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第三十六話 市場に仕入れに行きました。

 今日は朝から市場へ仕入れに出た。

 アゼルとは市場で合流することになっている。

 あたしが市場を見たくて頼んだのだ。

 それに新しいスタッフが入ってきたらあたしが仕入れに行くこともあるかもしれない。


「すっごー!」


 思わず叫んでしまった。

 市場には見たこともないようなカラフルな野菜やフルーツが並んでいる。

 肉は何かのモンスター?

 一本足のダチョウみたいな鳥や小さなドラゴンのような物まで並んでいる。

 魚もサメのような巨大な物まで並んでいる。


 市場を抜けるとお店が立ち並ぶちょっとオシャレな場所に出てきてしまった。


「へー。市場から出てすぐにこんなオシャレな場所があるなんて」


 レンガ作りの道に並ぶ宝石や洋服のお店。

 アゼルが来るまであと少し時間あるし、ちょっと見てみよう。

 朝早いのでまだ開いてないお店もあるけど、ショーウィンドウを見てるだけでも楽しい。


「いいなー。こんなお洋服」


 あ、って言うか、あたし変身出来るんだった。

 色々見て覚えて帰ろう。

 イベントの時の衣装なんかの参考になるわ。

 あのお店に飾ってる衣装なんてかわいい!


「い、いたっ!」


 目の前のお店の扉が突然開いてぶつかってしまった。

 おもわず後ろに転んで尻もちをついてしまった。


「あら、何かしらこの子?」


 扉を開けたと思われる綺麗な洋服を来た少女が見下ろしながら言った。

 

「ふふふ。どこかの平民の子じゃない?」

「市場から出てきたのよ」


 扉を開けた少女と別の少女が2人出てきた。


「平民の子がこんな所をウロウロしないでほしいわね」


 扉を開けた少女が言った。

 な、なんという典型的な嫌な貴族少女。


「ちょ、ちょっと、あなたが急に扉を開けたのも悪いじゃない!」


 あたしは思わず大きな声で叫んでしまった。


「あらー、下品な子ね。大声出しちゃって」


 むむむむ。

 なんという悔しい。

 その時、遠くからあたしの事を呼ぶ声が聞こえた。


「おーい! マミ。何やってるんだ?」


 アゼルだ。

 

「どうしたの? マミ」


 アゼルが近づいて来ると扉を開けた少女は驚きながら言った。


「ア、アゼル様。どうしてこんな所に?」

「ノルンの三姉妹じゃないか。ウルズ、久しぶりだね」


 三姉妹? どうりで見た目が似ていて性格も全員高飛車。


「アゼル。この子……」


 あたしがアゼルに事の顛末を話そうとするとウルズが焦って口を挟んできた。


「いえ、ちょっと立ち話をしてたのよ。おほほほほ」


 え? なんかさっきと違って猫かぶってる。


「そうかー。この子はマミ。一緒にお店やってるから仲良くしてあげてね」

「は、はい。もちろんです。それでは私共は次の予定がありますのでごきげんよう」


 そう言うと三姉妹はそそくさと立ち去った。

 アゼルって何者なんだろう……。

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