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一件目 女子高生の借金の場合 その4

四話目です!

 


 翌日、いつもより早い時間に起きた俺は加原を起こしに加原が寝ている部屋に入った。


「加原、起きろ。今日から早めに登校するぞ」


「・・・・・・はぃ?」


 ぐっすりと寝たのだろう。寝ぼけているのか、生返事である。まあ、そうなるのも理解できるんだけどな。なんせ、昨日までは公園で寝ていたんだ。安心も出来なかっただろうし、深い眠りに入ることなど出来るはずがない。俺にも覚えがある。異世界で冒険していた時のことだ。野宿は当たり前だったし、深く寝ることなんてなかった。寝れないことなんてザラにあったしな。そう考えるとここは安心できるのだろう。


「起きろ。朝だ」


「・・・・・・あああああ!」


 完全に目が覚めたようだ。まあ、寝顔も幸せそうだったし、いいんだけど。加原からしたら恥ずかしいことなんだろう。寝顔は見られるし、寝ぼけていたところも見られたし。まあ、こんなに驚くとは思わなかったけど。


「起きたな。もう一回言うぞ。今日から俺と一緒に早めの登校だ」


「ど、どうして?」


「自分の現状は把握しているな?」


「うん」


「学校までは手を出してこないととは思うが、学校の外は違う。下手したら普通に攫われるだろう。しかも、登校中の生徒たちに目撃もされる」


「そ、それは・・・」


「困るだろ?だから早めの登校なんだ」


「分かった」


「それと俺が同行するのは簡単に言えば、加原の護衛だ」


「護衛?なんだか仰々しい」


「仕方ないだろう。どれだけ早めに登校しても攫われる可能性があるんだ。そうなってくると俺がガードに付くしかない」


「ありがとう。そこまでしてくれて。ここに泊めてくれているだけでもありがたいのに・・・」


「気にすんな」


「ふふっ。照れてる」


 あんまり素直な感謝を向けられなかったからな。特に普通の人間には。もっぱら感謝とかをされるのは俺のような人間ではなく、上位存在である神などだからな。最近は神たちの頼みも遠慮しているのか、減ってきてるし、異世界からの召喚も今のところないし。


「・・・・あっ」


 とそこで加原が何かに気がついた。


「わ、私、朝食の準備してない・・・」


 昨日の家事を任せるという仕事を思い出したのだろう。慌て出す。


「ご、ごめんなさい!今すぐ準備します!」


急いで立ち上がる加原。


「落ち着け。今日は俺が用意した。レトルトとかだけどな」


「あ、ありがとう」


「昨日まで公園で生活していたんだ。疲れているんだろうと思ってギリギリまで寝かせておこうと思っていたんだ」


「梶田君・・・」


「それより、今日は学校が終わったら買い物だ。加原の服とか食材を買おう」


「この財布の出番ですね」


「いや、それは明日からでいい。今日は俺が出す」


 まあ、どちらも俺のお金ではあるんだが、あの財布は加原にあげたようなもんだしな。今回は俺の生活費(加原に渡した財布)ではなく、俺のポケットマネーから出す。そもそも、想像してみてほしい。どちらとも俺のお金ではあるが、現在所持しているのは加原なのだ。買い物で会計をする時にただついて来て女の子が払っている。この光景を!格好悪いじゃないか!


 そんなわけでも俺が持っているお金から出すのだ。


「元々梶田君のお金だからそこはいいけど・・・。本当にいいの?服とか買ってもらって。女の子の服って高いよ?」

(な、なんだか彼氏彼女みたい・・・!)


 なんか恥ずかしそうに顔をプルプル左右に振っている。どうしたんだろうか?一応、心を読む魔法とかもあったりするんだが、流石にデリカシーもプライベートもあったもんじゃないからな。必要な時以外が使うつもりはない。


「ああ、構わない。よし。この話は終わりだ。朝食食べてさっさと学校に行こう!」


「うん!」




・・・




 加原と()が登校したのをマンションの屋上から確認する。さて、()も行動を開始するか。


 俺は現在、分裂の魔法を使って二人に分裂しているのだ。まあ、分身って言った方が分かりやすいとは思うんだが、こういう名前だしな。


 ちなみにこの分裂、強さも半分になってしまうという弱点がある。まあ、関係ないけどね。そもそも俺に勝てるのって今のところ神様たちくらいだし。それだけの力が半分になったところでこの世界、地球の人間たちにとっては変わりないだろう。


