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4.影宗

なんかあらすじ書きに食わない

どうやったらうまく書けるんですかね?


 ん、んぅ……。眠い、なんか寝る前にすごいことがあったような気がするが……あ~、なんだったかぁ………、あれ?俺死ななかったっけ?死んだよねぇ?確かに死んだはずなんだけど。あれれ~おっかし~ぞぉ。僕は確かに死んだはず。なのになんで意識があるんだぁ?


 うほんっ。ふざけるのもここまでにしてまともに考えよう。あの時俺は確かにゴンドラと一緒に落下したはず。デパートは6階建てでかなりの高さ。しかもゴンドラと一緒に落下したら即死は免れないだろう。なのに意識がある。これは……。


 少し話は変わるが俺はオタクである。ラノベなんて大好物である。とくにファンタジー系が好物だな。その小説の中の設定で異世界転生というものがあるのだ。


 話を戻す。今の俺の状態はこれなんじゃないかと思う。だってそれしか考えられないだろう?死んだはずの俺がなぜかこうして意識があるのだ。それに今の俺はなぜか椅子に座っている。そして俺の前にはなぜか大勢の気配がある。俺は自分の気配が薄いためどうにか濃くできないかいろいろしたことがあった。そのときの副産物で気配を読み取ることに成功したのだ。まぁ濃くはできなかったんだが。だから俺の前に数十の気配があることが分かる。


 そして何やら騒いでいるようだ。「魔王様ー!もういらっしゃるのですか!?いらっしゃるなら返事をしてくださーい!」とか「まさか魔王様の召喚は失敗したのでは!?」

などの声が聞こえる。魔王様などファンタジー系じゃ王道中の王道だろう。


 はぁ、そろそろ目を開けようか。なんだか顔に生暖かい風が当たっているのだが……。

 そぉっと目を開ける。一番最初に見えたのはよぼよぼのじいさんの顔だった。


「うおっ」

「な、なんじゃっ。今何か声がしたような……」

「じ、じいさん。顔が近すぎるぞ…」


 爺さんはまだ俺に気づかないようできょろきょろとあたりを見回している。


「俺はここにいるよっ!」


 俺は叫ぶと同時に爺さんの頬をつねる。


「いたっ。ってお主は誰じゃ!なぜ魔王様の玉座に座っておるのじゃ!」

「しらねぇよ。それより爺さんこそだれだよ。俺は気が付いたらここにいたんだよ」

「む、お主気が付いたらここにいたのか?」

「そうだけど」


 そう俺が言うと爺さんはオロオロとしだす。


「ま、まさかお主のようなひょろっちくて存在感の無い青年が魔王様だと…?」


 なんかぶつぶつ言っているがところどころ酷いことを言われている。


「お、おいじいさ…」

「お主っ。ちょっとちょっと服を脱いで体を見せてみろ!」

「ちょ、アーーーーっ」


 俺の抵抗むなしく服を脱がされる。この爺さん怪力すぎる。てかそれより俺これからナニされるのっ!?


「こ、これは本物っ」


 どうにか逃げれないか考えていると爺さんが俺の左腕を見て何やら驚いているようだ。俺も左腕に目線を向ける。そこには左腕に巻き付くように鎖が描かれていた。鎖は心臓の上から生えていて鎖の先っぽは左手の手のひらまで描かれている。


「おい!なんだよこれ!?俺タトゥーなんて入れたことないぞ!爺さんたちが書いたのか!?」

「ちゃうわっ。魔王の証を偽るなど恐れ多いことするわけないわっ。この鎖は魔王様であることを示す証、盟約の鎖。魔王様は心の許す者にその鎖を心臓に打ち込むのだ。打ち込まれた者には体のどこかに魔王様の紋様が浮かび上がるのだ。魔王様の紋様は一人一人異なりその紋様は魔王様の左目に映っているのだが……」


