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始まらないエンディング  作者: 大原 慎太郎
1/1

リスタート

人生の終わりってどこだろう

死んだ時と考えるのが自然だが

人によっては退職 卒業 引退 何らかのトラブル とかで終わりだ

始まりは簡単に決めれても終わりは簡単に決められないし決めたく無い

だから俺は何度でも始める



いつもより素敵な日常だった

学校のテストも良かったし体育の試合は全勝

部活だって先生に褒められたし友達とめちゃくちゃ笑ったし

それに…ずっと想ってた人と少し親密になれた


その日は僕が死んだ日だった


鳴り止まないサイレン 周りに群れる野次馬

心配そうに僕を見るクラスメイト

そして…みんなから見えない位置で自分自身をみて

宙に浮いている僕


「現世での生活 お疲れ様でした」


唐突に告げられた言葉…それを言った少女は無表情でまるで慣れているみたいだが


「君は…僕の事が見えるのか…!」


最初に出てきた疑問はそれだった


「えぇ私は彼等とは違いますから」


目線の先には僕の肉体を囲む友達

やっぱり…僕は…

なんか気づいた気がする

謎に宙に浮いる僕…悲しそうに僕を囲む友達…認識されない僕…周りに沢山の救急車と警察車両…取り押さえられている男達…そして 血だらけの僕の肉体


「やっぱり…僕は…」


「わかったようですね 苦しいでしょうが受け止めてください」


思わず息を飲む

少女の顔を真っ直ぐと見て次の言葉を待つ


「あなたは先程お亡くなりになりました」


「…」


声は出なかった…けど理解していたからかショックはそれほど無かった


「意外と冷静ですね」


「え?…」


「あなたぐらいの年の方はこういう状況になったら取り乱すか青ざめるものなんですよ」


「あぁ…多分後悔がほとんど無いからだと思います」


あの時の僕の死に様は綺麗だった…と思う

だってあの子を守れたから…


「そのようですね」


心でも読めるのかそれとも僕が分かりやすいだけか少女に普通に理解された


「それより…今の僕ってどういう状況なんですか?…やっぱり幽霊とか…」


「いえ 似ていますが正確には違います あなたには執着心はありませんが思いが強いので現世には魂という状態でのこっています」


執着心が無い…多分さっき言った未練や後悔が無いという事だろうな

魂ってことはこれから天界へ…?いや閻魔大王様だっけ?


「魂の状態ってことは認識出来ないですよね…その…人間には」


「えぇ 魂自体がよっぽど思いが強いか霊感が強過ぎる位じゃないと認識できませんね」


少しの寂しさを感じた

しかし直ぐ向きなおったこれが正解だと思って


「僕はこれから成仏するんですか?」


一応今までの常識が通じるのか確認する


「いえ あなたは違います」


「えっ…」


あなたは…?

もしかして…ここで魂ごと消されるとか…?いやまさかそんなことは…

少女をそっと盗み見る…あぁやっぱりさっきから変わらない無表情だ…いやなんか目が怖い!気のせいかもしれないけど目が怖い!


「実は…」


怯えている僕を気にしないで少女はつづける


「魂の状態でこんなに長く現世にいることは珍しいんですよ」


「はぁ…」


「それは思いの強さがかなり強いという所に原因があります」


「…」


何も話さないで次の言葉をじっくり待つ

感情の動機は激しいがここは冷静になる所だ


「そして思いの強さが強い方は少なからず現世に良い影響を与えるとされています」


「…」


「そこであなたに提案です…天界の仕事に興味はありませんか?」


「はぁ?」


声が漏れてしまった言ってる意味を理解出来ずにいると少女は憐れみの目で僕を見る


「そうですね…分かりやすく言えば天使になりませんか?」


その日は俺が死んだ日で人生のエンディングを迎えるつもりだったが

何故かまだ終わらなかった




ご閲覧ありがとうございます

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