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1.プロローグ

どーもです!!

またもや出してしまいましたよ新作。イジメですかのほうもペース悪いってのに何考えてんですかね。

でも仕方ないじゃないですか!なんか思いついて書いてみたらいい感じにできて皆さんに呼んでもらいたかったんですよ!感想ほしかったんですよ!


すいません逆切れして。でもまぁ、楽しんでもらえたら嬉しいです

 皆さんは「影が薄い」という言葉を知っているだろうか?

 これは慣用句の一つで元気がない様子を表す意味があるが、主にその人の存在が目立たないことに使うことが多い。俺、名無 影宗(ななし かげむね)もよく周りにそのようなことを言われるのだが少々違うところがある。それは、


「よう、影宗。今日も相変わらず影が無いな(・・・)!」


 薄いではなく無いなと言われているのだ。


「おい誠二。俺はお前の後ろだ」

 

 俺の前に立ち背中を見せながら挨拶してくる友人、伊藤 誠二(いとう せいじ)の後頭部をはたく。誠二は肩をびくっとさせ驚いた表情で振り向く。だが誠二は俺が見えていないかのようにきょろきょろとあたりを見回す。


「おいおいどこに隠れているんだよ。その歳でかくれんぼはないと思うぜ?」


 目の前でやれやれという風に首を振る誠二にイラっとする。


「隠れてねぇよ!それに誰がかくれんぼで丸三日間誰も見つけられないほどのかくれんぼ王だ!隠れたのに誰も見つけてくれないことに拗ねて三日間隠れ続けたのにだれも来てくれなくて空腹を我慢しきれず家に帰ったら3歳の妹と笑顔で食事している両親を見た時の俺の気持ちがお前にわかるのか!?あの時まだ小学1年生で自分の影の無さに気づいていなくてマジ親に捨てられたんだって勘違いして歩いてじいちゃん家まで行ったのにじいちゃんもばあちゃんも気づいてくれないくて本気で一人で生きていこうと決心してじいちゃん家の裏山でサバイバルをし始めて約一か月後、両親が妹の「にぃには?」という言葉でようやく俺のことを思い出して捜索開始。親戚や警察、ご近所の方々全員が捜索しだしたというのにじいちゃんが裏山に建てた俺の家のことに気づくまで約2週間ぶっ通しで探し続けるほど迷惑かけてしまって申し訳ございませんでしたこんちくしょぉ!そして唯一俺のことを覚えていてくれた妹愛してるぞぉ!できれば一か月よりもっと前に言ってほしかったなにいちゃんは!」

「お、おふぃつけって!って目の前にいたのかよ!?それにお前ずいぶん悲しい過去をお持ちだな!?小1で一か月と二週間サバイバル生活とかすごいなお前!?」


 誠二の頬を引っ張るとようやく俺の存在に気づいてくれたよ。


「まことー、何一人で騒いでんだ?」


 まこととは誠二のあだ名である。アニメで誠というキャラがいて漢字が同じだからというよくわからん理由でそう呼ばれている。てかさ、


「一人じゃねぇよ俺もいるよ!」

「うおっ、名無いねぇのに声が聞こえるぞっ!」


 くそう……。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 俺が生まれてから18年。俺は生まれたころから影が無くて現在高校三年生になるまでずっと影のなさと付き合ってきた。そのため影の無さの悪いとこだけではなくいいとこも知っている。

 例えば、誰にも気づかれないため授業中に読書していても気づかれない。俺がいることも忘れているため質問を当てられることもない。授業中にのどが渇いたから抜け出して自販機に買いに行っても見つかることはない。18禁コーナーや女風呂、女子更衣室などにも入れるだろう。あ、一応言っておくけど入ったりしてないからね?犯罪はしてないからね?


 まぁそんな感じにほとんどの相手に有効なのだが、無敵というわけではない。唯一にして無二の存在、我が妹、名無 千影(ななし ちかげ)には俺の影の無さが通じないのだ!


 昔から俺が近くに来ると「にぃに!」と笑顔で手を伸ばしてくることから、もしやこいつ俺に気づいているのか!?と考え早速実験することにしたのだ。この時俺小2千影4才。


 実験一。背後から近づき驚かせる大作戦。

 そぉ~っと近づきわっと大声を出そうとした瞬間、「わっ!」っと逆に大声を出されびっくりさせられてしまった。そんな俺を見て千影は輝かんばかりの笑顔でくすくすと笑ってくる。天使か?


 実験二。一日中千影の背後に引っ付き回る大作戦。(ストーカーとか言うなよ、その時の俺小3のガキだからな?)

 土曜日の朝から千影の背後にべったりとくっつき千影の背後で付きまわす。トイレのときはドアの前で待っていたがそれ以外は絶対にはなれるものかと引っ付きまわす。千影の友達が遊びに来ても背後に俺は控える。そんなこんなで1日が経ちさぁ寝るかというときに千影が俺の布団に入ってきた。そして一言「にぃには今日甘えんぼさんだったね。だから寂しくないように一緒に寝てあげる!」ニコニコピカピカの笑顔の千影をみて俺は誓った。一生この子を守ってあげようと。


 実験三。普通にしていてもかくれんぼ王と言われた俺が全力でかくれんぼを千影相手にする大作戦。

 隠れて三分で見つかってしまった。(ちょっとプライドが傷ついた)


 この三つの実験の結果から考察するに千影は唯一俺の影の無さが効かない相手だと判明したのだ。

 俺はそのことに気づいて元々の妹好きに拍車がかかり妹を可愛がりまくった。クリスマスには貯めたお小遣いでプレゼントを買ってやり、誕生日には貯めたお小遣いでプレゼントを買ってやり、ひな祭りには貯めたお小遣いでプレゼントを買ってやり、何かあるごとにプレゼントを買ってやった。


 中学卒業してからはバイトもできるようになって高価なものを千影に買ってやれるようになった。だが千影が中学生になったあたりからだんだんとプレゼントを貰っても嬉しそうなのだが何か不満げな表情がうかがえるようになってきた。これはあれか?もっと高価なものがほしいということなのだろうか?


