄介な組織となっています。

 もともと交通の要所として発展した城塞都市を拠点に、地の利を生かし、商隊を襲い、近隣の村、集落を襲い、悪行の限りをつくしています。当然、我々も対抗はしていますが、未だ都市に残る貧民層を隠れ蓑にして潜伏していて、盗賊団の全容も不明なままです。

 すでに流通に大きな影響が出て、必要な物資が必要な場所に届かなくなっています。また、集落や村の被害も把握できている範囲で、死者は数百名に上ります。

 この状況に打開策を見いだせず、悩んでいたところ、チャンドラさんからカイさんをご紹介いただいたのです。」

 カイはマハーナの説明を黙って、目を閉じて聞いていた。そして、マハーナの説明がひと段落したところで、話を伺うと言った時と同じ静かな声でこう答えた。

「お話しは理解しました。しかし残念ながら我々にお手伝い出来ることはなさそうです。」

 そう言うとカイは席を立ち、集会所から出て行こうとした。マハーナは慌てて、待って欲しいとカイにすがり付いた。カイは立ったまま、何を言われても無理です、と静かに、しかし有無を言わせぬ力強さで言った。するとマハーナは懐から何かを取り出し、必死の形相でカイに渡し、こう言った。

「チャンドラさんからの手紙になります。カイさんがお話しを聞いていただけない場合は、この手紙を渡すようにと言われ、預かったものです。」

 カイは立ったまま、マハーナから受け取った巻かれた手紙をしばらく眺め、そして開封した。手紙を読み終えると、手紙を巻き、懐にしまった。その後、再び席に戻り、マハーナと話しをする姿勢を見せた。

「ご依頼の内容は、城塞都市を根城にしている盗賊団を捕らえる、で間違いありませんか。そして城塞都市には盗賊団の他、交易都市に移る経済力がない者達がまだ暮らしていると。」

 マハーナは話しを聞いてくれる姿勢のカイに、少し安心した表情で答えた。

「はい、依頼の内容は盗賊団の壊滅です。盗賊団員の生死は問いません。それからおっしゃる通り、未だ城塞都市には貧しい者達が大勢暮らしています。」

 カイは私一人では決められません。実際に盗賊団と対峙するのはこの二人になります、二人とよく相談してからお返事したいと思いますとマハーナに告げた。それから結論が出るまではこの村に滞在ください、マハーナさんとお付きの方が止まれる部屋は用意します。ただ、兵士の方々は村の近くで野営をお願いしますと言って、集会所を後にした。


相談


 家に戻ると早速3人で話し合いを持った。リュウは真っ向から反対した。兵士上がりの盗賊団、何人いるかも不明だが、とても2人では何ともならない、どこかの国から兵団を貸してもらうしか対処は出来ないだろうと言った。

 この意見に反論の余地はない、ただ、カイが気にしているのは、城塞都市から出ることが叶わなかった貧困層の子供達のことだろうと想像できる。どこかの兵団と盗賊団が都市内で全面的に対決すれば、子供たちにも犠牲がでるだろう。

 そういう意味でもゲリラ的な対処を求められる、だからこそチャンドラ氏はマハーナ氏にカイの情報を伝えたのだと思われる。しかし、港湾都市の時のようにはいかないだろう。あの時でさえもハルタミからの脱走兵1人に苦戦した。今回はそんな相手が集団で、しかも連携を取っている可能性がある。

 リュウの言う通り、とても二人で対応できるとは思わない。だからと言ってこのまま見過ごす訳には行かないと思う。しばらく黙った後にカイがこう切り出した。

「召喚人、リュウさん、私は今回の話しを受けたいと思います。今はまだ作戦がある訳ではありませんが、何とか盗賊団を捕縛する方法を考えます。ご協力いただけないでしょうか。」

 すぐさまリュウが反論する。

「カイ、これは無理だ。いかにお前が作戦を考えようとも不可能だ。殲滅作戦であれば可能な作戦はあると思うが、それは召喚人が許すまい。いくら召喚人の能力を使ったとしても、訓練を受けた十人以上の兵士をたった二人で捕縛するなど、出来る訳がない。」

