尾瀬家後編1
コンコン…
木製のドアをノックする。中で泣いていたりしたらどうしようと考えながら返事を待っていると、
――ガチャ――ドアが開き、中から舞姉の腕が伸びてきた。何回目だよ。一つ言えることは舞姉は柔道やらなんやらをやった方がいい。もっとも、あの華奢な体からは想像も出来ないが。
そんなことを思いながらさっきと同じように、部屋に引っ張り込まれ、舞姉のベットに押し倒された。
あ、いい香り。とはならずに今度は早期脱出を試みたが、はばかられた。舞姉が俺の腰にしっかりと乗っている。華奢な体からは想像も出来ない力で押さえつけられてしまった。
「ま、舞姉?」
流石にさっきとは違う雰囲気がしたので恐る恐る聞くと、舞姉は涙を流して言った。
「響介ごめんね。響介ごめんね」
そう何度も謝られ、舞姉の額を通じて落ちてくる涙に服を濡らされながら舞姉の顔を見ると、凛以上に泣いていた。不思議な人だ。関わりがなかったのに妙に距離が近くて。分からない。
「舞姉!大丈夫だから!!凛とも話したから!!とりあえず離してくれ!!」
何とか言論での脱出を試みるも、舞姉は離さない。
「大丈夫じゃないよ!!もし凛の言葉で響介が、響介が自殺とかしちゃったら、私…もう生きていけないよ…」
何をそんなに感情移入しているんだとはいえずに黙って聞いていると、舞姉は俺の腰に乗りながら俺の胸に顔を埋めてきた。鼻水でぐちゃぐちゃになった服を横目に、
「本当に大丈夫!!凛ともお互い和解して理解したし、舞姉こそ落ち着いて!!」
このままでは何をしでかすか分からなかったので、とりあえず宥めることにした。背中をさすってやり、大体三分くらいたった頃、舞姉が口を開いた。
「ありがとう響介。ちょっと落ち着いてきた」
そういう舞姉は近くにあったタオルで涙を拭いながらこっちに顔を向け、再び言った。
「凛と和解できて良かった。ほんとに良かった」
「あぁ。ちゃんと相互理解をしたぞ。大丈夫だ」
そう言ってやると、今度は顔を赤面させ、
「じゃ、じゃあさっき言ったことは忘れて…」
「さっき言ったこと?」
オウム返しに聞くと舞姉は俺の腰の上から降りて、
「やっぱり響介には…」
と、ボソリと言った。
はて、なんの事やら。
とりあえず俺はリビングに来るように伝え舞姉の部屋から出た。その後を舞姉が着いてくる。
これが舞姉とのセカンドコンタクトになっていたなんて。
舞姉伏線回でした〜!!
前回に引き続き序盤から伏線貼りまくっていきます〜!書いたて自分でも舞姉可愛いと思う!!
次の更新は金か土です