 よくわからないが今は置いておこう。なんたって今日は千影の誕生日だからな。プレゼントを用意したいがあの不満げな顔から何がほしいのかよくわからないため千影本人に選んでもらうことにした。

 そして今千影と二人でデパートにやってきている。千影の服はなぜかいつもよりおしゃれで何か張り切っているような雰囲気を感じる。


「さぁ千影!なんでもほしいものを言ってごらん。にいちゃんこの日のためにかなりのお金を貯めてきたから何でも買ってやれるぞ!」


 いくつかのバイトを掛け持ちしてずっとこの日のために貯金してきたのだ。通帳には0が六つぐらいついている。

 俺がそういうと千影はやはり不満そうな顔をする。


「今はプレゼントはいいよ。ねぇ影にぃ。このデパートの屋上に遊園地あるでしょ?そこで遊びたいなぁ」


 千影は俺の正面にきて見上げるように上目づかいで甘えるような声音でそう言ってくる。千影の顔をよく見れば薄く化粧がされている。普段化粧なんかしないのに、やっぱ今日の千影は何か張り切っているようだ。


「そういえばあったな遊園地。でもあそこ動物の乗り物と観覧車しかないんだぞ?」

「それでもいいの。あの観覧車に今日は乗りたい気分なの」


 まぁ千影が乗りたいなら仕方ない。


「よし。んじゃ屋上行くか」

「ん!」


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「うぅ、寒い」


 千影の誕生日は10月9日。この季節にデパートの屋上は風が吹いて結構寒い。千影の服装はショートブーツにタイツ、ロング丈の黒パーカーだ。これだと結構寒いだろう。俺が着ている濃い緑のジャケットを千影にかける。


「あっ、影にぃありがと。でも影にぃ大丈夫?寒くない?」


 千影は俺のジャケットをつかんで嬉しそうにするがすぐに俺の心配をしてくれる。ええ娘やなぁ。


「大丈夫大丈夫。千影が風邪ひいたら大変だからな。それ結構あったかいだろう?」

「ん、影にぃが着てたからかな?すごくポカポカするよ」


 そうか、それはよかった。と言って微笑むと千影は顔を赤くして俯いてしまった。


「どうした千影?顔が赤いぞ?具合でも悪いのか?」

「んーん。違うよ。それより早く観覧車乗りに行こっ!」


 千影に手を引かれ観覧車へと走る。観覧車には列ができていないのでこの寒い中待つことにならなくて済みそうだ。


「次の方足元を注意してお乗りください。おひとりですか?あ、彼氏さんいたんですね。よかったですねぇ透明ゴンドラですよ」


 従業員のお姉さんはじめ俺に気づかなかったな。千影が腕を組んで俺を強調してくれたから気づいてもらえたけどカップルと間違われてしまった。千影はさっきよりもっと真っ赤になっている。かわいいやつだ。


「カップルに間違われちゃったな。俺たち結構似てないもんな」

「そ、そうだね」


 なぜか結構似てないという言葉にビクッとなる。


「どうかしたか?」

「う、ううん。なんでもない…」


 ん~、沈黙が気まずい。何か話題を…ゴトッ、ギシィイ…。


「うおっ」

「きゃっ」


 風に揺られたのかゴンドラが大きく揺れ少しおかしな音が鳴る。


「な、なんか変な音がしない?」

「…するな」

「これ、落ちないよね?」

「お、おい、変なフラグ建てるなって」


 千影がそんな怖いことを言い俺が言葉を返した瞬間。ガチャンッ。


「「え?」」


 ゴンドラの天井付近から何かが壊れたような音がしゴンドラがぐわっと傾く。


「イヤアァァァ!」

「千影ッ」


 叫ぶ千影を抱きしめ棒につかまる。だが傾いたゴンドラを風が揺らし千影を抱きしめながら棒にしがみつくのはかなり難しい。

 下のほうから叫び声が聞こえるため俺たちの状態に気付いているのだろう。

 この観覧車は後半の部分は屋上から飛び出ていて、俺たちがいるのは丁度天辺辺り。どうする。周囲を見渡し助かる道を探す。なにか、なにかないかっ。


 見渡し屋上にあるエアー遊具を見つける。あれに落ちればどうにか助かる確率は高くなる。だがここからあそこに行くのは難しそうだ。だが今のところこの状態から助かるにはあれに飛び移るしかない。


 ゴンドラを固定している部分を見る。パラパラとさび付いた鉄が降ってくる。ゴールするまで持ちそうにないな。どうするか。そう考えていると一瞬の浮遊感が襲ってきた。


「き、きゃぁぁぁぁぁぁああっ」

「くそがぁぁぁl」


 なけなしの腕力をすべて使って千影をエアー遊具に向かって放り投げる。思った以上に力が出てくれた。これが火事場の馬鹿力という奴か。

 

 千影の驚いた表情が見える。あぁ、千影。プレゼント、買ってやれなくて、ごめ…ん……。


 名無 影宗の地球での最後だった。

どうでしたか?

何か感想いただけたら自分の投稿ペースも上がるかもですよ?

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