第八十七話 営業許可
アゼルが一瞬にして巨大な魔物ケルベロスを倒してしまうなんて。
しかも素手で。
昨日の事なのに昔の記憶か夢のように感じられる。
「おはよう! マミ」
アゼルはいつもと変わらず笑顔だ。
「お、おはよう」
昨日の話題を出してもいいものか、どうか。
「そうそう。昨日の魔物だけど今朝には遥か遠くの孤島に転送されたみたいだよ」
「え? そうなの?」
「街の警備や結界には問題なくて、誰かが持ち込んだようで調査してるみたい。たまにあるんだよね。裏取引で魔物を商売する事件」
魔物をペットにしたり、警備代わりに飼ったりするお金持ちがいるらしく、ごくまれにある事件らしい。
けど、なんで、アゼルはこんなに詳しいんだろ。
「アゼル、なぜそんなに詳しいの?」
「いや。今日ね。早朝からお城に行ってジャンから色々教えてもらったんだ」
「え? お城に?」
「そう。これをもらいにね」
アゼルは両手で紙を広げた。
「それって……」
もしかして……。
「そう」
アゼルはにこりと微笑んだ。
「営業許可証!」
アゼルと声が完全にシンクロした。
「すごい! 営業許可証もらえたのね!」
「ああ、マミのおかげだよ。すべての検査項目、文句のつけようが無いんだって」
「準備してさっそく明日から営業しましょう!」
「ああ!」
この日は、ミクちゃん、レイちゃんも呼んで明日の営業再開へ向けて準備した。
いよいよ、営業再開!




