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第四十四話 金曜日のオープン前。

 今日は金曜日、ミクちゃんとレイちゃん2人とも出勤する日だ。

 けど、ちょっとモヤモヤする。

 オープン前、あたしは掃除やキッチンの仕込みを手伝っている。


 そして、アゼルとミクちゃんは仕入れに行ってしまった。

 ミクちゃんとレイちゃんはオープン前に来てくれれば良かったのだけど、昨日の帰りアゼルがミクちゃんに話をしてミクちゃんに早く来てもらったようなのだ。

 

「2人とも何してるのかしら……」


 あの草食系を絵に描いたようなアゼルが変なことはしないだろうけど……。

 でも、ミクちゃんのことはお気に入りのようだし……。

 あれこれと想像して、オープン準備していると入り口の扉が開いた。


「おはようございます」


 レイちゃんだ。

 今はオープン前でお昼過ぎだけど挨拶は「おはようございます」なのよね。

 これはどの飲食店でもかわらない。

 レストランで働いている時、深夜勤で夜入る時も挨拶は「おはようございます」だった。

 それにしてもだいぶ早めに来てくれた。


「私もオープン準備します」


 そう言うとレイちゃんは淡々と仕事をはじめた。

 いつの間にか着替えまで済ませて本当に仕事が早い。

 レイちゃんが来てすぐにオープン準備が終わるとアゼルとミクちゃんが帰ってきた。


「ただいま」

「ただいまですぅ」


 アゼルとミクちゃん、まるで恋人同士のように並んで楽しそうにお店に入ってきた。


「おかえりなさい」

「どうしたのマミ?」


 いけない、ちょっとムッとしてしまったのがアゼルに勘付かれてしまった。


「ううん。何でも」

「ところで、これ制服にどうかな?」

「え?」


 アゼルが買い物した袋から赤いリボンを取り出した。


「マミはメイドのリーダーだから赤いリボンで区別したらどうかな?と思ってね」

「わたしがつけますね」


 レイちゃんがあたしの制服に赤いリボンをつけてくれた。


「うん。似合ってるね!」


 アゼルはうれしそうに言った。


「もしかして、今日、ミクちゃんが仕入れに一緒に行ったのはリボン選ぶため?」


 変な嫉妬してしまって恥ずかしい。

 アゼルの顔を恐る恐るみながら話かけた。


「うん。ボクのセンスだとちょっと怪しいしね。

 今まで1人で頑張ってくれたし驚かせたいのもあったからミクちゃんにお願いしたんだ。

 それにレイちゃんにも今日は早く来てもらってオープン準備手伝ってもらったんだ」


 そうかレイちゃんが早く来たのもアゼルに頼まれてたから。


「みんな、ありがとう」


 うれしくて泣きそうなのを我慢してお礼を言った。


―――――――――――


10月4日(金)


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 130420デジ

  月別 397040デジ

  年別 2075860デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1000デジ

  オリカク  1500デジ

  メイドドリンク 1000デジ

  チェキ   800デジ

  初心者セット1500デジ

  カラオケリクエスト 1000デジ


  カラアゲ 500デジ


 メイドの心得


  メイドの心得1。

  お客様のプレゼントに遠慮はしない。代わりに全力で喜ぶ。

  メイドの心得2。

  お客様の事は、お客様から話をされるまでは詮索しない。


―――――――――――

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