第八十四話 誓い
円状の巨大な芝生の中心へ来ると銅像があった。
なんだか変な姿勢の銅像だ。
「アゼルこれって?」
「何かをお腹に抱えるようにした姿勢で変だろ?」
「うん、丸まっていて顔も見えないし、これは一体何の銅像なの?」
「これは銅像では無いんだ」
アゼルは真剣な表情で静かに言った。
銅像は何かを抱え込んだ両手に顔をうずめて表情がわからないうえに名前らしいものも記載されていない。
「これは何なの?」
「これは過去にこの街を救った英雄なんだ」
「え? まさか」
「そう。僕たちが使っている変身魔法の創始者が自らの体を硬質化させて300年以上ここに……」
およそ300年前、この異世界で魔物と人間の大戦を集結させたのがこの勇者らしい。
すべてを破壊する黒のコアという爆弾をかかえて硬質化し爆発から世界を救ったのだ。
「僕の祖先にあたる人のようなんだ。
これまで困難があった時はこうやってここに誓いをたてに来ている。
マミは大事なパートナーだし知っておいてほしくて」
アゼルは真剣な顔で勇者を見つめている。
「うん。ありがとう。必ずこの困難を乗り越えましょう!」
あたしはアゼルと勇者に向かって大きな声で誓った。




