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スコッパーになろう!

スコッパーになろう! ~ランキングが気に入らないならスコップすれば良いじゃない~

# 序文

私は一介のスコッパーである。「小説家になろう」という鉱脈の奥底に眠る黄金のような良作を求め、日々貧弱な腕にてスコップを振るう者である。そんな私にとって、「スコッパー」という役割は自明であった。しかし世の中を見渡してみると、「スコッパーとは何か?」と疑問に思う者が少なからずいるようだ。


であるならば、私は歌って踊ることはできないけれど、エッセイを書くことのできるスコッパーとして、それを伝えよう。そんな風に思った次第である。



# なぜ「小説家になろう」を読み始めたのか?

これは私の個人的な話であって、他のスコッパーがどうだったかは知らない。しかしスコッパーになるまでの私は、至って普通の読者であったことを理解していただくべきだろうと思った。だから、如何にしてなろうを読むようなったかについて書く。


私が「小説家になろう」にて本格的に活動を始めたのは、2017年11月〜2018年初めのことである。世は「なろう系」に対して「読むストロングゼロ」というレッテルを貼る一方、「小説家になろう」の代表作たる「転生したらスライムだった件」(以下、転スラ)のコミカライズが人気を博し始めた頃である。「転スラ」の漫画の続きが気になる、そう思っていた矢先、どうやらその作品は「小説家になろう」で公開されているということを知った。


ならば「小説家になろう」で読むしかない。


そうして私は一読者として「小説家になろう」の門をくぐったのである。私はくぐるやいなや「転スラ」の最終話までを一心不乱に読み進め、読破した後にはすっかり「なろう系」という新鮮なアイデアに魅了されてしまっていた。


「次は何を読もう?」本来であれば、「転スラ」を読んで撤退するべきだったかもしれない。だが、何事にものめりがちな私にとっては、後戻りなどできようはずもなく「なろう系」の沼にズブズブと足を踏み入れてしまったのだった。


その後は、『無職転生』、『ありふれた職業で世界最強』、『蜘蛛ですが、なにか?』、『八男って、それはないでしょう!』、『Knight's & Magic』、『Re:ゼロから始める異世界生活』などなど。累計ランキングの上位作品やアニメ化作品を片っ端から読む日々が続いた。


具体的には約2ヶ月。それが私と「なろう系」のハネムーン期間であった。期間が過ぎた後は急速に「なろう系」に対する熱が醒めた。なんというか超絶甘ったるいケーキを貪り食ってたら、いきなり胸焼けが来たみたいな感じである。


そうして私はなろうを去った、完。


ということにはならず、次に「なろう系」以外の人気作品を探すことにした。これだけ作品が投稿されているなら、非なろう系のラノベがあると見て間違いない。そこでGoogle先生に頼み込んで、「なろう オススメ」でなろう作品に言及しているブログなどを探すことにしたのだ。


結果、期待通りに従来の「なろう系」とは少し違う作品と出会う。『その無限の先へ』、『ラピスの心臓』、『ライブダンジョン』、『辺境の老騎士』、『最果てのパラディン』あたりがその時に名前を知った作品群である。


ただどこもお勧めしている作品に大きく違いはなかったようで、それらの作品も早々に最新話まで読んでしまい、いよいよ手詰まりとなってしまった。仕方がないので、なろうの使いづらい詳細検索を使って良さそうな作品を漁ることにした。


その時は、まだ総合ポイントにある種の信頼を寄せていて、1万ポイントを下限として作品を探していたように思う。



# スコッパーの存在を知る

そんな私に転機が訪れたのは、5ちゃんねるの文芸書籍サロン板の存在を知った頃だ。なろうの検索では読みたいものが見つからなくなり、いよいよ困った私は5ちゃんねるに専用スレがあるかもと閃いたのだ。早速検索したところ、予想通り文芸書籍サロン板というものがあり、そこはなろうに関するスレで埋め尽くされていることが分かった。


ここならまだ知らない作品に出会えるだろう。そう思ってウォッチを始めたのが、『あなたに合いそうなおすすめweb小説を紹介するスレ』と『「小説家になろう」オススメの作品を紹介していく』である。


そこでは、「なろう系」に飽きたと思われる人たちが集まっており、とんでもなく細かいニーズに応えて作品を紹介したり、自分の見つけたマイナー作品を紹介していた。


それからと言うもの私はそのスレに頻繁に出入りするようなった。そしてそのスレを通じて、マイナー作品を見つけて紹介する人々がスコッパーと呼ばれる人たちであることを知ったのだ。


とは言え、この頃はまだ総合ポイントの低い作品が良い作品だとは思えず、3桁の作品はスルー、4桁なら読んでみるかという調子であった。



# 初めてスコップに挑戦する

さて、スレに入り浸っていたある日のこと。私は唐突にダンジョンモノを読んでみたくなった。ただ同時に自分で探してみようという気持ちにもなり、なろうの詳細検索でひたすらダンジョンモノのタイトルとあらすじを見て漁ることにしたのだった。総合ポイントもあえて絞らなかった。


