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第79話 オークとの戦い


 腕を斬られたオークが激怒したのか、力任せになりふり構わず斬り掛かってくるが、焦らず慌てずオークの斬撃を剣で受けたり躱すなどして、チョコチョコと反撃していく。


「なんじゃ? 五日前に見た時よりも随分と粘っとるな?」


「じゃな……、しかも、いっちょ前に反撃までしとるぞ?」


「ああ、なんか……、それなりに持ちこたえとるな?」


 こちらからは攻撃を仕掛けず、オークの斬撃を剣で弾いて軌道をずらすなどして、ひたすらチョコチョコと反撃を繰り返していく。


「おいおい! 良い感じじゃねえかっ!」


「なんじゃ!? 上手い具合にオークの態勢を崩したと思ったら、反撃までしとるじゃないか!」


「前は二、三発喰らってぶっ倒されとったのに、やるじゃねえか!」


 オークが斬り掛かるたびに反撃されて頭に来たのか、息を荒げて更に激しく斬り掛かってくる。


 だが、慌てず焦らず冷静に反撃し続ける。


「おっ! よっし! いいぞー! その調子じゃ~!」


「おい、おい!? ちょっと見ねえ間に、随分とやるようになったじゃねえか!!」


「じゃな! 見違えるほど強くなっとるぞ!!」


「これならオークに勝てるんじゃねえか?」


「かもしれねえなっ!! 頑張れよ~! 英雄のアンチャン!!」


 お爺ちゃん達が短期間で急激に成長した俺に驚いているが、オークとの戦いに意識を集中する。


 オークの斬撃を躱して即座に斬りつける。


「おっ! 今のは結構深いんじゃねえか?」


「じゃな! ホント見違えるほど強くなっとるぞ!!」


「前は見てるこっちがハラハラしておったんじゃがのう……」


「じゃな!! これなら安心して見ていられるわい!」


「よっし! その調子じゃー! 頑張れ~! 英雄!!」


「英雄のアンチャン、頑張れよ~!」


「頑張れ~、えいゆ~!!」


 お爺ちゃん達の期待を一身に背負いながら、オークの斬撃を躱して反撃を仕掛けると、脚を斬られたオークが動きを止めた。


 少し後ろに下がって距離を取る。


 なんか、今日は自分の狙い通りに攻撃が当たってるんで、チョット楽しいな……


 オークが剣を激しく振り回しながら迫って来るが、危なげなく剣を受けたり躱したりして対処してゆく。


 ん~、今日はオークの動きが良く見るんで、あんまり攻撃を喰らってないからずっと戦っていられそうだな……


 剣を振り上げ、雄叫びを上げながら斬り掛かってくるオークを即座に躱して斬り払う。


 しかも、上手く闘気も使えてるようなので、いつもよりも剣の斬れ味が良い気がするな……


 腹を斬られたオークが膝をついてうずくまった。


「おっ! 良いのが入ったぞ!!」


「おお! 今のは結構深そうじゃな!!」


「いいぞー! その調子じゃー!」


「ほれ! あと少しじゃっ!! 頑張れー!」


「頑張れ~! 英雄!」


 お爺ちゃん達の野太い歓声を受けながら、傷だらけのオークを見据えて剣を構える。


 にしても、ここまで戦えるようになるまでは、本当に大変だったなあ……


 魔物退治に同行して二日目に、重たいオークの死骸をズルズルと引き摺ってる俺を見たヤマさんが


「ケビンも俺らと一緒に魔物と戦いながら体を鍛えるべ」


 と言ってきたので、早速俺も魔物と戦ってみたものの、身体能力が低すぎて結局魔物にボコボコにされちゃったんだよなあ……


 それでもめげずに何度も魔物に挑み続けるものの、四日目くらいまでは毎回魔物にボッコボコにされまくって、毎回エリスにケガの治療をしてもらってたんだよなあ……


 んで、その度にお爺ちゃん達から励まされてたんだよなあ……


 ただ、五日目あたりからはやっと魔物と戦えるくらい身体能力が上がったんで、そっからは本格的に魔物相手に実戦稽古が出来るようになって、どうにかこうにか、ここまで魔物と戦えるようになったんだよなあ……