 カイは真っ直ぐリュウを見て話しを続ける。

「リュウさんのお話しは理解できますし、その通りだと思います。私も本音で言えば、捕縛するのではなく、皆殺しにするのが良いと思っています。でも、それでは、召喚人の協力が得られません。つまり殲滅作戦も実行が出来ないのです。

 どうしても、貧民層の子供たちを救うためには、捕縛作戦で成し遂げるしかないのです。どうか、私を信じてください。私が考える作戦に協力してください。」

そう言って頭を深々と下げた。それを見たリュウは分が悪いと思ったのか、話しを振ってきた。

「さっきから何も言いませんが、召喚人はどう考えているのですか。いや、あなたのことだから、カイの意見に全面的に賛成なのはわかる。ただ、あなたはどう思っているのかかが聞きたい。」

 リュウにそう言われたので、思うことをありのままに話しをしてみる。

「リュウさんの意見もわかりますし、カイさんの気持ちもわかります。

 リュウさんの言うように、殲滅作戦を選択することが、この場合は正解なのだと思います。ただ、我々は軍人でもなければ、殺し屋でもありません。人に頼まれての殺しはしたくありません。

 カイさんの言うように、あたしも子供達を救いたい。それに話しを聞いてしまった以上、もう知らないふりは出来ません。カイさんに何とか盗賊団を一網打尽に出来る作戦を考えて頂くしかないと思っています。」

 やっぱりか、と、表情を曇らせたリュウが諦めたような口調で、ではカイその作戦を考えてくれと、と言った。


 翌日、マハーナ氏に面談し、話しを受けることを伝えた。但し、金銭、資材、人員の協力は最大限にしてもらうこと、それから貧困層の子供達を救い、交易都市で保護し、教育をすることを約束してもらった。

 マハーナ氏も子供達のことはチャンドラ氏から聞いているらしく、是非、交易都市発展のためにも、貧困層の子供達を集めた教育機関を作りたいと言ってもらえた。

 盗賊団壊滅作戦は今から半年後の春、気温も高くなく、雨季に入る前に決着をつけることになった。それまでは入念な準備を行う。

 カイは作戦の大枠が出来ているらしく、リュウには交易都市の兵から、力の強い者5名、弓が得意な者5名、合わせて10名を借り、作戦に合わせた訓練と模擬戦を行うように指示を出し、召喚人には城塞都市に潜入し、盗賊団の詳細な情報収集をして欲しいと依頼された。

 潜入と調査は得意だが、城塞都市の大きさから調査は難航を極めることが予想できた。当然ながら、盗賊団には気取れないよう、顔も覚えられないように活動し、盗賊団の人数、戦力、拠点の位置・構造を漏れなく調べ上げなければならない。

 果たして半年の間にその情報を調べ上げることが可能かどうか。それでも作戦を成し遂げるためには、情報の正確性は必須だ。やり遂げなければならない。

 半年後、作戦前の再会を約束し、リュウとカイ、それから子供達にしばしの別れを告げ、マハーナ氏案内のもと、早速城塞都市へと向かった。


城塞都市の少女


 麓の村から城塞都市までは、移動に馬を使い、それでも2週間ほどかかった。マハーナ氏とは都市の近くで別れ、連絡役の若者3人と、別々に都市へ入った。

 マハーナ氏からの情報だと、都市は城塞部分と市街地で構成され、城塞には、都市の財産を守る倉庫や集会所があり、市街地には、住宅や店が立ち並び、墓場やゴミ捨て場などもある。そのほとんどの建築物は焼いたレンガで造られている。大きい住宅には井戸と浴室、便所が整備され、排水溝で汚水を流す仕組みもあり、清潔で文化的な都市になっているとのことだった。

 この都市には全盛期に4万人もの人々が暮らし、活気にあふれていたようだが、今は貧困層の千人程度が残っているだけだそうだ。実際都市に入ると、人影は少ないが、全く見かけない訳ではなく、まばらに人影は見える。ここに残る人々は今後どうやって暮らしていくのだろうか。周辺にある小麦畑はすでに枯れ、家畜もなく、交通の要所としての役割も果たしていない今となっては、訪れる旅人もほとんどいないはずである。