そこで見つけたのが『異世界転生ダンジョンマスターとはぐれモノ探索者たちの憂鬱~この世界、脳筋な奴が多すぎる~』である。当時まだポイント3桁。せっかくなので、スレで報告してみようと書き込んだところ、「文章が小説ぽくない」という指摘はあったものの作品自体は結構評価されたのだった。


単純にそれだけのことだったが、自分もスコップできるじゃんという手応えを感じた。


なお余談であるが、この作品は後に書籍化されている。



# スコップは楽しい

このあと味をしめた?私は、たまに気が向くとスコップするようになった。特にうまくいったのはハイファンタジージャンルでオリジナル戦記に絞って3桁作品を漁った時だ。その時スコップした『骨董魔族の放浪記』は、その後他のスコッパーさんがレビューしたことで人気に火がつき、日間ランキングを駆け上がり、発掘当時の100倍以上のブクマ数を稼ぎ出した。これは最近書籍化したと聞く。


また同じくその時見つけた『四壁の王』は、スレで紹介したことがきっかけで日間ランキングに顔を出した。駆け上がることはできなかったけど。結果、総合ポイントは3桁から4桁になった。


他にもいくつか思い出はあるが、総じて言えることは、一介のスコッパーであっても立ち回り次第で自分の推す作品をランキングに打ち上げる余地が十二分にあるということだ。ランキングにさえ上がってしまえば多くのユーザーを獲得できるチャンスが到来する。うまくすれば書籍化だ。


それこそ自分のことのように嬉しく感じること請け合いである。



# スコップは心が折れるらしい

だが、スコップは必ずしも良い面ばかりではない。実際ポイントがついてない作品の多くはついてないなりの理由がある。


本当に実力があって埋もれている作品は、さほど多くはない。ゆえに、掘っても掘っても良い作品に巡り合えないと心が折れる。Twitter上にはそういう人のツイートが散見されたし、先に述べたスレでもスコップの大変さを嘆く言葉を聞くこともあった。


しかしそれももはや過去のことだ。幸い今はスコップするのに適した環境が整いつつある。


どういうことかというと、ここ最近なろうユーザー向けの外部サイトが二つ新たに生まれたからだ。一つは、何のことはない私が作った「なろうファンDB」、そしてもう一つは「なろうRaWi」である。


前者はスコッパーとしての経験から、ランキング以外の切り口を提供するために立ち上げたものだ。使いやすさという点にも、かなりこだわっている。一方の後者はAIを駆使して、ランダムでオススメ作品を表示してくれたり、気に入った作品と類似した作品を勧めてくれたりする。作った動機はランキングに不満があったからのようだ。


このような状況なので、ランキングに対する不満を垂れ流すだけの日々とは、いつでも別れを告げることができるのでは?と思っている。あとはこれを読んだ読者に、その一歩を踏み出す気持ちがあるかどうかである。



# さいごに

小説投稿サイトは、なろうに限らずアルファポリス、カクヨム、エブリスタなどいくつもある。それでも読者数が圧倒的に多いのは相変わらず「小説家になろう」である。


そのため、今でも毎日短編含め300本以上の作品が新たに投稿される。その中でランキングを駆け上がった作品などごく一部に過ぎない。なんなら過去の作品まで含めると70万本以上だ。


本当に色んな方向性の作品が沢山あるのがなろうの良いところだと私は思う。


そういった作品が誰の目にも触れずひっそりと消えていくか、はたまた日の目を見て一定の読者に評価されるかは、スコッパーにかかっているのだ。


だから。


ランキングに不満がある読者諸君は、スコッパーになろう!

この作品の下に「なろうファンDB」と「なろうRaWi」のリンクを置いてます。ぜひご活用ください。なお、「なろうRaWi」の作者さんには、事前に当エッセイで言及している旨報告済みで、快くGOサインをいただきました。

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― 新着の感想 ―
すごくわかりやすかったです。 もっと気軽におすすめやいい作品を教え合う土壌や場所がもっとあったらいいかもしれませんね。
[良い点] 起承転結が分かりやすいです。 [一言] スコッパーの方に、ぜひ僕の作品も読んで欲しい。 「評価されない作品はそれなりの理由」があると書かれていましたが、結構頑張っているんだけどなぁ、と思い…
2022/02/06 18:06 退会済み
管理
[一言] スコッパーにおける熱い気持ちが伝わってきました。 そう!なろうは似たような作品が沢山あるけれど、面白い作品も沢山ある。 私もコミカライズ作品の冒頭だけ読む→あとはなろうで読むみたいな冒涜的な…
感想一覧
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