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第七十二話 売上低迷対策の結果

 今日は金曜日。

 マリー様のメイド喫茶『リリウム』にはお昼から行列ができている。

 うちはシロちゃんともう一人常連様の二名のみ。


 あたしは、昨日よりさらに豪華なレインボーカラーの衣装をまとった。

 アゼル、ミクちゃん、レイちゃんも七色のカラーを取り入れてきらびやかだ。


 シロちゃんにお給仕した後、常連様のテーブルへメニューを持っていった。

 常連様は、平日の早い時間にいらっしゃる高齢の方だ。

 奥さんを亡くして一人暮らしらしい。


「いらっしゃいませ」

「ああ……」


 なんだかいつもより反応がよくない


「どうかされました?」

「いやね……」

「遠慮せず、はっきりおっしゃってくださいよ」


 常連様は、バツが悪そうに少しづつ話をしてくれた。


「いやね。ワシがもう年寄りだからかなぁ。ここ最近、お店がハデになっちゃって、やりづらいというか」


 常連様は、寂しそうに言葉を発している。


「マミちゃんもそのハデな衣装より前の方がいいかななんてね」

「そ、そうだったんですか……」

「いや、気にしないで。年寄りのわがままみたいなものだから」




※ ※ ※ ※ ※




 金曜日なのに17700デジと今までに無いぐらい売上が悪かった。

 客数はもとより延長するお客様が減ってしまったのだ。


「アゼル。やっぱり豪華路線はやめて今まで通りやろうと思うの」


 今日、常連様の意見を聞いて気づかされた。

 つけやきばで他の店のマネをして、それもただ豪華にするだけなんてダメだったんだ。

 まずは基本的な事をより徹底し、お客様の満足度をあげる。

 マリー様のメイド喫茶ができてあせってしまったけど、コツコツやるしかないんだ。


「マミ、それでどうするんだい?」

「うん。元の通りで、まずは基本的な事をよりよくなるようにしようと思ってるの」


 あたしがそう答えるとアゼルは笑顔になった。


「僕も同じ意見だよ。マミが楽しそうだから言いづらかったんだけど」


 アゼルは、それで悩んだような顔をしていたんだ。

 さすが、高度な魔法を使えて王宮の人たちにもイチモク置かれている男。

 成功に王道なし、ただひたすらコツコツ目の前の事をやることが唯一の道だとわかっているのだ。


「アゼル。明日から頑張ろう!」

「ああ!」


―――――――――――


11月1日(金)


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 17700デジ

  月別 17700デジ

  年別 4879530デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1000デジ

  オリカク  1500デジ

  メイドドリンク 1000デジ

  チェキ   800デジ

  初心者セット1500デジ

  カラオケリクエスト 1000デジ


  カラアゲ 500デジ


 メイドの心得


  メイドの心得1。

  お客様のプレゼントに遠慮はしない。代わりに全力で喜ぶ。

  メイドの心得2。

  お客様の事は、お客様から話をされるまでは詮索しない。


―――――――――――

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