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合同練習と懇親会(1)

「レン、昼は付き合え」


 ハンターチームの登録をした翌日、俺は昼休みにタスクから呼び出された。弁当を持って行くとタスクだけでなくユキも待ち構えていた。


「何の話……、なんて聞くまでもないかな」

「レン、例のご令嬢とは、その、どういう関係なの?」

「それは前に言っただろ。『ご友人』だよ」


 ユキはのっけからまたカレンお嬢様との関係を聞いてきたが、俺にはこう答えるより他に答えはない。


「本当に? その割にはやけにご令嬢に対する態度が馴れ馴れしかったような気がしたんだけど」

「そ、そうかな?」


 馴れ馴れしかったのは俺の方じゃなくてカレンお嬢様の方だと思うけど。


「でも、ハンターチームを組むのなら、貴族様だからって他人行儀でいるわけにはいかないだろ」

「それはまあ、そうだけど」

「いやでも、お前、ガリソンさんからも妙に買われてたよな」

「まあ、それは否定しない」


 タスクの横やりには俺も頷かざるをえなかった。ガリソンが時折垣間見せる俺に対する評価は買いかぶりすぎだと思うことが多々あった。


「ガリソンさんは有名なハンターなんだろ。そんな人から買われるって、普通じゃないよな」

「そう、それっ。どういうことなの、レン?」


 タスクの追撃に、ユキも同調してきた。そういえば、2人には事の起こりであるビュープレット子爵の依頼についてちゃんと説明していないことに気づいた。これは依頼の次第について詳しく話しておいたほうがいいのじゃないか。


「分かった。これから話すことは嘘みたいに聞こえるかもしれないけど……」


 俺はそう前置きして、モモ先生から声を掛けられたところからカレンお嬢様の命を救ったところ、さらには支援の大弓を受け取ることになった次第まで、弁当を食いながら全部順を追って説明した。


「子爵邸で起こったことはガリソンさんが全部見ていたし、子爵様に呼ばれたことはモモ先生や校長先生も知ってることだから、信じられなかったら聞いてみてもらってもいいよ」

「まあ、昨日の様子を見てその話を疑う理由はないから、まあ、本当なんだろうさ」

「待って。てことは、レンは例のご令嬢の命の恩人ってこと?」


 タスクは俺の話で得心が行ったようだが、ユキはまだ何かあるみたいだ。


「まあ、そういうことになるのかな」

「っていうことは、ご令嬢の方がレンに特別な感情を持ったって可能性もあるんじゃない? どうなの?」

「どうって言っても……、向こうは公爵閣下の孫で俺は貧乏騎士の息子だろ? 命を救ったってそんなの当たり前のことじゃないのか?」


 まあ、騎士道物語はまさに公爵令嬢と無爵の騎士の恋物語なのだけれど、そんなのはお話の世界のことであって、現実世界では上級貴族にとって騎士なんて使い捨てできるただの人足でしかないのだから、俺がカレンお嬢様の命を救っても当然の義務を果たしただけのことのはずなのだ。


「そうかなぁ」


 でも、ユキはまだ納得がいっていない様子だった。


「いや、それよりも、俺はお前がそんなにパズルが得意だったってことに驚きだよ」


 どうやら、タスクの興味はユキとは別のところにあるらしい。


「俺の座学の成績を知らないのか?」

「勉強とパズルは別物だろ?」


 タスクの言うことはいちいち尤もでむかつく。


 ちなみにだが、タスクもユキも、俺の全知書庫(カンペ)の固有スキルのことはしらない。ユキは俺の固有スキルは念話(ひそひそ話)だけだと思っているし、タスクはそれすら教えていなかった。


 だから、タスクもユキも、俺がどうやってパズルを解いたのかは分からないのだ。


「天才には勉強もパズルも似たようなものなんだよ」

「なるほど? 天才じゃない俺には分からん話だな」

「レンが『天才』!? そりゃないでしょ。アハハハハ」


 冗談めかして言っただけの言葉にユキが食いついて大笑いを始めた。むかついたので、念話(ひそひそ話)で頭の中に直接抗議してやった。


「(何で笑うんだよ)」

「(だって、絶対レンは天才って顔じゃないでしょ)」

「(どこからどう見ても天才って顔じゃんか)」

「(ぶははははははっ)」

「(じゃ、何だってんだよ)」

「(え? うーん)」


 ユキは眉をしかめて口に手を当てて俺の顔を見つめてきた。そんなに悩むことかな……。


「お前ら、さっきから黙って見つめ合って、何してんだよ」


 と、念話(ひそひそ話)のことを知らないタスクが若干あきれた様子で突っ込みを入れてきた。


「そ、そ、そ、そんなこと、してないけど?」

「あやしい」

「そろそろ教室に戻らないと、昼休みが終わるぞ」


 しどろもどろなユキに助け舟を出すように、俺は弁当にふたをして立ち上がった。これで昼休みの会議は終わりだ。


「(私はまだご令嬢との関係について納得したわけじゃないからね)」


 と、教室へ戻る道すがら、切り忘れていた念話(ひそひそ話)の回線を使って、ユキが話しかけてきた。


「(だから、ただの『ご友人』だって。てか、なんでユキがそんなことを気にするんだよ)」

「(べ、別に気にしてないけど!)」

「(してるじゃん)」

「(し・て・な・い・!)」

「お前ら、また見つめ合ってんのか?」

「「見つめ合ってない!」」


 2人で同時にタスクに反論して、ついでにそのタイミングでユキとの念話(ひそひそ話)を切った。


 それにしても、この間からユキはカレンお嬢様のことが絡むと毎回ピリピリしているような気がするのだけど、気のせいだろうか。何か、女同士でそりが合わないとかあったら面倒だなと思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです^^ [気になる点] 貴族の依頼内容を仲間だとしても勝手に話していいのでしょうか? 特に悪魔や命に関しての依頼だと極秘の可能性があると思います せめて許可を取ってからの方が貴族に…
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