今回の相手は一般人(裏側の人間なんだろうけど)。銃とか出してきても結果は変わらない。


さて、それじゃあ行動を開始しますかね。


 建物の上を高速で移動して借金取りたちの事務所があるビルの上に到着する。そこで俺は透明の魔法を展開してからビルの中へと入る。勿論、屋上から中に入るためのドアはカギが掛けられていたが開錠の魔法でちょちょいのちょいだ。


「さて、どこから手を付けようかな?」


 一日この事務所にいる借金取りたちに引っ付いて何か情報を話すのを待っていてもいいんだが、借金が虚偽であったことを証明するための証拠も探しておきたい。ここは使役術を使うか。


 魔法とは別の系統である使役術。これはモンスターなどはいるが魔法がない世界で身に付けたものだ。俺はこれで異世界で仲間になった獣たちと契約している。その異世界に残ってもよかったのだが、ついて行きたいと言われたので異界で飼っている。異界ってのは簡単に言えば、四○元ポ○ットみたいなものだ。


「フェル。アルマ」


「バウ」

「あいあい」


 そして召喚したのは異世界で神獣と崇められていたフェンリルと忌子とされていた吸血鬼だ。フェルは人間の捕縛用の罠に掛かって怪我をしているときに助けたら懐かれて、アルマは忌子として討伐されそうになっているところを助けたら懐かれたってところだな。フェルはいいんだが、アルマと最初に契約した時には驚いたもんよ。なんせ、見た目は完全に人間だし、両親も人間。最初は人間と契約しちゃった⁉って慌てたもんだ。見た目は完全に子供だったしな。本当の年齢は俺の倍くらいあるそうだけど、命を狙われるまでは眠っていたから精神年齢は俺と大差ないらしい。


 ちなみにフェルの見た目が白銀の毛並みで大きさはゴールデンレトリバーよりさらに一回り大きいくらいかな。フェンリルって名前で大体分かると思うが、オオカミだ。それとアルマの見た目だが、完全に子供。赤い髪をしていて、ツインテールのお嬢様って感じ。まあ、服はそういうお嬢様っぽいのが似合いそうだったから俺が着せたんだが。


「見ていたな?」


「バウッ」

「うん」


「じゃあ、証拠の方を頼む」


「バウ」

「了解」


 そう言ってアルマはフェルに乗って駆けて行った。まあ、透明の魔法も展開しているし、大丈夫だろう。


「さて、それじゃあ俺も借金取り共に張り付いているか」




・・・




 所は変わって学校。現在、俺は授業を受けていた。まあ、分裂している俺とは繋がっているからどんなことをしているかとかはこっちの俺にも分かる。あっちの俺もこっちの様子は分かるしな。


 神様とのお勉強で高校生レベルなど簡単になってしまったからな。流している。意識は加原と向こうで情報収集しているもう一人の俺に向けている。


 そうしているとチャイムが鳴った。一時間目の授業はこれで終了だ。次の授業の準備をしているとクラスの友人たちが話しかけてきた。


「なあ、梶田」


「なんだ?」


「昨日はあれからどうだったんだよ」


「どうって?」


「コクられた後だよ!」


「いや、そもそもコクられてなんていないぞ?」


「いやいや!隠さなくてもいいから」


 一人が代表で話して後の連中は頷いたりしている。いい感じに連携が取れているなぁ、おい。


「隠すも何もちょっと相談されただけだって」


「加原さん、結構かわいいじゃん。うまいこといったんなら教えろって!」


 まったく人の話を聞く気配がしない。完全な他人ならキレていてもおかしくないかもしれない。


「俺は本当のことしか言っていないぞ。話はこれで終わりだ。ほら!散った散った!」


 シッシッと手を払い、クラスメイトの男共を追い払う。


「まったく」


 精神年齢がすでに地球の誰よりも高い俺からしたらこういうのはいい迷惑だ。まあ、枯れてはいないから色々とセーフだけど。


 そしてそれから少し経つと次の授業が始まった。その後、この一日、クラスメイトたちから色々と聞かれたが、何とか乗り切ったのだった。加原って結構人気あるんだな。男子だけじゃなくて女子からも聞かれたよ。女子は加原に聞けっての。まあ、加原が話した場合、相談の件がバレる可能性もあったから俺に質問が集中したのはよかったと言えばよかったけど。


