スマホ愛憎劇
電車の中で誰かが俺の背中をスマホで突いてきた。
チッ、ざっけんなよ。
朝から気分悪くしてくれるんじゃねえぞ。
お前のせいで最悪な朝だゴラァ。
殺すぞボケ!
睨んでやる。
この殺気だけでションベンちびらせてやるぜ!
くらえ俺のスペシャル鬼顔。
どりゃあ!振り返る。
可愛い女子高生だった。
うおおっと!
素早く前を向いた。
あっぶねえ。女子高生はちょうどスマホを眺めていたので俺のスペシャル鬼顔はみられていない。
ふう、あやうく女子高生様を威嚇してしまう所だったぜ。
なんだあの清楚系女子高生は。
うちの末っ子の初穂とは大違いだったぞ。
背中を突くスマホが女子高生様だと思うと、急に気分良くなったな。
スマホの感触というものは、ここまで心地いいものなのか。
わっはっはっは。
今日は最高の朝を迎えられたぜ。
さあ、もっと突くといい。
お兄さんの背中は、スマホ置き場だよ。
朝からスマホを通した女子高生とのふれあいだ。
最高である。
ふっふっふ
ふっふっふっふっふ
上機嫌で横を向いたら、女子大生の瑞穂が冷たい目でこっちを見ていた。
「兄さん、わかりやすすぎ。」
そう言いながら、俺のほっぺたにスマホを押し付けてきた。
ちなみに次女の瑞穂の身長は171cm。
俺と同じだ。
だから無理なく俺の顔にスマホを押し付けてくる。
まったく。いつまでたっても甘えん坊め。
背の低い初穂もジト目で俺の顔にスマホを押し付けてくる。
おいおい、お前は無理があるだろ。
初穂は150cm程度。
必死に腕を伸ばして俺の顔をスマホでつく。
これアレだな。
明らかに攻撃して来てやがるなこの野郎。
しかし許す。
なぜなら清楚系女子高生様が背中からスマホで突いてくれているから。
顔がゴリゴリ痛い。
妹達よ、手加減プリーズ。
でも幸せだ。背中のスマホに愛を感じるから。
きっと今日もいい日だと思った。