第八十九話 魔物の登場
営業再開初日。
今日は日曜日。
ミクちゃん、レイちゃんも出勤してフルメンバー。
「お客様もお待ちだし、今日は10分早くお店をあけます!」
「はい!」
お店の前には行列ができている。
一番先頭はシロちゃん。
常連の方に加え新規のお客様も見える。
なぜかマリー様のメイド喫茶には誰も居ない。
おやすみなんだろうか?
※ ※ ※ ※ ※
「いらっしゃいませ!」
オープン直後から満席。
みんなお店の再開を祝ってくれている。
「逃げろおおおおおお!」
突然、外から叫び声が聞こえた。
「え!? 何かしら?」
外を見ると遠くから大きな影がこちらへ向かって来るのが見えた。
「マミ。お客様をすぐに避難させて!」
アゼルは、この前見せた時と同じ表情で言った。
大きな影には見覚えがある。
それに1つだけではなく、いくつも。
「あ、あの。こちらへ向かって来るのは――」
あたしが恐怖のあまり言葉につまるとアゼルが言った。
「ケルベロスだ。それも5体」
「ど、どうして」
店内のお客様はケルベロスが向かって来る反対側へと避難している。
「こちらへ順番に!」
レイちゃんが誘導してくれてたのだ。
「どうぞぉ」
ミクちゃんもレイちゃんの指示を受けて、お客様の避難のご案内している。
店内には誰も居なく――。
「シロちゃん! 何やってるの! 早く避難して」
シロちゃんが店内に残っている。
「みんな部屋の奥に!」
アゼルが叫んだと思うと、あたりが静まり返った。
オスティウムを囲むようにケルベロスが包囲している。
今にも飛びかかってきそうな様子で入り口に立つアゼルと硬直状態だ。