 それでも人々は何らかの手段で命を繋いでいくのだろう。近くの集落から、旅人から奪う、または、奪う者の手伝いをする。そんなことをする輩も出てくるだろう。その中にはまだ幼い子供達もいるはずだ、そんな子供たちを救い、しっかりとした教育で自らの力で生活できるように引き上げて行くことが必要だと、強く思った。


 まずは都市での活動拠点を決めなければならない。なるべく目立たず、人気がないところが良い。そう思って、建物を見ながら歩いていたところに一人の少女が声を掛けてきた。この地域で主に使用されている言語は、チャンドラ氏やマハーナ氏が主に使っている言語で、正直ほとんど意味が分からない。彼らは商売上、東の地方で使用されている言語を話してくれるが、ここではそうはいかないなと思った。

 話が分からないと手を横に振って、立ち去ろうとしたところ、東の国の言葉を単語で伝えてきた。多分そうだと思うのが、少女は宿屋で働いており、泊まってくれと言っている。宿屋では目立つ恐れがあるので、とにかく断ろうとするが、なかなかに強く引き留めるので、致し方なく、少女の案内する宿へと向かった。

 少女の名前はアイナというらしい。肌の色は褐色で、大きな黒い瞳に特徴がある、堀の深い顔立ちをしていた。宿に向かう間も何かを話しかけられているのだが、一向に意味が分からず、愛想笑いをしていると目的と思われる建物についた。

 そこには看板も掲げてあるのだが、文字も読めず、本当に宿屋なのかも不明であったが、案内されるままに建物に入った。代金を要求されたので、マハーナ氏から諜報活動用に預かった貨幣を入れた袋を見せると、少しびっくりしたような様子で、アイナは袋の中から硬貨を1枚だけ取り出し、受け取った。それから部屋に案内されるとアイナは部屋から出て行った。

 宿屋の建物はレンガのひび割れも多く、古い印象だが、清潔にされ、浴室も便所も排水溝も備えた造りになっていた。井戸からの水も簡単に汲めるようになっていて、旅の疲れを癒すのにはとても良い宿屋だといえた。残念ながら入浴することも便所を使うこともないので、関係のない話しなのだが、リュウやカイがいたらとても喜んだと思う。


 部屋にある机の上に、都市の見取り図を広げ現在地を確認する。都市には西の門から入り、城塞に行くまでの大きな通り沿い、門から500m程先の建物が今いる場所だ。通りにはかつて店舗であったであろう、日よけが、かかった建物が多かった。通りの裏側、南北には住宅と思われる建物が立ち並んでいた。

 城塞は遠目でしか確認できていないが、想像よりも大きい印象だ。手始めに城塞内の集会所や倉庫を調べ、その後は住宅街をいくつかのブロックに分け、1軒1軒丁寧に調べて回ろうと思う。真夜中までの間に、そのスケジュールを立てることにした。

 部屋にいると、アイナが食事は必要か、お湯は必要かと、何度か聞きに来た。いずれも必要ないと言って断った。それ以外は計画立案に集中することが出来た。


 真夜中になり、黒装束に着替え外に出る。人気もなく、明かりもほとんど見えない。闇夜に紛れ、城塞へと向かう。見取り図の通り、集会所それから倉庫が確認できた。どちらとも人の気配は感じられない。順に中へ入って確認するが、塵や埃が積りしばらく人の出入りがないことの確認が取れた。

 その他城塞内にある建物も確認したが、人の気配、出入りは無さそうだった。一通り、城塞内も見回るが、盗賊の痕跡も確認は出来なかった。住宅街の探索は明日に回し、宿に戻って初日を終えた。

 それから数日は、探索しても何も見つけることが出来なかった。少し焦り始めた頃、気分転換にとアイナと話しをすることにした。あの後も結局、アイナの強引さに負け泊まり続け、アイナとも簡単な会話をするようになっていたからだ。

 

 アイナは13歳で、両親は3年前の洪水で命を落としたそうだ。他に身寄りもなく、行く当てもないので、両親が営んでいた宿屋を続け、稼ぎ、何とか命を繋いでいるとのことだった。ただ、最近は旅人もほとんど訪れなくなり、都市に入ってくるのは、怪しい輩か、盗賊の類で、商売にはならないようだ。

 たまたま、都市に入ってくるところを見られ、久々にお客になりそうだと思われ、宿屋に引っ張て来た、と言った。なんとも商魂たくましい、いや、生きるために必死と言うべきか。