 などと思っていると、防壁から俺の戦いを見ていたお爺ちゃん達が


「なんじゃ? なかなか、オークが立ち上がらんな?」


「けっこう良い感じに斬りつけとったし、ずっと反撃されてたんで、だいぶ弱っとるんじゃないか?」


「前は直ぐにぶっ倒されとった英雄が、まさかここまでやれるようになってたとはのう……」


「じゃな! この調子だったらオークを倒せそうじゃの!!」


「よっし! あともう一踏ん張りじゃ! 頑張れ~! 英雄!」


「もう少しじゃ~、気を抜くなよ~!」


「頑張れよ~!」


 お爺ちゃん達の熱い声援を受けながら、傷だらけのオークを見据えて


 俺、本当に頑張ったなあ……


 などとチョット目頭を熱くしていると、オークがゆっくりと立ち上がった。


「よっし! 英雄!! もう一踏ん張りじゃ~」


「オークはもうヘロヘロじゃ! 負けんなよ~」


「頑張れよ~」


 ん~、このままオークを倒せたらお爺ちゃん達を安心させられるし、なにより自分に自信が持てそうだな……


 オークが雄叫びを上げると、力任せになりふり構わず斬り掛かって来た。


 焦らず冷静に、オークの斬撃を受けつつ反撃のチャンスを窺っていると、新たに一体のオークが防壁の方から飛んで来た。


「なっ!? ヤマ! 何しとるんじゃっ!!」


「なんでオークを追加した!!」


「もう少しで勝てそうなんじゃぞ!!」


 オークが一体追加され、二体のオークの斬撃を必死で対処していると


「うっせえ! ジジイ! ケビンばっか応援してねえで、ちったあ俺様のことも応援しやがれ!!」


「は~? なに言ってやがる!」


「わしらがヤマを応援するわけないじゃろが!!」


「ヤマのくせに、ひがんでんじゃね~ぞ!」


「いい歳こいて、みっともねえぞ!!」


 え? なに? もしかして、ヤマさんはお爺ちゃん達からの声援がないから拗ねてたってこと??


 などと思いながらも、上下左右と目まぐるしく斬り掛かってくる二体のオークの斬撃を、必死で対処しまくっていると


「ケビン! 一体よりも二体の方が良い訓練になるぞ!」


「なにを言っとる!! 英雄にはまだ早すぎじゃっ!!」


「一体ならまだしも、二体はまだ早いじゃろ!!」


「うっせえ! ジジイ! だったらおめえらも一緒に戦え!!」


 二体のオークの斬撃をかいくぐりながら


 なるほど、ヤマさん! そういう事でしたか……


 以前の俺だったら、尻尾を巻いて逃げ出していたかもしれませんが、今の俺は気力も体力も充実してるんで、頑張っちゃいますよ!!


 よ~し! やってやろうじゃないの!!


 などと、ひとりで意気込みながらも、オークとの立ち位置を意識しながら斬撃を受けたり躱したりして冷静に反撃の機会を窺う。


「おっ! なんでえ! 英雄のアンチャン、上手く立ち位置を調整してんじゃねえか!」


「じゃの! あれなら、二体のオークは同時に攻撃を仕掛けられんぞ!」


「じゃな! 常に一体のオークとだけ対面しとる状態にしとれば、もう一体は後ろでウロウロするしかないからのう」


「なかなかやるじゃねえか!」


「いいぞ! 英雄!!」


「頑張れ! 英雄!」


 まさかヤマさんにオークを追加されるとは思っていなかったが……


 体力も筋力もまだまだ持ちそうだし、この調子なら時間は掛かるが二体でも倒せそうだな……


 正面で対峙しているオークだけではなく、その後ろにいるオークの動きも意識しながら攻防を繰り返していると、対峙している正面のオークが勢いよく剣を振り下ろしてきた。


 よっし、こいつは剣で弾いて即座に反撃に繋げ……



『パキッ』



 えっ!? うっそ!! 折れた!! このタイミングで!?


 長さが半分になってしまった剣をオークに投げつけ、即座に距離を取る。


「なんとっ!?」 


「剣が折れたのかっ!!」


「ついてないのう……」


「どうするんじゃ?」


 ん~、もう少しで勝てたかも知れなかったのになあ……


 などと思いながら、二体のオークの様子を窺っていると


「なにをやっとる!! 走れ!」


「おい! 突っ立ってねえで、早く逃げろ!」


「急げ! 走れー!!」


 お爺ちゃん達が悲痛な叫び声をあげるのと同時に、二体のオークが襲い掛かってきた。


 後ろに下がりながら即座に指輪から【麻痺】の杖を取り出し発動させる。


「なっ!? なんじゃあ?」


「魔法か?」


「いや、ありゃあレア装備じゃ!」


 オークが勢いよく地面に倒れて動かなくなったので、今度は【雷】の杖を取り出し発動させる。


 耳をつんざくような爆音と同時に、二体のオークが雷に打たれると、体から煙を立ちのぼらせた。


 ふう~、剣が折れたのは流石に焦ったが、とりあえずなんとか倒せたな。


 ん~、出来れば剣でとどめを刺したかったなあ……


 黒焦げになって地面に倒れたオークの死骸を見つめていると


「なーにやっとんじゃー!」


「騙し討ちはいかんじゃろー!」


 えっ!? レア装備で戦ったらダメだったの?


「逃げるならまだしも、剣がダメになったんなら拳で戦えー!」


「男子たるもの武器がなければ、拳で戦うもんじゃぞー!!」


 えっ? そんな取り決め、知らねえし?


「見損なったぞー!」


「がっかりじゃ!」


「心配して損したわい!」


 いやいや、確かに剣じゃなくってレア装備の魔法でとどめを刺しましたけども……


 やっとオークを倒せたんだから、もっと褒めてくれたって良いのでは?


 などと思っていると


「なんじゃい! 期待してたおったのにガッカリじゃ!」


「そうじゃ、そうじゃ! さっきまでのドキドキを返しやがれ!」


「見損なったぞ英雄!」


 てな具合に、なぜかしばらくの間、俺はお爺ちゃん兵士達からのヤジを受け続けるのであった……


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