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第四話 メイド喫茶やることにしました!

「どうして? こんなに美味しいのに」

「ありがとう。冒険者居酒屋の営業許可が取り消されたんだ」

「何か問題があったんですか?」

「いや、無いさ。君もさっき見たと思うがヴァレンシュタイン家のお姫様マリー様のお達しでね」


 あの目が合った時にプイッとした。

 ゴスロリのお姫様だ!

 あたしがやってたゲームやアニメに出てくる典型的な悪役令嬢キャラなんだろうか?


「まあ、どうして急に営業許可を取り消されたのですか?」

「それがね冒険者居酒屋なんてこの街に似つかわしくないんだってさ」

「そんな理由で?」

「かわいいか、美しいか、じゃないと許可出せないんだって。俺、親父に育てられて、かわいいとか美しいなんて全くわからないんだ」


 パンが無ければケーキを食べればいいじゃない。

 なんてノリのお姫様。

 庶民の暮らしも、ママゴトぐらいにしか考えてないんだろうか?


 かわいい、美しいなら許可が出る。

 けど、かわいい、美しいというのも色々あるからわからない。

 けど、あのゴスロリのお姫様よね?

 うん、これはもう、これしか無いでしょ。


「それならメイド喫茶にしましょう!」

「え? メイド喫茶?」

「そう。アゼルが料理。あたしがお給仕」

「うん。それはいいとしてメイド喫茶なるものは何なのかな?」

「メイドさんがお給仕するカフェです」

「メイドってお城や領主様のお屋敷に居るあのメイドですか?」

「そうです。そのメイド。

 冒険者から街の方々まで多くの人達がメイドにお給仕される体験をこのお店で出来るようになるのです」

「う~ん。どうなのかな? 僕は料理が出せるお店ならやっていける自信はあるけど……」

「あのお姫様なら必ず許可を出すはずです。やりましょう!」

「まあ、お店をたたんでも次のアテが何もないしやるだけやってみようか」


 あたしには思えない勢いで決めてしまった。

 これは『異世界・ハイ』というやつなのかな?

 だって、いきなり異世界に来てお金も住む場所も何も無いんだもの。

 それにメイド喫茶出来るチャンスなんて一生訪れないかと思ってた。

 やるしか無いよね?




※ ※ ※ ※ ※




 アゼルは住む場所も無いあたしにお店の二階を使わせてくれた。

 元々、アゼルがお店を立ち上げた頃に使っていたので一通りの物はそろっている。

 お風呂は無く水のシャワーだけだけど中世の異世界だと考えたら十分贅沢だ。

 

 毎月決まったお給料を出すのは約束出来るかわからないらしいので、住む場所とご飯の提供。

 もちろん、ご飯はアゼルのお店に出すための試作品が主。

 お給仕以外にもお店に必要な仕事。

 売上の管理から雑用までありとあらゆることをやって利益の半分もらうことになった。


 要するに共同経営というやつだ。

 異世界に来た不安よりも楽しい事が多くて仕方がない。

 あらためて決意した。


「あたし異世界でメイド喫茶やります!」




※ ※ ※ ※ ※




 その夜ベッドに入り眠りについた時、頭の中に声が響いた。


「マミちゃん。マミちゃん。ボクだよ」

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