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第八十話 クロちゃんとの会話
突然の営業停止にくやしくて寝付けなかった。
状況的に女王陛下が手を回したに違いない。
自分の都合で好き勝手に許可を取り消したり、ここは中世か!
――って、異世界だけど中世かな。
まちなみは中世っぽいしね。
怒りに震えていると
トントンと肩をつつく柔らかいもの感じだ。
「ちょっと! なに!」
黒い小さな手が肩を叩いている。
ふさふさの手に肉球。
「クロちゃん!」
「やあ、マミ」
「あれ? あたし、いつの間にか寝ちゃった?」
クロちゃんは相変わらず、かわいく尻尾をゆらゆらと揺らしている。
「クロちゃん、また、何かの警告? けど、もう既に困難にめんしてるわよ」
「うん。大丈夫だね」
「え?」
「マミは、ずいぶん強くなったね。しっかりと前を見ている」
「そうね。お店の困難もあったし、結局、今やれることをやるしかないって開き直ったからかしらね」
なんだかクロちゃんがほほえんだように見えた。
窓から朝日がさしている。
いつの間にか朝になったようだ。