 アイナは都市内の身寄りの無い子供達とのネットワークを持っており、色々な情報交換や食べ物を融通し合っているとも言っていた。

 盗賊団壊滅作戦が終われば、アイナは山麓の村に引き取ろうか、きっとハオやリン達とうまくやってくれるに違いない。村の特産品の販売を任せてもいい。間違いなく皆に好かれ、売上を伸ばしてくれるだろう。


 それから3ヶ月ほど、昼間はアイナと話しをしたり、都市の外へ狩りに出かけ、アイナのために野生の山羊を狩ったりして過ごした。夜は調査を続け、盗賊団の概要に関しては掴めてきた。あと少しで調査も終わる。調査の概要は、書き記し、マハーナ氏の連絡役に渡している。それをカイが確認し、きっと良い作戦を考えてくれているだろう。後はリュウとカイが到着す後、まとめた調査報告で詰めを行い、作戦を実行に移すだけだ。

 ある日、アイナと子供達の食事用の肉を調達しようと思い、狩りに出かけた。狩りは順調であったが、少し欲を出し過ぎて、宿に戻るのが遅くなってしまった。日は暮れてしまい、急ぎ獲物を解体したら、偵察に出かけなければならないと思い、少し慌てて戻った。


 戻った宿で待っていたのは、荒らされた部屋と怪我をしたアイナだった。家具は壊され、店の売上も奪われたとアイナは言った。それよりもアイナの右目は大きく腫れ、痛々しい姿だった。アイナに詳しい事情を聴くと突然やってきた男たち3人に、仮面を着けた怪しい男はどこだと聞かれたのだという。知らないと答えると男たちは暴力をふるったのだと言う。

 それでもアイナが黙っていると、手近な金を奪い、また来ると言って出て行ったそうだ。男たちは背が高い、ハルタミ人であったとのことから、盗賊団の一味であると思われる。偵察に関しては、ばれていない絶対の自信がある。であれば、子供達と遊んだり、狩りに出たりと、昼間の活動量を多くしまった事が原因だろう。気の緩みからの大きな失策だと言える。

 アイナにすまなかったと頭を下げ、急ぎ別の場所へ移ろうと言い、準備をさせていると、男たちが戻ってきた。顔に見覚えがある、間違いなく盗賊団のメンバーだ。リーダーと思われる男が、お前が仮面の男だな、と、この地方の言語で、低く脅す声色で言った。

 とにかくこの場をやり過ごすしかない。完全に無抵抗と決め、言葉もわからない振りをした。東の国の言葉で、言葉が分からないと言い、ジェスチャーでそれを示す。男はにやけた顔で、突然右足で蹴りを繰り出し、左ひざの辺りを狙ってきた。避けるわけにもいかない、かと言って、男が蹴った感触に違和感を覚えるのもまずい。

 とにかく当たった瞬間に左ひざを押さえ、うずくまる。次に男は腹に向かって蹴りを放つ。涙も胃液も出ないので、顔を上げるのは良くない。うずくまったまま、何とか絞り出した声を装い、持っていた貨幣を全部出し、許して欲しいと懇願した。

 その後も男たちは蹴りを繰り出し続けたが、しばらくすると満足したのか、差し出した金を持って出て行った。暴力に酔うタイプで助かった、冷静に不自然さを指摘されていれば対処できなかっただろう。そうなってしまっては、この数カ月の努力が無駄になってしまう。


 男たちが去ると、怯えるアイナを連れ、用意してあった緊急避難用の住居に向かう。ここは人気がなく、入り組んだ路地の先にある。注意すれば見つかることはまずない。井戸が枯れていないことは確認済みだし、食料も用意してある。

 アイナにはひと月ほど避難用住居で暮らし、その後、山麓の村へ連れて行くことを話した。暴力を受けても怪我をしないことを、アイナにどんな説明をして良いのか分からず、とにかく指示に従って欲しいことだけを伝えた。

 アイナは守ってくれることは信じられるが、あなたは悪魔か何かでこの世のものではないことが恐ろしいと言った。確かに悪魔のような存在であることは否定できない、ただ、アイナに悪魔と言われたことが辛かった。

