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第四十七話 意外なお客様。

 入り口に立つお客様は意外な面々だった。

 左に四銃士のジャン様。

 右に四銃士のアンリ様。

 2人を従える中心の人物。

 ヴァレンシュタイン家お姫様マリー様。


「マ、マ……」


 思わず名前を叫びそうになったが抑えた。


「レイちゃんとミクちゃんは他のお客様の対応をお願い」

「はい!」


 レイちゃんとミクちゃんはマリー様に気づいてないみたい。

 2人を他のテーブルへ向かわせて、あたしはご案内のため入り口のマリー様一行へ近づいた。

 

「メイド喫茶『オスティウム』へようこそ」


 お姫様でも四銃士様でも他のお客様と平等に。


「ふむ。久しいな」


 彫りの深い美しい顔に長い金髪の女性が言った。

 アンリ様はあたしの事を覚えていてくれたみたい。


「ふーん。ここがメイド喫茶ねぇ」


 マリー様は、あたしを見下ろすような視線で見ながら言った。

 

「は、はい。こちらへどうぞ」


 あたしは恐る恐る席へと案内した。

 マリー様は「貧相な椅子ねぇ」などと言いながらテーブルについた。

 非常にやりずらい。

 その時、アゼルがカウンターから出てきて言った。

 被っていた猫の仮面の下から素顔を覗かせて挨拶した。


「ようこそ。マリー様」

「ア、アゼル! 久しぶりね」


 あれ? マリー様、なんだかちょっと顔が赤い?


「ジャンも久しぶりだね。君のおかげでこのお店を早めにオープンすることが出来たよ」

「アゼルさんのためなら当然じゃないですか」


 アゼルは気さくに四銃士のジャン様へと話ている。


「アンリも久しぶりだね」

「うむ……」


 え? 四銃士のアンリ様もちょっと顔を赤くしている?

 それにそっぽ向いて明らかに緊張した様子。


「ここは僕に任せて」


 アゼルは、あたしに耳打ちするとマリー様達の対応をしていた。




※ ※ ※ ※ ※




 マリー様御一行は30分ほどで帰られた。

 アゼルがうまく対応してくれたので何も問題は起きなかった。

 それにしてもアゼル。

 王室と何か関係があったんだろうか?

 四銃士様達とも仲良さそうだったし。


―――――――――――


10月6日(日)


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 128890デジ

  月別 676480デジ

  年別 2355300デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1000デジ

  オリカク  1500デジ

  メイドドリンク 1000デジ

  チェキ   800デジ

  初心者セット1500デジ

  カラオケリクエスト 1000デジ


  カラアゲ 500デジ


 メイドの心得


  メイドの心得1。

  お客様のプレゼントに遠慮はしない。代わりに全力で喜ぶ。

  メイドの心得2。

  お客様の事は、お客様から話をされるまでは詮索しない。


―――――――――――

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