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知恵無き者と、理性無き者。

ガラララッ


ドアを開け教室に入る。


走れば案外早く着くんだな。


伊織は着くなり用事があるとか言ってどこかに行ってしまったので一人だ。


「おっ、来たな。おはよー。あ、そうだこないだの…」


「ん。おはよー」


教室に入ると突然挨拶をされた。

が、適当にあしらい席につく。


「おい!うぉぉぉい!スルーかよ!今完全にわざと無視したろ!」


「なんだよ、朝っぱらからうるさいな」


「人の話切っといてその言い草かよっ!」


このアホ面下げた賑やかな男は充奈 司(あてなつかさ)

アホである。

黒髪短髪の大柄な男。クラスが同じになりゲームをするようになった仲だが、とにかくテンションが高いため基本的についていけない。面倒な時はスルーと生返事で対処。


顔立ち的に言えばそれなりにモテててもおかしくは無いのだが、趣味がそれを全力で阻んでいる。

こいつの趣味、それはゲーム。

それももちろんR18という魅惑の文字がラベルに記されているタイプのだ。


「先週買ったエロゲをゴールデンウィークフルに使って全ルート開拓してみたんだけどさぁ、いやー、良かったね!うん。フィリーたんがかわゆすぎるんだよ!」


早速だ。

というか、エロゲとか大声で言うな。


「わ、分かった、分かったが…それ、教室のど真ん中で、それもとんでもない大声でする話か?周り見てみろ、引いてるぞ」


「お、おう、いや、けど聞いてくれ」


続けるんかい。


「実はな…俺、フルに使い切ってもひとつだけ、ひとつだけ開けなかったルートがあったんだよ。隠しルートなんだけどさ。どうすればいいのか…」


「やった事ないから知る由もないが。因みに、どんなルートなんだ?」


「隠しルート限定でヒロイン枠に入ってくる女教師ルートなんだけどさ、何回やり直してもそっちに入れなかったんだよ…!美優先生っ!」


フィリーたんはどうした。

世界線は日本なのか?


とてつもなくどうでもいい会話だな。

月曜の朝にする話じゃないことだけは確かだ。


「あぁ、分かった。頑張ってくれ。じゃ、下がっていいぞ」


「えぇ!?いきなりぞんざいな扱いに!?」


「この話に需要がなかったからだ」


女子の誘いを断る時に使う爽やかスマイルで言い放つ。


「うぐっ…なんだその笑み…男に向けるやつじゃないだろ…!」


当たりだ。アホのくせにそういう頭は動くんだな。


「おー、朝から賑やかにやってるやん、カカッ」


と、司の後ろから声を掛けてきた金髪の男。名は浦野 傑(うらのすぐる)。今年からうちのに転校してきた男。

兵庫の高校から転校してきたらしく、初っ端からコテコテの関西弁で挨拶をしていたのが印象的だったか。


初日からクラスに馴染み、話も面白いやつなので問題もないのかと思っていたら初日でやらかした。


ここで少し脱線するが、うちの高校はあくまでも進学校だ。不良はそうそうでない。

が、出ないわけではないので、うちにも数人がいる状態だ。


そいつらが新入生に対しカツアゲを行った後、ボコボコにされた姿で校舎裏に転がされているのが発見された。

ボコボコにされたのはその不良共だ。


そして俺は見てしまった。その一部始終を。


浦野によると、一階の端の方でカツアゲされているのが目に入ったため、校舎裏に連れ出し根性を入れ直していたらしい。


こいつはやばい。大問題児だ。

下手に関わったら俺の平穏無事な生活がお釈迦になりかねない。

そう思ったのがその日のこと。


問題児だと思った浦野は基本的にはいいやつであることは確かだった。

ただ、本人曰く「ゴミみてぇな真似してる奴見てると殴りたくて仕方あらへんのよな」とのこと。


まぁ、やり方はなんだっていいとして、根はいい奴なんだろうな。


俺らともすぐに打ち解けた。


そんな回想が終わると、ホームルームのチャイムが鳴った。


早く帰りたいな。

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