新聞おっさん
人物紹介
豪徳寺高志:俺。24歳。普通のリーマン。意外にマッチョ。
豪徳寺瑞穂:20歳、171cmでスポーツが得意な妹。時々イケメンに間違えられる。
豪徳寺初穂:150cmと小柄だが、茶髪にして現代女子高生になろうと頑張っている妹。17歳。ローキックが得意。
電車の中。
正面には下の妹の初穂が立っている。
正面にてくれれば満員電車の圧力からもかばいやすいので丁度いい。
左横には、もう一人の妹である瑞穂がいる。
2人とも俺にスマホをぶつけながら通学をするのだが、まあそれはいい。
右横のおっさん。
細身の神経質な管理職って感じのおっさん。
新聞を読んでいるんだが邪魔なんだよ。
バサ バサ
ってめくるたびに、俺の顔に新聞がかすりそうになるんだ。
お前知ってるか?新聞の端っこは切れるんだぞ。
危ないだろうが。
こういう奴は、周りに迷惑だとか考えないのだろうか?
パサ
顔に新聞があたった。
このやろう!
文句を言うとしたら、また当たった。
パサ パサ
おっさん、いい加減にしろよ!。
おっさんはさらに新聞をたたもうとして動かして、初穂の頭にパサっと新聞をぶつけた。
だが無視して新聞を読もうとするおっさん。
すいません、ちょっとキレます。
「おっさんゴラア!人を突ついて詫びもなしかボケェ!」
新聞ごとアイアンクローをかました。
おっさんはパニックになり「なにをする」とか言っている。
それはこっちのセリフじゃい。
しかし俺は冷静だった。
「初穂、このおっさんを蹴れ!」
満員電車の中なのに周りから人がさーっと離れたので、初穂は思いっきりローキックを放った。
ズシン
「うぐうう」
おっさんは新聞ごと俺にアイアンクローをかけられているので呻くことしかできない。
そのおっさんの耳元で、甘く切なくささやいてやった。
「一発は一発な。妹は新聞で1回頭叩けれ、俺は3回突き攻撃された。だからあと3回やらせてもらうぜ。」
初穂を見た。
コクリとうなずく。
ズドン
ズドン
ズドン
ズドン
なんか4回蹴ったけどまあいいや。
膝上の同じところを正確に蹴られ続けたおっさんは、思わず膝をつく。
手を放して放り出すと、倒れてまるで乱暴された乙女みたいな恰好でビクッビクッってしてる。
愚かな奴。
車内マナーをまもって、少しだけデリカシーがあればこんな目にはあわなかったものを。
大学生の方の妹、瑞穂が心配そうに耳元で小声を出す。
「兄さん、やりすぎじゃ?」
「心配するな、女子高生の生キックはご褒美だ。いざとなったらそれで押し通す。」
満員電車で新聞を読む、すべてのバカに天罰を!
すると、キモイ男が俺に雑誌で突いてきた。
この状況で度胸のあるやつだな。
みると顔が少し赤らんでいて、初穂をちらちら見ている。
そうか、こいつはJKキックはご褒美派か。
ならば俺が華麗なローキックは決めてやった。
ズドム!
「なぜーーーー」
なぜーーーじゃねえ。
変態にご褒美をやるほど親切じゃないんだ。
キモイ男は先に倒れていたおっさんの上に覆いかぶさるように倒れる。
電車でOLか!
キモイ。
初穂は汚いものを見るようなめで二人を見た。
だが変態は、さげすむ目で見る初穂と目が合うと喜色を表す。
「ありがとうございます」
なんか哀れになった。