背中に女子高生様のお胸が当たっても無罪
人物紹介
豪徳寺高志:俺。24歳。普通のリーマン。妹達いわく「バカな兄」
豪徳寺瑞穂:20歳、171cmでスポーツが得意な妹。
豪徳寺初穂:150cmと小柄だが、スマホを武器に使う。
女子高生様:清楚な顔して何故か俺の背後を取る達人。しかしそこが良い。
車いすの女:八竹玲奈。プラスチックの義足がカッコいい。
通勤電車では、車いすの女が時々遅刻しているんだろうなと思う時がある。
なぜなら、俺と妹達が乗っている電車に現れない時があるからだ。
今日もそんな日だ。
これ絶対遅刻しているだろ。
昼休みにでもLINEでからかってやるぜ、へーい、ざまー。
車いすの女がいないと気楽でいいね。
すると後ろから、背中にむにゅっと何かが当たる。
いや、とぼけるのは止めよう。
胸があたっている。女性の胸だ。
揺れるたびに、押されて苦しいのか「んんー」とか可愛い声が聞こえる。
やっべ、これ絶対いつもの清楚系女子高生様だわ。
くはっ。
幸福な柔らかさ!
むかし満員電車とか全否定していた自分がいた。だが今は過去の自分の愚かさを笑ってしまうな。
女子高生様に触っても犯罪にならないのは満員電車だけだ!
しかも後ろから当てられたら、これまさに正当防衛。
俺は無実なまま、女子高生様のお体に触れることが許される。
それが満員電車の奇跡!
神よありがとう!
正面からJK妹の初穂がガンガンぶつかってくるが、こいつは女子高生接触としてはノーカン。
なぜなら嬉しくないから。
ガシガシ俺の胸の中央部分にスマホをぶつけてきて痛いっちゅうの。
中心線を攻撃するなごらぁ。
しかし、
背後は天国ぅぅ。
柔らかく暖かな感触。
ほのかに感じる頑張ってる感。
そして何故かグイグイ俺に体を押し付けてくる。
おい、女子高生様の後ろの連中!
ナイス押し込み。
いいぞ、もっと押せ。
至福の時である。
はあああ、幸せー。
あ、電車が揺れたとき後ろの女子高生様のおでこが俺の背中内ぶつかった。
ひゃっはー。満員電車は最高だぜー。
乗り換えの時、至福の気持ちで電車を降りる。
すると、女子高生は俺を追い抜くように走り、ちらっとこっちを振り返った。
おおお、めっちゃ可愛い。
ちくしょう、こんちくしょう、可愛いぜちくしょう。
あの娘のお胸様が俺の背中に密着していたのか!
くああ、今日はいい日だぜ。
女子高生様は恥じらうように、もういちどこっちを振り向く。
目が語っていた。
『あはは、ほーら、捕まえてごらんなさい』
誘ってやがる!
おれは小走りで女子高生様を追いかける。
あはは、
あはははは
ズドム!
ぐはっ。
幸せな気分で走っていたら、上の妹の瑞穂が俺の首筋にチョップをいれやがった。
「痛ええな、気絶したらどうするんだ!」
瑞穂は可哀想なものを見る目をしていた。
「兄さん、女子高生を追いかけて走るとかやめてよ。犯罪だよ。」
「え?」
みると下の妹の初穂もジト目で見ている。
「いやいや、犯罪?嘘だろ。だって、向こうが明らかに誘ってたんだぜ。」
初穂は小柄な体で腕を伸ばし、スマホの角で俺の顔をぐりぐりしやがった。
「痴漢はみんなそう言うんだよ。お兄ちゃんは痴漢だけはやらないと思っていたのに悲しいよ。」
「俺…痴漢?う、嘘だろ…。だって女子高生様が誘てたから…。そうだ本人に聞けばいい。誘てたって本人が認めればいいんだろ。」
走り出そうとしたら、左右から妹達に腕をつかまれた。
「兄さん、だから追いかけたら犯罪なの。」
2人の妹にロックされて歩くのは、すっごく恥ずかしかった。
妹達よ、お兄ちゃんを少しは信じてくれ。
嘘じゃないんだー、誘ってたんだー。目が誘ってたんだよー。
腹いせとして、昼休みに車いすの女へ嫌がらせメッセージを送ってやったぜ。
『やーい、今日遅刻しただろ。やーいやーい。』
すぐに返事が来た。
『ばっかじゃないの?私の休みは金土なの。今日は休日よ。あんた寂しいなら、もっと普通にコメント送ってくればいいじゃない。』
くっそーーー。
なんか腹が立つ。
くそおおおおおおおお。