 放課後になり、加原を連れて大型のショッピングモールへとやってきた。


「ここの気に入った店の服を買うといい」


「ほ、本当にいいの?このショッピングモールの服屋さんって結構高いよ?」


「ああ。構わない。加原の想像する以上のお金を俺は持っているからな」


 異世界の財産ってやつが。お金になりそうなものは異界に入れているし、武具とかマジックアイテムみたいな品は神様が管理してくれている。神様銀行みたいなものだ。


「それじゃあ色々見て周るね」


 そこからは二人でウィンドウショッピングだ。傍から見れば完全にデート中のカップルである。何店か周ってその店で気に入ったものがあれば購入。なければそのまま店を出るといったことを続けた。すると気づけば俺の両手は袋でいっぱいになっていた。まあ、当たり前か。


「あっ」


 加原もものすごい量を買っていることに気がついたようだ。まあ、気にせず買えって言ったのは俺だし、全然構わないんだが。


「ご、ごめんなさい!つい楽しくなっちゃって」


「いいって。気にするな。それよりどこかの飲食店に入ろうか。せっかくここまで来たんだし、雰囲気のいい所に入ろう」


「ううん。もう帰ろう?梶田君にこんな荷物持たせて申し訳ないよ」


 そこまで重くはないのだが、ここは加原の好意に甘えるか。


「そうだな。これからスーパーに買い物だしな」


「あっ!そうだった・・・」


 どうやら完全に忘れていたらしい。


「一旦、梶田君の家に戻ろう。それから私だけ買い物に行ってくるから」


「おいおい。朝話しただろう?今、加原を一人にはできないって。俺も一緒に行くから」


「そうだったね。ごめん。お願いします」


 そこから一旦帰宅してから近くのスーパーに買い物に行って食材を購入。特に借金取りの連中に遭遇することもなく家に戻って来れた。その後、少し遅めの夕食となった。作らせておいて言うのもなんだが、加原の料理の腕はなかなかのものだった。そりゃ、神様たちの所で食べた神の料理や料理の神から教えて貰った俺の料理の方がうまいことはうまい。だが、加原の料理はそれとは方向性が違うというかなんと言うか。しいて言えば、安心する味って感じだ。この感じは俺には出せない。加原に家事を任せて正解だった。


 その後、風呂に入り、就寝した。しかし、俺にはまだ仕事が残っている。分裂した方の俺だ。情報収集で未だ事務所で張り込みというか潜入というか。それをしている俺はまだこのままいてもらう。代わりにフェルとアルマが証拠をゲットしたのでこちらへ来てもらう。


 自分の部屋で使役術を使い、フェルとアルマを召喚する。


「お疲れ様」


「バウッ!」

「撫でて撫でて~」


「ああ。どちらもよくやってくれたな」


 俺は一匹と一人の頭を撫でる。


「くぅ~ん」

「ふぁ~」


 気持ちよさそうになでなでを堪能しているようだな。


「悪いが一旦中断だ。証拠の方を出してくれ」


 なでなでを中断してフェルたちに頼む。


「これよ」


 アルマが出してきたのは少し古びた書類だった。


「これは?」


「カハラの両親が昔返済した時の返済完了の紙。それと念のためにその当時の映像を過去視で見て、それを映像化してこのメモリーカードに入れておいた」


「完璧だ。本当によくやったな!」


「じゃ、じゃあ一つお願い聞いてもらってもいい?」


「ん?なんだ?」


 アルマは恥ずかしそうにもじもじしながら言った。


「今日、一緒に寝てくれない?異界とかじゃなくて普通にベッドで」


「ああ。それくらい構わないよ。おいで」


「わぁ~い!」


「フェルもおいで」


 羨ましそうにしているフェルにも声をかける。


「バウッ!」


 その俺の言葉を聞いて嬉しそうにベッドにダイブしてくるフェル。結構デカいんだからそういうところは気を付けてくれ。俺が押し潰れ・・・ないな。あ、でもベッドが壊れるかもしれないからやっぱり気を付けてくれ。


 あとは、分裂中の俺が現在の情報を上手いことゲットしたら一気に制圧だな。それまでは動かないことにするか。学校行ってそのまま帰宅。これの繰り返しだな。実は登校中はいい感じに浸透の魔法を使っている。これを使えばその風景に浸透して俺や加原を認識できなくなる。こういう魔法は気配探知に優れたやつには結構有効な魔法なんだよな。


 勿論、加原にも気づかれないように魔法は使っている。でも、このまま俺の部下になれば俺の秘密も聞いてもらうつもりだ。まあ、他に選択肢もないんだが。


 そんなわけでその日から一週間。特に大きなイベントはなかった。


 そして一週間後、ついに俺も借金取りたちも動き始める。




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