 避難用の住居は、快適とは言えないものの、不便はない。昼間はアイナと過ごし、夜は偵察を続ける。アイナは他の子供たちが心配で見に行きたいと言ったが、今、子供達との接触は危険であり、避ける必要がある。とにかく後、ひと月の辛抱だと頭を下げた。


盗賊団壊滅作戦


 男たちの襲撃を受けて二週間ほど過ぎた頃、マハーナ氏の連絡役から城塞都市の近くにリュウやカイ、マハーナ氏が到着したとの連絡が入った。久々にリュウ、カイとの再会を果たし、男たちの襲撃を受けてから、沈んでいた気持ちも少しは晴れた。早速、持ち寄った情報を使い、作戦の詰めを行うことにした。

 概要の報告はカイに届いていたが、あらためて城塞都市内の盗賊団について説明をする。盗賊団員は37名、内30名がハルタミ人で兵士上がりだと思われる。残り7名は元々城塞都市の住民で、貧困層出身の者達だと推測される。つまり、気をつけなければならない相手が30名もいることになる。

 この30名は元同じ部隊なのか、隊長と呼ばれる男のもと、統制の取れた活動をしている。潜伏しているのは大きく分けて4ヶ所、いずれも城塞近くの大きな建物となる。隊長がいる建物を取り囲むように並び、常に見張りが建屋ごとに2名立っている。

 隊長のいる建物には、襲った集落などから連れてこられた女性の奴隷たちが複数人確認できている。盗賊としての活動をしていない間は、この隊長のいる建屋で酒を飲んだり、女で遊んだり、比較的ルーズな生活をしている者が多い。隙をつけば、全員捕縛することも出来るのではないかと、思っていることを説明した。


 カイは作戦の概要を伝える。決行日は盗賊団全員揃った日、まず、盗賊団が気を緩めていることを確認し、隊長のいる建屋に忍び込む。酒に用意したケシの実から抽出した薬を入れ、酒を飲んだ者達の動きを制限する。

 その後、リュウと二人で、4ヶ所の見張りを順次拘束していく。見張りのいなくなった建屋へ、所在人数が少ない建屋から順番に押し入り、なるべく騒がれない様に拘束する。最後に隊長がいる建屋を襲い、全員を拘束する。

 それぞれの建物を襲う際は、マハーナ氏から借りた兵10名を配置し、盗賊団員の逃走を防ぐ。兵は二人一組になり、カイが考案した石弓で捕獲網を発射するものを使う。一組に弓は3本支給し、弓が得意な兵は発射に集中、力の強い兵が網をセットし準備をする。この組み合わせで石弓の連射が出来ない弱点を補う。網を掛けた敵兵には素早く駆け寄り、昏倒させる。

 とにかく気が付かれないこと、そして時間との勝負だ。マハーナ氏から借りた兵10名はリュウに鍛えられ、隠密行動、石弓の使い方、拘束の手順を徹底的に訓練されている。一番の課題は見張りの計8名を騒がれずに拘束できるかだ。これは何度も頭の中でシミュレーションを行い、本番に備えるしかない。


 作戦を決めた翌日の日中に、リュウから石弓と捕獲網を見せてもらうことにした。石弓は複数の木材と金属で造られ、安定性と命中精度が高められている。構造と弦の弾性により、弦をひく力も従来の石弓に比べ半分程度の力で済むように設計されている。

 捕獲網も複数の繊維で編み込まれ、強度と耐刃性能が高められていて、動きの制限された者が刃物を使っても脱出が困難な仕様だ。射程は5m程だが、十分すぎる性能だと言える。

 ここでも巨人の集落の技術が応用されている。カイの頭には、この問題に直面する前から、この石弓や捕獲網の設計図は頭の中で出来上がっていたに違いない。そうでなければ、マハーナ氏に弓が得意な兵士と力の強い兵士と指名で依頼をするはずもないし、たった数ヶ月で弓と網を準備出来るはずもない。

 この石弓を使い、石弓に合わせた矢を使えば、素人でも熟練の弓兵を圧倒することが出来るだろう。しかも短期間で品質の高い、15張りの石弓を用意したとなると、大量生産も可能だと思われる。

