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第三話 アゼルの冒険者居酒屋でごちそうになりました。

 アゼルについて入ると中はこれまた薄汚れた酒場でした。

 カウンター6席、4人がけのテーブル席が6つ。

 全部で28席のこじんまりとしたお店。


「さぁ。マミ、座って。

 何でも注文していいよ」

「え? あたしお金持ってないから……」

「大丈夫。大丈夫。お代はけっこう」

「──それじゃあ。遠慮なく」


 お腹も空いてたし、この世界のお金も持ってないし、不安しか無いので甘えてしまった。

 現実世界なら後から高額請求されるかもしれないし、睡眠薬とか入ってるかもしれないし、怖いけど異世界なら大丈夫! ……なはずよね?


 メニューは、

 エール 400デジ

 ミルク 300デジ

 ……。

 バゲット      100デジ

 ジャガ焼き     400デジ

 バイソンの香草焼き 800デジ

 ……。

 エールはビールだとしてジャガはじゃがいも、バイソンは牛なのかな?

 全てのメニュー、なんとなくわかるけど、はたしてどんなものが出てくるのやら?


「え~っと、バゲットとミルク、バイソンの香草焼きをお願いします」

「オーケイ! ちょっと待ってね」


 アゼルはカウンター内に入るとコンロの横にお皿を並べて料理をはじめた。

 手際よくフライパンとオーブンを使ってバイソンの香草焼きを仕上げるとお皿に盛った。

 そして、すぐに横で焼いていたバゲットを並べておいた別のお皿に入れ、最後にミルクをそそいだ。

 うん、すごく手際がいい。


「はい、お待たせ!」


 右手からバイソンの香草焼きの持ったお皿とパンのお皿をさっと目の前のテーブルに出してくれた。

 そして、ミルクの入ったグラスを綺麗に置いてくれた。

 持ち手はグラスの下の方にそっと指をそえている。

 お客様が口をつけるフチの部分に自分の手が触れないようにする気づかい。

 うん、この人、ホールの仕事も完璧だ。


「いただきます」


 あたしはお腹が空いてたのもあって目の前にあったナイフとフォークを取るとバイソンの香草焼きを小さく切って口に運んだ。

 

「おいしい!」


 塩、胡椒、香草だけのシンプルな味付けだけど、香草の配分が絶妙でバイソンの肉の味を引き立てている。

 パンは、これもシンプルで少し固いんだけど自然そのものの味。

 ミルクは濃厚で甘くてとっても味が深い。

 この異世界では複雑な調味料は無いけど、基本的な調味料や自然のもので味付けしてるようだ。

 フォンドボーやグレービーソース、ケチャップにマヨネーズ、なんて作ったらもっと料理が美味しくなりそうだ。


「とっても美味しいです! 毎日通っちゃいます!」

「ありがとう。でも、このお店もう閉めちゃうんだ。最後のお客さんが君でよかったよ」


 アゼルは寂しそうな顔をして言った。

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