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Moment Disappear -モーメント ディスピアー-  作者: 林崎 ゆみ
【妖魔師】
1/35

001  Opening

◆ ◆ ◆



妖魔ってご存知ですか?

妖怪・悪魔 それらを一纏めにした言葉。

彼等は普通にこの世界に在り、存在する生き物。

ただし、妖魔に分類されるのは()()()妖怪・悪魔ではありません。

人に害を成し、人に災いを(もたら)す。 そんな化物(バケモノ)の事をーーー妖魔(ヨウマ)と言うのです…。


これはとある一匹の孤独な妖魔と。

とある独りの少女との…生きるとは何かと言う物語―――。



◆ ◆ ◆






とある昔の出来事。

昔、昔のお話です――。

とある所に、一匹の山犬が降りました。

その山犬は犬は犬でも少し違う犬であり、どちらかと言えば(オオカミ)と言った方が良い様な犬でした。


その犬は人に捉えられ、そして―――首を出して胴体は土に埋められてしまいました。

お腹が減って、お腹が減って――― その(イヌ)はついに目の前に大好きなお肉がある事に気付きました。

食べようと首を伸ばした時、その(イヌ)は――――。




いとも簡単に首を跳ね飛ばされ、殺されてしまいました。




これは、大昔の蠱毒(こどく)と言う呪詛の様な物であり。

相手を呪う為の(まじな)いの様な物でした。

後々にこの方法は外法と呼ばれ、禁忌とされましたが―――。



さて、首を飛ばされた(イヌ)はどうなってしまったでしょう?





人を呪い、恨み、憾み、怨み、嫉み、妬み。





膨大な妖力を得た―――― まさしく、大妖魔へと進化しました。




古代の人々は気づかなかったのですが。




この外法で造り上げる妖魔の名は、“妖魔(ようま)犬神(いぬがみ)”と言うのです。

犬神とは、人を呪えば呪うほど強くなると言う特殊な妖魔でした―――…。



すぐさま人々はその恐ろしさに気付き、そしてその妖魔を(おそ)れました。




とある一人の女により、その妖魔は彼女の体に封じられ。

未来永劫、封じられる様な強い封印の力により封じられました。



タダ一つ、彼女がその封印に選んだのは血子封印(けつしふういん)。後々に血子封印(けっしふういん)と名を変えるその封印方法は――。




子孫に体内の妖魔を移すと言う封印方法でした。

そうすれば、未来永劫その妖魔を飼い慣らす事が出来。

そして、その力を我が物に出来るのでした――。



タダ一つ、その家系が途絶えればその妖魔、犬神も死ぬと言う契約がなされ。

何かあった場合、災厄の象徴とも言われる悍ましき妖魔が再び野放しにされる事は無いとされた。



誰もが喜び、そして封印をした女に求婚を申し入れた。

強い妖魔を持つ彼女と結婚をすれば一時期でも強い権力を得る事が出来るからだ。








彼女の名は 犬神(いぬがみ) ××。




後々に禁忌とされる封印方法を生み出した――― 彼女の、ご先祖様だ…。










時は流れ、現代。 その名もトウキョウ。



漆を塗った様に、黒い黒い髪を持った赤子が生まれた。

瞳もまた漆を塗った様に何の光も移さぬ孤独な瞳を持つ赤子が。




彼女は一体何を思うのか。



死ねと言われた名を刻みつけられ、何を思い生きるのか。



彼女の身体(なか)に封じられたあの妖魔は何を思うのか。



命を共有していても、相手の感情など――― 分かりも、しない……。

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