 網にしても、熟練の歩兵を素人が簡単に拘束可能だ。拘束した兵は槍でつけば簡単に命を奪うことも出来る。この二つの技術も、貫通力の高い矢と同様に流出させてはならない。リュウもそれは十分に理解していると言った。

 その日の深夜、マハーナ氏から借りた兵士10名の弓兵隊、リュウと共に都市へ入った。兵士達とリュウには、待機所として確保してあった住居に入り、作戦の確認を行う。作戦決行までは、この建物からは出ず、用意してある10日分の食料と水で我慢してもらう。


 それから3日後、機会が訪れた。その日は雨季でもないのに朝から雨が降っていた。盗賊たちも雨のせいか昼から隊長がいる建屋で酒を飲み騒いでいる。雨のおかげで、音も消してくれそうだ。リュウと相談し、決行は今日の真夜中とした。マハーナ氏の連絡役にカイ、マハーナ氏へ決行することを伝えてもらう。

 日が暮れたタイミングを見計らい、隊長がいる建屋に侵入する。ここには何度か侵入しており、勝手はわかっている。盗賊団員たちが飲む酒の甕に、ケシの実から抽出した薬を入れ、難なく建屋から出た。

 見張りの様子を確認するが、緊張感なく、雨で体が濡れ寒い、早く交代して酒が飲みたいと大声で話す者もいた。雨で視界も非常に悪く、まさに幸運の雨だった。リュウに状況を話し、時間が来るまで待機所で待った。


 時間となり、雨の中出発する。兵士達は、打合せ通りの位置へ移動、待機する。短時間、出来れば5分以内に8名の見張りを拘束したい。リュウと素早く見張りに近づき、一人一人捕縛する。死角から口に布を突っ込み、うつ伏せに倒し、後ろ手に縛り、両足首と合わせて縛り上げる。リュウは棒の一撃で昏倒させ、縛り上げていた。音はしているだろうが、雨音でかき消されている。

 目標通り、5分以内で見張りの8名を確保した。次に建屋内にいる盗賊団員達を制圧する。弓兵隊は建屋毎にフォーメンションを変え、一人も逃さぬよう見張る。隊長がいる建屋以外はハルタミの兵士以外の7名がいるだけなので、制圧に時間はほとんどかからず、ここまでで、作戦開始から15分以内で完了することが出来た。残りは22名だ。

 隊長がいる建屋には、弓兵隊の3組を連れて侵入する。残りの2組はそれぞれ、表と裏を見張り、逃走者がいれば捕縛する。建屋に入ると、薬が効いているのか、だらしなく床に倒れる兵士達で溢れていた、弓兵隊が順次縛り上げていく。中には動ける者がいたが捕獲網であっけなく拘束された。21名をあっという間に拘束し、残りは隊長を残すのみとなった。

 隊長は自室にいると思われる。酒量が多ければ薬で動けないはずだが、さすがにこの物音では目は覚めているだろう。リュウと弓兵隊1組を連れ部屋の前に移動し様子を伺う、扉越しでは人の動いている気配はない。するとリュウが、俺が入る、逃げない様に見張りを頼むと言った。

 リュウは右手に見張りを昏倒させるために使った棒を握ったままだ。躊躇ない動作で、左手で扉を押し開け中に入る。リュウの体が部屋に入った瞬間、光るものがリュウを頭から襲った。リュウはその攻撃を予想していたかのように攻撃を見事に避けていた。

 隊長は起きていて、薬も酒も効いてはおらず、リュウを冷静に攻撃してきた。身長190cmはありそうだ、160cmのリュウと比べるととても大きい。背もそうだが、その発達した腕や背中の筋肉を見る限り、体重も倍はありそうだ。それでいて先ほどのリュウを襲った一撃はとても速いものだった。

 渾身の一撃を避けられ、侮れない相手と悟ったのか、隊長はリュウに真正面から対峙した。その右手には厚く湾曲した、50cm位の片刃の剣が握られていた。狭く、薄明りしかない部屋の中で、二人はお互いの出方を伺い、隙を見つけようとしている。

 先に動いたのは隊長だった。剣をリュウに向かって横に薙ぎ払う。それを屈んで避けたリュウは隊長の懐に入ろうと、隊長に向かって前進する。隊長はそれを予想していたのか、横に払った状態のまま剣を自分の体の方へ戻し、柄の底でリュウの頭を狙う。リュウは更に屈んでそれを避けたが、隊長の左足の蹴りがリュウの胴を捉えた。リュウは真横に飛ばされ、壁に激突した。

