丘で
いやーおそくなってしまい、すみません!!もう一つの作品がいそがしゅうていそがしゅうて・・・
夕暮れ時。輝く夕日が差し込む中で目の前には幽霊が立っている。
「俺は金尾狐太郎だ。きみは?」
「私は田原優樹菜よ」
しばしの沈黙
「自己紹介しても話すことないよね。なんだこの沈黙・・・いたいわ。」
「あ、じゃ今スマホとかあるけどやってみたーい!!」
「ざんねんながら俺持ってませーん」
「チッ」
(怖っ)
「えーっと・・・じゃ、じゃあ俺忘れ物取りに来たんで」
そういって自分の席に向かう。
「えーっと宿題とぉ、お守りっと!」
「ん?その手作り感満載のその狐のヤツ何?」
「あ、これはお守りだよ。これ握っているとなんだかあったかくなるんだ。」
「へえーちょっと見せてー」
「おう!」
優樹菜がマスコットに触る。と、強烈な光に飲み込まれた。
「キャッ」
「おわあっ」
光が消えたころ教室には人の気配ひとつなく、一人の生徒のプリント問題集が1枚落ちているだけであった。
♢♦♢♦
「うーん・・・ここは・・・?」
起き上がるとそこは草原だった。
「もう、いつまでも寝てないで早く起きなさいよ!!」
優樹菜が仁王立ちで立っている。もーそんなに怒んないの。脳の血管はちきれたら死んじゃうよ?あ、もう死んでんのか。
「ここどこ?」
「私に言われたって分かるわけないでしょーが!!」
その時ふわっと蛍のような光が顔のすぐ横をかすめた。
「ん?」
見渡せばもう真っ暗であり、よく見ると草原のあちらこちらでその光が舞っていた。
そのうちの一つを手で覆って捕まえてみれば、手の中には何もなかった。
ふと、甘い香りが鼻をかすめる。俺は本能に導かれるべく、その源を探すことにした。
「ちょ、あんたどこいくのよ!?」
優樹菜の制止も耳には届かない。ふいに悲鳴が聞こえたと思えば、優樹菜はそこにはいなかった。
俺はそれも気にせず、ただ歩いて行った。
「ここは・・?」
大きな泉の前に来た。来たことはないはずなのにどこか懐かしい場所。
甘い香りが強くなった。ふと横を見れば泉のほとりに光り輝くこの世のものとは思えぬほど美しい、一輪の花が咲いていた。その花の根元からは澄んだ清い水がわき出ていて、その水がこの泉をつくっていた。そしてこの甘く心地よい香りもその花から匂っていた。
俺は無意識にその花の元へと向かった。暖かな光を放つその花に触れてみたいと思ったのだ。
そっと手を伸ばす
カッ
次の瞬間、花の光に俺は包まれた。
気が付けば俺は白い空間に立っていた。そして、すべてを思い出した。救えなかった町、そしてあの娘のことも。
光り輝く花の前、一匹の金色の狐が静かにただずんでいた。その狐の腹と、耳の先と、脚の先、そしてその太く長い大きな尾の先は純白であった。狐はその花の根元にたまる水にそっと口をつけた。
にわかに狐から金の光が漏れ出たと思えばその場にいたのは、先ほどよりもますます神々しさの増した一柱の神であった。
クオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
その狐がひとたび吠えれば空気までもが凛と震え、草木の芽が芽生えた。
もうそこに気弱そうな少年の姿はどこにもなかった。
またおそくなります。すんまへん。