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お風呂と涙1

「そうだった…」

「そうだったねぇ」

凛と舞が不満とも絶望とも言える声で嘆く。

「そうだったはこっちの台詞だ!!」

俺も一緒になって嘆こうとすると、恋が

「それは私も一緒です!!でも誰かが響介君の前に入らないといけないんです!!舞姉も凛姉も文句言わないでください!!あと、響介君は自分の立場を理解してください!!あなたのせいでお風呂の順番を考えなければならないんですからね!!」

息を荒らげながら一気にまくし立てる恋。

なんかすまん。俺のせいで。

「なら、俺友達の風呂借りてくるよ」

折衷案を出し、スマホで旭陽に連絡すると、秒で、

「はぁ?もう10時だし今からは遅いって!!てか自分の家の風呂入れよ」

今の家は女子三人と同棲している言える訳もなく諦める。悩みに悩んだ挙句、俺の中で最後に閃いたのは銭湯に行くことだった。

「俺、銭湯行ってくるよ!!」

問題解決と言わんばかりに顔を喜ばせながら宣言すると、

「何言ってんの響介。今はもう10時よ?銭湯が開いてる訳ないじゃない」

半ば呆れたように凛が言う。

万策尽きたといった感じで俺は床にへたり込む。

この場合、誰かが俺の前に入浴することになる。

ん?誰かが俺の前に入浴?

「ていうか、そもそも俺が最初に入れば良くないか?」

なんでそこを見落としていたんだ…俺が最初に入ればいい話じゃないか。

「俺シャワー浴びるだけだからさ。これでいいだろ?」

「おぉ〜響介いい案出すねぇ」

「響介も少しはいい案出すのね」

舞姉と凛が食いついてくる。やっぱ俺って天才じゃね?

「それじゃあ…シャンプーとリンス、ボディソープは私の…物…を使ってくれて…いいので早くシャワー浴びてきてください!!」

顔を赤らめながら恋がそう提案してくる。

「恋、助かる」

そう言い残し、舞姉が指さしている所を見る。

「じゃ、響介ここだから」

そこはさっきから気になっていた、スモーク加工が施されている場所だった。リビングの三分の一を占めているそのバスルームはこれまでシャワーしか着いていなかった俺のアパートのバスルームとはレベルが違うものだった。パジャマやタオルを持ち、中に入る。外からは三姉妹の話し声が聞こえる。

バスルームに入ると丁寧なことに恋、舞姉、凛それぞれのボックスがあり、俺は恋のボックスからシャンプー、リンス、ボディソープを取り出し、そのすぐ横でシャワーを浴びる。

あぁ。俺ってもう一年で死ぬのか。早くて、残酷な死に方をするんだな。俺って。ごめん母さん。ごめん父さん。俺の人生赤いよ。今更ながら湧いてきた死への恐怖。自分が必ずbeウイルス感染症の治療法を見つけると心に誓っていただけに、悔しい。尾瀬さんは俺の事気遣って研究に参加させてくれるみたいだけど知識が少ない俺が役に立ち、治療法が見つけられるのかは分からない。そう思うと涙が止まらなくなった。泣いた。声を上げて泣いた。多分リビングにいる恋や舞姉、凛にも聞こえていると思う。それでも声を上げ、鼻水を啜りながら泣いた。もう額を流れるのがシャワーの水なのか俺の涙なのか分からなくなっていた。

その時――ガチャ。バスルームのドアが開いた。

1日ぶりの投稿になります!!これからも不定期に週に2〜3回ほど休載する日があると思います!!

次回、バスルームに入ってきたのは誰なのか!?

次の更新は月曜日!!

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