 隊長はリュウから目を離さず、警戒している。リュウは難なく立ち上がり、気の棒を構えた。リュウに集中し、こちらに後ろを見せている今、捕獲網を撃てば確実に捕らえることが出来そうだ。しかし、それではリュウに後から怒られるので、弓兵隊にはてを出さない様、合図をする。

 リュウは構えたまま動かない。静寂が場を支配し時間が制止したように感じられた。と、隊長が剣をリュウに向かって突き出す。リュウはわずかに体を左に傾け剣を避け、棒を隊長の右手に振り下ろした。隊長が剣を落とした次の瞬間、リュウの棒は隊長の顎をしたから跳ね上げていた。崩れ落ちた隊長はそのまま動かなくなった。

 弓兵隊が隊長を縛り上げる。カイとマハーナ氏に知らせが届き、多くの兵士と共に二人が現れた。兵士たちは盗賊団員達を一か所に集め見張り、明日には交易都市に向け出発する予定だ。マハーナ氏はとても喜んでくれ、カイに感謝と賛辞の言葉をこれでもかと言うくらい投げかけていた。リュウは自分が鍛えた弓兵隊にねぎらいの言葉をかけ、酒と食事をふるまっていた。


 後処理も終わり皆が寝静まったころ、弓兵隊が休んでいる建屋に、予想通りリュウが現れた。リュウも予想していたのか、驚きもせずこちらを見ている。なるべく声を落とし、リュウへ問いかけた。

「リュウさん、何故、弓兵隊員達を殺そうとするのですか。そこまでする必要があるのですか。」

 リュウも声を落とし応じる。

「召喚人、あなたがここに現れたということは、俺が彼らを始末する理由は分かっているはずだ。彼らにあの石弓と捕獲網の構造を知られた以上、生きていてもらっては困る。カの国以外にあの技術が渡ることは避けなければならない。少しでも可能性があるのであれば、その可能性を排除するべきだ。」

「これはカイさんの命令ですか。」

「いや違う、俺の独断だ。召喚人、カイの頭の中には、あの石弓を数十倍の大きさにする、一度に十数人を捕らえる構造、設計がすでに出来上がっている。石弓の構造を見た者、弓兵隊の誰かが、構造を図に残し、それをカイと同じ発想を持つ者が見てしまったら、それは実現してしまう。

 そして、その技術を、野心を持った国が保有し、他国を無暗に侵略するようなことになれば、多くの犠牲が出る。あれは兵士でない者が、屈強な兵士を簡単に倒せる物だ。より簡単に戦が出来るようになってしまう物だ。

 だから石弓を見て触った者には死んでもらわなければならない。」

 リュウはいつにも増して饒舌だ。そして、その早い口調からも、苦しんでいるのが分かる。声を落としたまま、更に問いかける。

「リュウさん、石弓の構造を見た者が死ななければならないのであれば、山麓の村の人々、ハオやリンをはじめとする子供達もみんな殺してしまうのですか。あの石弓を製作したのは、山麓の村の人たちですよね。」

 リュウはそれを聞くと苦悶の表情を浮かべ、押し黙った。弓兵隊の元には行かせない態度を示したまま、何も言わずじっとリュウを見つめ続けた。


 この後の決着をどうすべきか。悩み、到底、解決策はないと思っていたところにカイが現れた。カイはリュウに歩み寄り、静かに話しかけた。

「リュウさん、悩ませてしまって申し訳なかったです。弓兵隊の皆さんについては、マハーナさんと交渉し、私の兵になってもらうことにしました。今後は、山麓の村の警備を担ってもらいます。

 これで安心とは行きませんが、山麓の村の情報は逐一私に入るようにしています。何か問題があっても、早急に対処が出来ると思います。

 ですから、弓兵隊の皆さんを抹殺することは止めてください、お願いします。」

 言い終わり、頭を下げ続けるカイを見て、ほっとした顔のリュウが分かったと一言だけ残すと、その場を去って行った。

 カイに御礼を言い、アイナがいる避難所に戻ると告げた。雨が強くなってきているので、万が一に備え、明日は早朝に出発することにしている、遅れないでくださいと念を押された。


