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帰りに出会うと勝負とかする気力ないし。

人物紹介

豪徳寺高志:俺。24歳。普通のリーマン。妹達の事なんて好きじゃないんだからね。

豪徳寺瑞穂:20歳、171cmでイケメン妹。お前本当はお兄ちゃん大好きだろ。

豪徳寺初穂:150cmと小柄だが、ローキックが重い。大人にタメ口はやめろ。

車いすの女:八竹玲奈。憎まれ口をきくか、素直に会話をするかどっちかにしろ。

井筒卓也 :ぽっちゃり系オタク男子。だが肉食だ。

ふいい、今日は定時で仕事が終わった。

今ぐらいなら初穂も部活が終わるころかな。

一応連絡しておくか。


テクテク駅に向かっていると、同僚の井筒が声をかけてくる。

「豪徳寺も今日は早いな。」

「おう井筒。おまえはいつも早いよな。」


井筒はすこしポッチャリな体をゆすって俺に駆け寄ってくる。

同期で同じ部署なので気安い仲間だ。


改札前まで来ると初穂が待っていた。

帰りに菓子パンをたかる気だな。

欠食児童め、あいつはいつも腹を空かせている。

ゾンビ並みに目についたものをいくらでも食べる。女の食欲は恐ろしいよホント。


ちなみにダイエットは明日から始めるらしい。

一年前から毎日そう言っている。


近づこうとしたら、車いすの女が初穂に手を振って近づくのが見えた。


ちっ、面倒な奴があらわれたな。

目を合わせないで、そっとやりすごして帰るか。


そう思っていたら、初穂が目ざとく俺を見つけて無言でローキックを打ってきた。

ズシン


「あう、膝正面からのローキックは危ないからやめろって言っているだろ。蹴るなら腿のあたりを狙えよ。」


井筒が驚いた顔をして俺を見る。

「豪徳寺!お前!女子高生の生キックとか羨ましいな。何が起きたんだ!」

お前もJKキックはご褒美派か。


「ああ?これは妹だよ。これからお菓子とかたかられるんだよ。」

井筒は俺と妹を交互に見る。

そこに車いすの女が近づいてきた。

「ねえ、私を見て無視していこうとしたでしょ。どういうつもり?罰として私の車いす押しなさいよ。」


井筒は車いすの女も凝視した。

「またずいぶんな美人さんと知り合いだな。豪徳寺が憎くなってきた。」

「ざっけんな。この女は敵だ。」


すると器用に俺の足を車いすのタイヤで轢いてきやがった。

「痛い!このやろう足の指がちぎれるかと思ったろ。」

「なんども言わせないでよね『野郎』じゃないの。バカじゃないの。」


初穂が不思議そうに小首をかしげる。

「なんども言ってるの?」


俺と車いすの女は「あれ?」って感じに見つめあう。

『何度も言ってるよな?』

『何度も言ってるわね。意外に初穂ちゃんの記憶には残らなかったのかしら。』

『ああ、こいつバカだからな。』

『それは可哀想じゃない』


「ローキックしか能がないんだから良いんだよ。」

「ひっどーい、可愛くて優しい子よ。」


井筒がいきなり割って入ってきた。

「まて、なんで行き成りそうなった?」


「「え?」」


おれと車いすの女はまた顔を見合わせてしまった。

なんで文句が入るんだ?


すると初穂が呆れた顔で井筒をみる。

「おどろきでしょ。お兄ちゃんと玲奈さんは目で会話が成立するから、私たちにはなんでそんな言葉が出たのか分からない事が多いんだよ。」


井筒はレーザーでも出しそうな目でこっちをジロジロみる。

車いすの女が俺の服をツンツンとひっぱった。

『悪いんだけどさ、あんたの同僚さんって気持ち悪いんだけど。』

『すまない、あいつ気持ち悪いんだ。』

『どうにかしてよ。』

『うーん、しょうがないな。』


初穂を見る。

「初穂、井筒を蹴れ。そういう結論になった。」


初穂は初見の大人である井筒を、迷わず蹴った。

ズドン


「痛い!ありがとうございます!」


痛みで井筒はその場でパタリと倒れる。

嬉しそうな顔で。


車いすの女の車いすを押して改札を通った。

「すまん、詫びに駅コンビニでなんかおごってやるよ。初穂、金渡すから買ってきてやれ。」


初穂は嬉しそうに金を受け取る。

「私の分も買うからね。玲奈さん、なんか欲しいものある?」

「そうね、折角だからお弁当とサラダ買ってもらおうかな。」


思わずジト目で見てしまった。

「ガッツリ食う気か?」

「だってお腹すいてるんだもん。」

「いっつもコンビニ弁当なのかよ。」

「仕方ないじゃない、この足だと台所に立てないんだから」


そういいながら、自分の脛をコンコンと叩いて見せた。

プラスチックの音。義足か。


ちっ、いつもコンビニ弁当とか侘しい奴だな。

「初穂、コンビニの買い物は無しだ。」

「「ええ、ケチー」」


ケチじゃねえよ。

「瑞穂も呼べ、今日はコイツをつれて外食だ。」

「ファミレス?!」

「何でもいいよ、車椅子の女もコンビニ弁当ばっかりじゃ哀れだからな。」


驚いた顔をした車いすの女がニッコリほほえんだ。

「あんた意外に男前なのね。素直にうれしいわ。」

「俺はいつも男前だよ。」


電車を乗り換え、ファミレスのある最寄り駅に着くと、改札前に上の妹の瑞穂が待っていた。

「兄さんのそういう所は好きだよ。」

「ばかが、俺はすべてが素敵なお兄ちゃんだ。」


そのあと、車いすの女は妹2人の食欲を見て、かなり驚いていた。


え?女ってみんなこのくらい食べるんじゃないの?

うちの妹達だけ?

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