第九十七話 女王様
お店を囲む兵隊はアゼルの強さに恐れをなし硬直している。
「な、何をやっておるのだ!」
女王様は叫ぶとこちらへと向かって走って来た。
「ジャンよ! 何をやっておるのだ! このやくたたずめが!」
女王様は床に転がるジャン様を怒鳴りつけた。
「女王様。申し訳ありません」
ジャン様は、苦しそうに言った。
「アゼルよ。魔物の討伐はご苦労であったが四銃士にこのような仕打ち。わかっておるな!」
女王様はアゼルに言い放った。
四銃士がおそってきたんだし、そもそも魔物も四銃士のルネ様が召喚した。
すべて女王様が仕組んだことじゃないんだろうか?
「女王様。私はどのような処罰を受けます。このお店と従業員達には、なにとぞ寛大な処置をお願いします」
アゼルは女王様の前にひざまずき言った。
「アゼル! そんな自分だけ犠牲になるなんて!」
あたしが叫ぶと女王様がにらみつけてきた。
「お主、何か異論があるのか?」
女王様をさえぎるようにアゼルが言葉を発した。
「マミ! お店と君たちだけでも助かる可能性があるんだ!」
「アゼルだけが犠牲なんて!」
ミクちゃんが突然なきながら叫んだ。
「あたしも嫌です!」
レイちゃんも近づいてきて冷静に言った。
「私も反対です」
女王様の手がわなわなとふるえている。
「お主達、われに逆らうと言うのか!」
その時、店の外から怒鳴り声が聞こえた。
「ふざけるな! 俺たちも聞いてたぞ!」
「なぜ魔物を倒したアゼルが犠牲になるんだ!」
「四銃士が先におそってたぞ!」
「魔物も四銃士が出してたぞ!」
いつの間にかお店を囲む兵隊をかきわけてお店の常連さんやお客様達が戻ってきていた。
今にも暴動が起きそうな様子だ。
兵隊が道を開けたかと思うと奥から誰かが向かって歩いてきた。
「マリー!」
女王様は驚き言った。
マリー様は、ゆっくりとお店の中へと入ってきた。