 そういって俺の左目を覗き込む。爺さんの顔が近い。うえぇ。


「お、あったわい。おい、鏡を持ってこい」


 爺さんは後ろで俺たちのことを見ていた人に鏡を持ってこさせる。


「ど、どうぞ…。あのぉ……、それでイージス様は何をなさっているのでしょう?聞いたことのない声も聞こえますが、誰かいらっしゃるのですか?」

「ぬ、お主にはこやつが見えておらぬのか?」

「どこにいらっしゃるのですか?」


 そういって鏡を持ってきたのは少女で俺の目の前できょろきょろとする。爺さんはそれを驚いた風に見ている。


「お、お主の目と鼻の先にいるのだが……」

「え、誰もいらっしゃいませんよ?」


 どういうことじゃと困惑する爺さん。てか爺さんイージスって名前なのか…。これが神の楯かよww


「あ~爺さん。俺影が薄すぎて、ってかなさ過ぎて一般人には俺が見えないんだよ。触れれば気づいてくれる奴もいるけど勘の悪いやつだと触っても気づいてくれないけどな…」

「お、お主も苦労しているのじゃな」


 爺さん、同情されるって結構つらいんだぜ……。まぁそこまで影の無さは嫌いではないんだがな。面白いことにも使えるし。

 まぁ今はこの鏡を持っている少女についてだ。俺は少女の頬をつねる。


「ひゃうっ」


 なんか面白い鳴き声を上げたな。面白い鳴き声を上げた少女は突然のことに驚いたり泣き声を上げたことに恥ずかしがったりとせわしない。


「え、今の何!?ってイージス様…今の聞かれましたか……?」

「ぬ、き、聞いておらんぞ…?」

「うぅ…気遣いが心に来ます」


 顔を赤らめて少女は俯いてしまった。


「まぁ恥ずかしがることはないぞ。面白可愛い鳴き声だった」

「っ!!だ、誰ですかっ!?」


 俺が少女に話しかけると肩をびくぅっとさせて俺から距離をとった。


「い、いつの間に!?イージス様危険ですっ。離れてください!」

「大丈夫じゃフィア。こやつが今代の魔王様じゃ」

「ま、魔王様っ!?ってその方が魔王様だとしたらイージス様言葉遣いがっ、って大変なご無礼をお許しください魔王様!」

「あーフィア。かまわんかまわん。こやつはそう言った固い感じが苦手なタイプじゃ。フレンドリーを好むようだな」

「な、じいさんなんでそんなことしってるんだよ」

「儂はこれでも国の運営を任される宰相だぞ?相手の本質を見抜く技術など必須技術じゃ。」


 この短時間で見抜くとは…本物だな。この爺さん、見た目はただのよぼよぼ爺さんなんだけどな。


「こんな爺さんが宰相として有能とは…世も末だな」

「な、なんじゃとっ!」

「あ、あのっ。魔王様、イージス様は私たち魔族を貧困の底から助けたすごい方なのです!魔王様に口答えするというのは大変なご無礼だと存じていますがイー-ジス様はすごい方なんです!」


 少女、フィアは一所懸命宰相を弁解する。この少女の反応を見るに相当慕われているようだな。


「フィアって呼んでもいいか?」

「ですからっ…え?あ、はい」


 急に話しかけられたフィアは罰を受けるとか思っているようで目を固くつむっている。そんなフィアの頭に手を置き優しくなでる。


「フィアの反応からするに本当にこの爺さんはすごいやつなんだな。それに他人のために危険を冒すその勇気、嫌いじゃないぞ。すまなかったな爺さんのこと悪く言って」

「っ、い、いいえっ。私のほうこそ申し訳ございませんでいた」

「あぁ、それと爺さんが言っていたように畏まらなくていいから」

「で、ですが魔王様相手にそのようなこと……」


 ん~。


「正直言って俺魔王になったって自覚ないんだよね。さっきまで人間だったし」

「は?人間?何を言っておるのじゃ?」

「まぁそのことについては今から話すよ」


 さぁこいつらは俺を受け入れてくれるかな。

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