一件目 女子高生の借金の場合 その6
六話目です。
ここで一件目は終了です。
次話はまた区切りが出来たら投稿します!
その後。というかなんというか。
借金取りたちは無事、逮捕された。どうやら加原の件以外も色々と後ろ暗いことをやっていたらしく、俺が調べたこと以外も出てくる出てくる。結果、今後表に出てくることはないだろう。
加原は今後の生活に支障が出ることもなく、普通に学校に登校して来ている。と言っても、本当に元の生活に戻れたわけではない。現在、加原は俺のマンションに寝泊まりしている。元々住んでいた家は加原の元両親が再び住み出したのでそこには住むことが出来ない。なので会社が完成するまで寝泊まりは俺の家だ。
加原自身は数日の間、元気がなかった。最終的にこの借金の問題が解決した後、加原は借金を帳消しにした代わりに家族を失ったのだ。そりゃ落ち込むだろう。そういう時には特に慰めの言葉など掛けずにそばにいてやることだ。これぐらいしか出来ることはない。これは自分で乗り越えなくてはいけないものだからだ。
まあ、その代わりと言ってはなんだけど、今までよりもいい生活をさせてやることと、俺の部下であり、家族であることを加原には伝えておいた。まあ、これくらいはしてやらないとな。最終的に直接手を下したのは俺なんだし。
他に何かあるとすれば、俺の秘密を加原に話したことだろう。勿論、契約をして縛ってある。俺の秘密を他者に話すことを禁ずるという内容の契約だ。まあこれ、俺の秘密を知っている人とは話せるようにしている。じゃないとたまに仕事に支障をきたしそうだったからな。
会社・・・相談所のこともここで話しておこう。
建物だが、立地などは関係ない。時空間に建設するつもりだからな。困っている人の前に扉が現れてそこを潜ればいいというだけの仕組みだ。
時間をかけて俺に相談・解決をお願いしたい場合は予約を取ってからと言う仕組みにする。そうでないと他の相談とかに手が回らなくなることもありそうだからな。
建物には神界に行くことの出来る扉を用意しておく。なんだかんだで一番相談事が多そうだからな。異世界関係の相談や解決も神様たちからの間接予約にしてもらう予定だ。
他にも従業員だけが自由に出入り出来るようにアイテムを用意しておこう。それが俺の相談所の従業員である証にもすれば一石二鳥だしな。
しかし、その建物。建設には結構な時間が掛かる。建設する場所も特殊な場所だし、色々と先に述べたような仕組みも組み込まなきゃいけないからな。それに作り手にも問題がある。その問題と言うのは作る人物が俺であるということだ。
俺は創造神に教えて貰った創造で建物を造るのだが、俺も今は高校三年生。毎日付きっ切りで建設するわけにもいかない。勉強自体は神様たちとの修行でしなくてもよくなったが、だからと言って学校を休んでいい理由にはならない。休んだら実家の方に連絡が行ってしまうからな。それは回避したい。
何故、回避したいのか。それは俺の家族には秘密を打ち明けていないことも理由の一つではあるんだが、大きな理由は俺が現在住んでいるところの言い訳をどうしようかということである。家族に魔法などで記憶操作するのはためらわれたので何とか口先だけで丸め込んだのだ。だから、あのマンションに住んでいること(しかも、クラスメイトの可愛らしい女の子と一緒)がバレたくないのだ。
と言う訳で相談所の建物が完成するのは大分先。大凡冬辺りになるだろうと予想される。まあ、時間もないのに一人でこの短時間に完成させるんだ。誰にも文句は言われないだろう。まあ、こういうことを言えば創造神辺りが作ってあげるよと言ってくるに違いない。神様の辞書には自重と言う言葉がないからな。全てが神レベルで仕出かしてしまうに違いないだろう。それは勘弁である。
まあ、ともかく冬までは加原と一緒の生活が始まったのだった。
・・・
ここまでが俺のこの相談所を始めたことの始まりである。長々と回想したが、簡潔に言えば、クラスメイトを助けるついでに会社としてお金を貰いながら働こうってことである。それまでの俺はタダ働きのボランティアだったからな。俺が考えるブラック企業という評価は当の昔に通り過ぎているよ。とっくに限界突破である。
ちなみに現在、加原は俺の家のお手伝いさんとして働きながら相談所の受付を担当している。大学も同じところに行っている。学部とかも一緒だ。これなら俺が急用で大学に行けなくても加原がフォローしてくれるからな。
分裂の魔法があるが、そういうのは出来るだけそういう場面では使いたくない。バレたときに記憶を奪うしかなくなってしまうからな。
俺が何故、こんな二重生活を送れるのか。それは俺の時間魔法のおかげである。神様たちとの修行により、不老になってしまった俺は見た目が大きく変わることはまずない。寿命もものすごい伸びたしな。今は体が成長段階であるため身長とかもまだ少しずつ伸びているが、大学卒業の頃には完全に成長も止まって正真正銘の不老になるだろう。まあ、今から気にしていても仕方がない。
というわけで自分に時間魔法をかけて睡眠時間を調節していたのだ。
一応、説明しておくが、時間魔法と言っても過去へのタイムトラベルとかは出来ない・・・ことになっている。出来るのは出来るのだが、干渉することが出来ないのだ。現在が改変した過去の影響でなくなってしまうからな。俺が帰る場所が無くなってしまう。だから、何も知らない他者を連れての過去への時間移動は出来ないのだ。
でも、未来への干渉は出来る。ま、今には関係ないからな。影響があるのはさらにその先の未来。
まあ、こんなわけで時間魔法は自身の時間を止めたりゆっくりにしたり、早めたり出来るだけだ。退行も出来ることは出来るけどメリットがあんまりないからな。必要となった場面も今の所ないし。こう言う訳で睡眠時間はしっかりと取ってはいるのだ。一秒でもあればしっかり寝れるからな。
現在の他の従業員の話もおいおいしていくけど、とりあえず俺は急いで相談所に戻らないと。今日は思った以上に神様たちからの相談や解決が多いのだ。特に解決してくれって言ってくる神様が。相談ならすぐにでも処理できるし、従業員にも出来ることはあるんだけど、解決となると内容にもよるが、大体俺かトルトスにしか出来ないからな。回想している暇はないのだ。
アルダミュスやトルトスとの出会いは相談所完成時だからまたその時の話をするときにでもお話することにしよう。とりあえず、今日は急いで帰らないと。
立ち並ぶビル群の裏路地に入った俺は周りに誰もいないことを確認してから、近くにある扉を相談所へと通じるゲートに変換して中へと入っていった。
これは何でも出来るようになった男の相談物語である。
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