閑話・日向視点
5月21日(土)の投稿となります。
拙作『貧乳眼鏡っ娘の俺が異世界で無双するようですよ!?』もよろしくお願いします。
5月19日(木)無事?に完結いたしました。
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もう一つ『笑わない少女は血薔薇と舞う』そちらもよろしければご覧いただけると幸いです。
こちらは20時更新となっております。
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「明後日のパーティーでね、空さん」
そう言って僕はリムジンの中へと。
陸海 空。
可愛い子だったな。
ゆっくりと走り出すリムジンの微弱な振動を感じながら、そう思い返していた。
「ご機嫌じゃないか?」
そう言ったのは、リムジンに同席していた親友でもあり、同じ八葉八家の二宮 水都だ。
歳は僕と同じで16才、黒のフレームの眼鏡を掛けた男で若干僕より背が高い。
所謂インテリ風イケメンとか言うやつだろうか?
「まあね、水都も会えばよかったのに」
「バカ言うな。いきなりで向こうが混乱するだろう」
などと、常識人ぶっているが有事の際には大胆な行動も取れる男だ。
「で? 彼女を見た感想は?」
僕は、途中で止めていた書類に目を通しながら話を続けた。
「とてもチャーミングだね。さすが九神の姫って所かな?」
「まあ写真で見た限りでも類を見ない位の美貌だな。というか、中学二年で完成され過ぎてないか?」
僕は水都の軽口にも耳を貸さずにある書類を食い入るように見つめていた。
「どうした?日向」
僕は答えず見ていた書類を水都に渡した。
渡された書類を見た水都はため息をついて書類を返してきた。
「……皇といえば、陸海の分家だったな?」
「ああ……その皇の子息が亡くなった。有り得ないことだ」
水都は腕を組ながら唸る。
「死因は交通事故だと?あり得ん。陸海の分家なら護衛が付いているはずだ。物理的にも呪術的にも」
そう、陸海の血筋を絶やさないよう分家の人間にも護衛が付いている。
まさに物理的にも呪術的にも完璧なガードがなされている筈……だった。
「皇 春人……トラックに轢かれそうになった女の子を庇って自身が事故に遭った」
独り言のように僕がそう呟いたのを聞いた水都が尋ねる。
「その庇った女の子は?」
「八葉で手厚く保護したよ。まあ背後関係を探る意味もあるけどね」
結果は白。彼女自体はなんの問題もなかったと報告書にはある。
しかし……
と、ポケットに入れていた携帯が鳴る。同時に水都のもだ。
しばらく対応してほぼ同時に通話を切った僕達は、顔を見合わせこれまた同時に口を開いた。
「「王邪十八魔将が現れた」」
水都が頭を抱えた。
「くそ、星詠みの報告では三年の猶予があるんじゃなかったのか?」
「三年以内……だよ。それにしても被害が大き過ぎるな。200人体制で望んで108の犠牲者か……しかも」
「魔将を取り逃した」
これは悠長な事を言ってある場合ではない。
ゴメンね空さん。 僕達は君を戦いに巻き込まなければいけない。
リムジンの行き先を変更させながら考え込む。
なぜ魔将は犠牲者を108人で止めたのか?
逃げるため全滅させる暇がなかった?有り得ない。 ヤツらはそんな事はしない、少なくても伝承の通りなら。
108という数字、人の煩悩の数だったか?
なにかモヤモヤとしたものを抱えながら僕達は目的地へ急ぐ。