 避難所に戻るとアイナは良く眠っていた。朝まであまり時間はない。引き払う用意をして、アイナが目覚めたらすぐに出発が出来るようにする。

 程なくして、アイナは目を覚ました。色々片付いたので、この都市を離れようと言うと、アイナは少し笑って頷いた。他の子供たちはマハーナに預ける予定だ。荷物を持ち、雨の中、他の子供達を連れにアイナと住宅街へと急いだ。

 子供達は幸いにも移動しておらず、それぞれがお気に入りの建物に居た。荷物がある訳ではないので、すぐに子供達を連れ合流地点へ向かう。合流地点では、出発の準備は整い皆待っていてくれた。リュウに遅いと怒られながら出発をする。


 都市を出てしばらくすると、アイナが、忘れ物があるので取りに行きたいと言い出した。男たちに襲われ、慌てて宿から避難所に移動したために、アイナの荷物は宿屋にあるままだった。アイナが言うには母親の形見の首飾りだと言う。

 雨はさらに強くなっていて、このままでは河の氾濫に巻き込まれるかも知れない。とても危険だとマハーナ氏が言った。カイやリュウも止めたが、アイナの懇願する表情には逆らえなかった。

一人で戻るつもりだったが、首飾りの保管場所が分からず、形もわからない。仕方なく、アイナを連れ、二人で取りに行くことにした。他の一行は不測の事態に備え、高台へと移動していった。

 アイナを背負い全力で走る。誰にも見られてはいないだろうから、久しぶりに全力で濡れた地面を蹴る。数分で宿屋まで戻ることが出来た。あまりの速さにアイナは驚いていたが、直ぐに首飾りを取りに行き、戻ってきた。

 アイナの笑顔を見た。嬉しそうに走ってくるアイナを抱きしめた。その時、宿屋の壁が崩れ、とてつもない勢いの水に飲み込まれていた。パニックに襲われたが、アイナを必死に抱きしめ、離さない様にする。

 濁流に飲まれ、体は激しく回転し、流されている木や土砂にぶつかる。必死に体勢を立て直し、水面まで上がる。アイナは水を飲んだようだが、目に見える範囲で大きな外傷はなく、大丈夫そうだ。だが、流れが速く、ほとんど抵抗することが出来ない。早くこの流れから逃げ出し、アイナを濁流から出さなければ、低体温症で命の危険がある。

 慌てず、周りも見まわし、何か濁流から逃れられる術がないか探す。しかし何も見つからない。必死に抵抗するが虚しく足が空回りするだけだった。アイナは寒さで体が震え、痙攣を起こしはじめていた。


 それから、雨も上がり、何とか濁流から逃れ、地に足を着けた時には、アイナはすでに息絶えていた。

 何故、宿に戻ることを許してしまったのか、どうして一人で戻らなかったのか、後悔だけが心の中に積もっていく。


 アイナを抱きかかえ、一行が避難している高台まで登る。皆黙っている、子供達でさえ声を掛けては来なかった。適当な場所に黙々と穴を掘り、アイナを母の形見の首飾りとともに埋葬した。しばらくするとカイが近寄り、気が済みましたか、と声を掛けてきた。それに黙って頷き答えると、では行きましょう、とカイに促されるまま一行に加わり、交易都市に向かって歩き出した。


 未だこの世界に召喚された目的、成さねばならぬことは、はっきりしていない。世界の平和に貢献したいと思って、この世界に来たのだと思うが、すぐそばに、腕の中にあった命さえ救うことが出来なかった。

 常人にはない力を持ちながら、何も出来ない。この世界に連れてきた存在、そんなものがいるのかも分からないが、一体何をさせたいのか、何が目的なのか、それを確かめたい。その為には、まだ旅を続けなければならないのだろうか。どこまで西に行けば良いのだろう。

 これから先も目の前にいながら、救えない命は出てくるだろう。その時、どう思うのだろうか。果たして心が耐えられるだろうか。カイやリュウが居てくれれば、耐えられる気がする。でも、彼らと旅が出来るのは後どれくらいだろうか。

 それでも今は彼らと旅を続けたい、これから何が待ち受けていようとも。

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